「電機産業を扱った作品」の第五弾は、楡周平『異端の大義』(上下巻、毎日新聞社、2006年)。巨大な総合家電メーカーの危機と再生を描いた物語。東洋電器産業に勤務する高見龍平は、エリート社員でありながらも、上司への直言で恨みを買うハメに陥ります。しかし、左遷やいじめにもめげず、やがて危機に陥った東洋電器の救世主として活躍することになっていきます。 [おもしろさ] 内部の力か、それとも外部の力か 破綻の危機に直面した企業を再生するには、どのような方策があるのでしょうか? 大別すると、内部から湧き上がる力(社員や経営者の自助努力など)によって再生されるケースと、外部の力(他の企業、再生ファンド、産業再…