有吉佐和子『青い壺』 今日は読書の話題で、最近読んだ本2冊の感想。 1冊目は有吉佐和子の『青い壺』。有吉佐和子は昭和40年代から50年代にかけて活躍した作家で、社会問題をテーマにした作品も多い。一度読もうと思いながら、今まで手に取る機会がなかったのだが、たまたま本屋で文庫の新刊が出ていたので買ってみた。 連作短編集という形で、無名の陶芸家が作った青磁の壺が、様々な人々の手に渡って行く中で、その壺を手にした人たちの身の回りに起こる人間ドラマを描いている。有吉佐和子の小説には、『複合汚染』『恍惚の人』といった社会で大きな反響を呼ぶような作品がある。『青い壺』はそちらの系統ではなく、軽めの「読み物」…