読み始めは、詰め込み過ぎかなと思った。しかし、この本はろう者や聴覚障害者についての一定の理解が前提条件となるし、ましてや小説なので、そうじゃないと話の流れにも乗れない。ろう者についての説明や現状、手話のことなどを読者に伝えながら、かつ作品として惹きつけようとすると、情報量が増えてくるのは避けられないのだろう。イントロにあたる部分に、ろう者に関する情報を混ぜ込んで話を進めるのでややつらかったが、逆に言えば、それだけ知らなかったというなのだ。自分はそれまで「ろう者」という言葉を使ったことがなく、「ろうあ者」と口を使って言葉を話せない人もまとめていた。理解がその程度だったという証左だ。 デフ・ヴォイ…