丸山正樹『龍の耳を君に』創元推理文庫を読了。 前に読んだ手話通訳士を主人公にした『デフ・ヴォイス』の続篇。「弁護側の証人」「風の記憶」「龍の耳を君に」の3話からなる連作短編集。3話を通じて主人公の荒井が一緒に暮らしているみゆきとの揺れ動く関係、みゆきの娘の美和、美和のクラスメートで場面緘黙症という障害を持つ英知とのやりとりなどが描かれていて、それぞれで描かれる事件と、そうした家族の物語の両方を楽しむことができる。 だけど、みゆきとの関係がいろいろとしんどい。はたして、このまま一緒に暮らしていけるのだろうかと心配になってしまう。 このシリーズの最大の特徴は、いままで自分とはまったく接点のなかった…