街の大将(III) 町にみんなから慕われている物乞いがいた。その変わった姿を絵にしたいと思った。 1970年代、F100(1620×1303)、油彩キャンバス 物乞いは神社や鐘楼などで寝泊まりし人々から食べ物をもらって暮らしていました。拾ったガラクタを後生大事に背負った姿は異様でしたが、町の人が手軽に慈悲を発揮することができる地蔵のような立場を確立しており、邪険にする人はいませんでした。かえりみると昔は町のコミュニティに溶け込んだ物乞いがいたような気がします。子供らは最初は泣いたり逃げたりしますが慣れると物乞いは無害な怪物でした。かれが泣いていた迷子を家に送り届けたこともあります。そんな朴直で…