先日の記事に、およそ一名、とりこぼしがあったことに気がついた。 松陰吉田寅次郎である。 (Wikipediaより、松下村塾) 品川弥二郎の追想談(おもいでばなし)に信を置くなら、松下村塾で彼が用いた教本は、『武教全書』に代表される山鹿流の兵学書にとどまらぬ。 『康済録』とか『産話』とか、その内容に経済的色彩を強く含んだ書籍をも積極的に採用し、かてて加えて隙あらば、 「士は数を知らざるべからず、士は生産力なかるべからず」 「世間のことは算盤玉をはづれることなし。数によって世の中は支配されてゐる」 このような意味のことどもを、生徒たちに繰り返し口授したということだ。 弥二郎は、当時、不満であった。…