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あのアパートの部屋とは、７歳の私と妹が置き去りにされたあそこです。少年は、畳をしきりにむしっています。 何だか、目がギラギラしています。 おずおずと話しかけました。 「こんにちは」 少年は、チッと言っただけで、何も答えません。 ただ、こちらを正面から見据えています。 懲りずに話しかけてみます。 「何をしているの？」 それでも何も答えません。でも、いよいよ、私の顔をじっと見つめます。 そうして、何分も過ぎていきます。 ついに、何か破裂したかのように、言葉を発します。 「見りゃわかるだろ」私は、少年の怒気を含んだ声に、ちょっとひるみます。それで、しばらく何の言葉を発することもできません。 「見りゃ…

３歳児について、自分で自分にパーツセラピーをやった後に、ようやく、セラピストさんとのセッションの日が来ました。 ３歳児についてのパーツセラピーについてはOKをもらったので、いよいよ、もう１回、７歳児について取り扱っていくことになりました。 「まず、自分の内側に意識を向けると、何かイメージや感覚はありますか？」 そうして、しばらく、内面に注意を向けてじっとしていると、お腹の中に手のようなもののイメージが浮かびました。 「どんな役割をしているのか聞いてみていただけますか？」 セラピストさんに促されて聞いてみると、何かを独占したいパーツだとわかりました。 さらに、探っていくと、今度は、胸の中に両手の…

ちょっとここで、あらためて、パーツセラピーの一番大切なところを見ていきたいと思います。パーツセラピーというと、エグザイル（インナーチャイルド）の救出が大切なような気がしてしまい、私もそう思ってきたのですが、今振り返ってみると、そうではなく、何よりも大切なのは、セルフが現れるということではないかと思います。セルフとは、この私ではなく、ブレンド解除された本来の私です。 そして、パーツセラピーにおいては、この私が少しずつそういう私になるというのでは全くなく、そういうセルフがもうすでにあって、ブレンドを解除されると、もうすでにあるそのセルフが現れるのです。 なぜ、ここが大事かというと、そういうセルフで…

３歳ぐらいの時、不動産業をやっていた父親の部下にKという男性がいたんです。 幼い私はKに可愛がってもらい、毎日、車でいろんなところに連れてもらって行きました。 ある時は、Kは朝から夜まで私を連れ回して、帰って来ないので大騒ぎになったそうです。 私の記憶というのは、このKのことです。 その日も私はKの車に乗り、どこかの家か部屋に行きました。そこには、Kの妻なのか、恋人なのか、女性がいたんです。ふたりは、幼い私の前で、性的な交わりをし始めました。それだけではなく、私の下着を下ろしたんです…これが本当の記憶なのか、それともフォルスメモリーなのかはわかりません。 けれども、小さな頃からずっと、性的なも…

パーツセラピーを進めていくうち、どんどんと楽になっていったのですが、そうなればなるほど、自分のなかに、『人間なんて全部、滅びてしまえ』という呪いみたいな強い思いがあることに気づいたんです。そうして、からだの中に探ると、胸の中に怒りの火みたいなパーツがありました。 このパーツと対話するうちに、ひとつの出来事がよみがえりました。 父親はもともとタイル職人でしたが、そのうち、不動産業を始めました。最初は素人ながらうまくいったのですが、結局は、人に騙されて、何もかも、家さえもなくしてしまったんです。 クリスマスの日に夜逃げして、母が私と妹のために、クリスマスケーキだけを買ってくれたことを何となく覚えて…

その後、ゼロ歳児の自分に毎日のように会いに行っては、抱いて、ミルクを飲ませたり、オムツを取り替えたり、いないいないばあをしたり、こちょこちょくすぐったり…していました。 赤ちゃんは最初の頃はぐったりしていたのですが、だんだん元気になって笑顔を見せるようになり、抱いていても腕の中で伸びをしたりするようにもなり、そのうち、ハイハイするようになったり、（成長したのかどうか）ものいつかまって歩き出すようにもなりました。そうしている時、今度は、もうひとりのエグザイルに出会うことになったのです。ある人と、カウンセリングと催眠の練習をしていた時のことです。 急に、自分の心の中に、カメラをぶら下げて、眉根を皺…

そうして、パーツセラピーを続けていたんです。 様々な防御パーツと親しみ、また自分がセルフでいる状態も少しずつ長くなり、パーツ同士の関係も改善されて、自分自身の内圧が下がってからだも心もゆるんでいるような感じになっていました。 そんなところで、ついにあれが現れたんです。 あれって何かというと、エグザイル（追放者、インナーチャイルド）です。 最初のきっかけは、左胸にいる心配症のパーツであるアリスさんに尋ねた問いでした。 「あなたは誰を守っているのですか？」 「０歳の赤ちゃんよ」 すると、私は喉のところに０歳の自分がいることを感じました。 エグザイルは、IFSが扱えるセラピストに見てもらって扱うのが…