Hatena::ブログ(Diary)

notable or ordinary

2010-01-16

2009年のギャルゲー売り上げ&ちょっとした総括と展望

こんちは〜、ジャスト一年振りの更新です。見ている人、いますか?

ということで、毎年恒例のコンシューマギャルゲー年間売り上げランキングを。数字は、ファミ通の売り上げデータを基本に。ただ紙面にはTOP30までしか数字載ってませんので、細かい所は推測値になります。なお、アニメや漫画・ライトノベルなど原作が他にあるものは、ここではギャルゲに含めないということで集計しています(たとえばハルヒとからき☆すたとかね)。

順位機種タイトルメーカー推定本数発売日初週本数
1PSPアイドルマスターSPバンダイナムコ187,0392月19日121,271
2DSラブプラスコナミ175,8959月3日47,854
3PS2アマガミエンターブレイン73,4153月19日47,762
4PSPときめきメモリアル4コナミ68,87012月3日47,469
5XBOX360ドリームクラブD3パブリッシャー58,2908月27日44,884
6PS2メルティブラッド アクトレスアゲインエコール58,2048月20日42,489
7XBOX360シュタインズゲート5pb43,63810月15日16,434
8PSPTo Heart2 PORTABLEアクアプラス43,3617月30日32,521
9DSアイドルマスター ディアリースターズバンダイナムコ42,8149月17日33,395
10PSPFate/Unlimited Codes PORTABLEカプコン37,7796月18日31,822
11PSPおおかみかくしコナミ35,9708月20日21,582
12DSひぐらしのなく頃に絆 第三巻・螺アルケミスト34,7255月28日26,391
13PSPうたわれるもの PORTABLEアクアプラス33,0815月28日23,157
14XBOX360CHAOS;HEAD NOAH5pb25,6452月26日17,952
15PSP智代アフタープロトタイプ22,1353月19日15,495
16PS3ティアーズ・トゥ・ティアラ外伝 アヴァロンの謎アクアプラス20,5869月17日16,469
17PS2すっごい!アルカナハート2AQインタラクティブ18,3174月9日13,738
18PS2D.C.I.F. 〜ダ・カーポ〜イノセントフィナーレSweets15,8564月29日12,685
19XBOX36011eyes CrossOver5pb13,9194月2日10,022
20DSひぐらしの哭く頃に 雀AQインタラクティブ13,60711月12日10,342

基本的には初動率70%くらいで計算して数字出してます。廉価版を除く殆ど全てのコンシュマギャルゲーが、初動率65〜80%で収まっているので、これでもおおむね/だいたいくらいの数字として見るならいけるでしょう。数千本違ってても、数万本違うというのは多分殆ど無いはずだと思います(去年やった時は二個ほど思いっきりずれちゃったけど)。ちなみに「リトバスCE」も多分2万本くらいは売れてるんじゃないかと思いますけど(ファミ通TOP30においては初週ランク外、しかし年末ということもあり下限が32000本の激戦週)、初週の数字すらわからんので除外。

とはいえ今年は「ラブプラス」「シュタインズゲート」という、普通の売り上げではないギャルゲーがあったので、その辺に関してはもうちょい細かくやっています。「シュタインズゲート」は、初週16434本、二週目4253本、三週目6095本と推移したあと、四週目からはランク外(TOP30の下限値は、年末年始や決算期ラッシュなどを除くと、だいたい5000〜3000本くらいが基本)。三週目で売り上げが増したのは、ちょうどネットで評判になり始めたあたりですね。ここから普通のギャルゲーの二週目以降のように半分→半分→半分(たとえば6000本→3000本→1500本→750本)と一気に落ちていくとは考えずらいので、その辺の下降線が緩やかなものだと仮定して計算しています。まーなんつうかVGばりの推測っぷりなので、あくまで大体というか多分の数字ということで(笑)。そのうちまともなの出たら修正します。

ラブプラス」の売り上げ推移は、これだけ長期間に渡り売れ続けているのは、廉価版を除くとおそらく「サクラ大戦」とかあの辺のギャルゲー全盛期以来となるんじゃないでしょうか。(※「サクラ大戦」初週20万のあと、二週目45000、以降23000→12000→8700→8500→8000→5000→7000……と推移、「ラブプラス」初週47000のあと、二週目15000、以降6500→ランク外→6500→ランク外→25000→16000→4000→6000と推移)  とそんなワケで、初動率なんかから推測しようが無いので、その後も5000から緩やかに4000→3000台と下がっていく感じかなぁと推測して数字出してます。これもまた、後にまともな数字が出てきたら修正したいですね。


2009年のコンシューマギャルゲーは「変化の年」だった

さて、2009年のTOP20を見てまず驚くのは、10万本以上の大ヒットが2本、5万本以上のヒットが4本あるということ、そしてそのうち「アイマス」と「メルティブラッド」以外が移植ではない、コンシューマオリジナルというところです(アイマスは大元はアーケードメルブラは大元がPC、どちらも大元からはかなり変化していますが)。

たとえば2008年のベスト10を見てみましょう。

■2008年

1PS2Fate/Unlimted Codesカプコン107,040
2DSひぐらしのなく頃に絆 第一巻・祟アルケミスト82,566
3PS2アイドルマスターL4Uバンダイナムコ75,272
4DSサクラ大戦 君あるがためセガ59,040
5PS3ティアーズ・トゥ・ティアラアクアプラス55,415
6PS2D.C.2 P.S. ダ・カーポ2 プラスシチュエーション角川書店55,194
7PSPCLANNADプロトタイプ53,147
8PS2キミキス(エビコレ)エンターブレイン51,283
9PSPひぐらしデイブレイク PORTABLEアルケミスト46,918
10DSひぐらしのなく頃に絆 第二巻・想アルケミスト44,912

(※2007年以前はこちら(http://d.hatena.ne.jp/Nota/20090116/1232099616)を参照ということで)

このうちコンシューマオリジナルは「サクラ大戦君ある」「キミキス」、そして元もとのアーケードとは全然別物なので最早オリジナルといって差し支えない「アイマスL4U」の3本(うち一本「キミキス」は所謂ベスト版に多少のプラスアルファが為されたものなので、2008年の新作だとは言い切れない)。対し2009年はTOP10圏内に「ラブプラス」「アマガミ」「ときメモ4」「ドリクラ」「シュタゲ」と5本もある、さらに「ラブプラス」「ドリクラ」と続編ではない全くの新作が2本あるというところも、驚異的ではないでしょうか。

2009年のコンシューマギャルゲーは「変化の年」だった。そんなことは「ラブプラス」「シュタゲ」「ドリクラ」「ときメモ4」などのオリジナルタイトルがここ数年のギャルゲーでは殆ど類が無いほどに話題になったという点からも明らかですが、もっと全体的に見ても変化の潮流を感じ取ることが出来るでしょう。

たとえばギャルゲーのタイトル数は、2007年:56タイトル、2008年:58タイトルと推移していましたが、2009年はなんと71タイトルも発売されています(※廉価版、内容と機種は同じでの連作の1・2セットリパッケージ版(たとえば「ひぐらし絆 第一巻・第二巻セット」)などは除く)。単純に発売タイトル数が二割増しに伸びているということですね。

さらに機種別の発売タイトル本数の版図も大きく塗り替えられています。

PS2PS3WiiXBOX360PSPDS
20074200195
200833(-22%)112(+100%)13(+44%)9(+80%)
200918(-46%)108(+400%)34(+160%)10(+10%)

2007年に比べると、PS2でのギャルゲー発売本数は2008年に約2割減、さらに2009年にはその半分近く減り、2年前の4割ほどのタイトル数になってしまいました。変わって驚異的な伸びを見せているのがXBOX360PSP。前者はそもそもタイトル数が少なすぎるのでパーセントで見ると凄いことになってるんですけど(笑)、それでも「アイマス」一本から2倍・4倍と伸び続けています。頭打ちラインが何タイトルあたりになるのか分かりかねるところですが、少なくとも今年中にはPS2のタイトル数を逆転するのではないでしょうか。そして2009年、タイトル数においては覇権を獲得したPSP(たとえば売り上げにおいても、PS2PSPで同時発売だった『戦極姫』が、PS2版:初週4,775本、PSP版:初週7,704本と、タイトル数はおろか売り上げにおいてもPSPPS2を上回る例もあります)。08年も決して少なくは無かったのですが、そこからさらに3倍近くのタイトルを発売しています。発売予定表を見る限りでは、まだまだ勢いは衰えなさそうです、が、実はPSPは、2009年に発売された34タイトル中24タイトルが「既にPS2など他の機種で発売済みゲームの移植」というもの。売り上げランキングに入ったものでは『To Heart2』や『うたわれるもの』などがそうですね。他に元KIDタイトルが恐ろしいほど沢山発売されてたりします。まあ早い話が、「ほにゃららポータブル」というタイトルが付けられたゲームがめっちゃ多いという話で(2009年で10タイトル)。その点、PSPギャルゲ全体で見ても、去年よりタイトル数増えたとはいえ、多機種間の移植が多いというのを考えると、数字を額面通りに受け取りすぎるのもあまりよくないかもしれません。

また「PC(主にエロゲ)からの移植」が新作という観点(多機種で既に発売済みのものを除くと、という意味)からすると少し減ったというのも、変化を表しているでしょう。2007年は32タイトル、2008年は30タイトルに対し、2007年は22タイトル。まあ多機種で既に一度は移植されたことのあるPCゲーム(たとえばPSPの『うたわれ』とか『To Heart2』とか)を入れると平年並みになるのですが(2007年:35タイトル、2008年:36タイトル、2009年:37タイトル)、しかし全体の発売タイトル数から換算した割合で読むと、2007年:62%が元PCゲー、2008年:同じく62%、2009年:52%が元PCゲーとなるように、確実に減っていると言えるでしょう。その変化は実際、上記したように、売り上げにおいてもですね。

ここ5年の、「元がPCゲーム(エロゲ・全年齢・同人)」タイトルで、売り上げが3万本以上だったものを列挙してみると、

09PS2メルティブラッド アクトレスアゲインエコール58,204
09DSひぐらしのなく頃に絆 第三巻・螺アルケミスト34,725
09PSPうたわれるもの PORTABLEアクアプラス33,081
08DSひぐらしのなく頃に絆 第一巻・祟アルケミスト82,566
08PS3ティアーズ・トゥ・ティアラアクアプラス55,415
08PS2D.C.2 P.S. ダ・カーポ2 プラスシチュエーション角川書店55,194
08PSPCLANNADプロトタイプ53,147
08PSPひぐらしデイブレイク PORTABLEアルケミスト46,918
08DSひぐらしのなく頃に絆 第二巻・想アルケミスト44,912
07PS2Fate/stay night[Realta Nua]角川書店184,558
07PS2ひぐらしのなく頃に祭アルケミスト112,859
07PS2ひぐらしのなく頃に祭 カケラ遊びアルケミスト51,666
06PS2メルティブラッド アクトカデンツァエコール124,880
06PS2うたわれるもの 〜散りゆく者への子守唄〜アクアプラス101,123
06PS2CLANNAD -クラナド-インターチャネル41,722
05PS2つよきす 〜Mighty Heart〜プリンセスソフト33,233
04PS2SHUFFLE! ON THE STAGE角川書店35,625
03PS2D.C.P.S. 〜ダ・カーポ プラスシチュエーション〜角川書店45,431
03PS2EVE burst error PLUSゲームビレッジ39,719

こう見ると03〜05年のヤバさが際立つ感じなのですが(笑)、逆に08年以降、特に09年の再生産っぷりが際立つ結果でもありますね。つまり、「TYPE-MOONFate)」関係と「ひぐらし」関係か、既にPS2などに移植済みの葉鍵の「PSP移植」という再生産。実際TYPE-MOONひぐらしPSP移植を抜かしたら、07年以降は「ダ・カーポ」と「TTT」しか無いワケでして。

それを考えると、09年の変化は、まずPSPの飛躍という点で非常に「流れに合ってる・正しい」ものであり(勿論売り上げ的な意味でですが)、そして「TYPE-MOON」でも「ひぐらし」でもない、オリジナルタイトルである「ラブプラス」や「ドリクラ」「シュタゲ」が売れる・話題になるという点でも非常に「好感的な変化」と言えるでしょう。つまり「TYPE-MOON」「ひぐらし」に頼らなくてもいい、次の一手を掴み取ったという点において。さらにそれが、移植ではなくオリジナルだということも良い傾向ではないでしょうか。次の「Fate」、次の「ひぐらし」を待つのではなく、コンシューマが自分たちの手でそれ(に相当する売り上げ・話題作)を作り出すということ、そして実際に作り出せたということ。

またコンシューマギャルゲ全体の販売本数も、あくまで推測値ですが、07年が1,003,450本、08年が1,112,993本と来て09年が1,359,983本と非常に上向いています。単純に本数が増えているのですから全体の売り上げが増えるのは当然なのですが、それにしても良い傾向ではないでしょうか。

果たしてこの流れが2010年にどのように繋がっていくのか、現時点ではまだまだ不明ではありますが、しかし数字を見る限りでは、近年では稀なほど、コンシューマギャルゲー(ゲーム内容も市場も)に希望が持てる結果だったのではないでしょうか。

2009-01-16

2008年コンシューマ美少女ゲーム/ギャルゲー売り上げランキング(概算)

数字は正しくはありません。ファミ通の売り上げを準拠に、データ追えない分(30位までしか出ないので)は他メディアの情報&推測と計算と第六感などを駆使しております。おおよその目安程度にお考え下さい

純粋に美少女ゲーム/ギャルゲーのみではなく、アニメ・マンガ・小説など他メディアを原作としながらも、美少女ゲーム/ギャルゲーっぽいもの/そう捉えられるものも含んでいます。この辺の閾がかなり難しい――というか、いざ「含める」となったら万人が納得するものって無理くね?と思うくらいに難しいのですが、とりあえず今回は私基準で分別いたしました(『エヴァ』で例えれば、PS2の「エヴァ2」やセガサターンの「インプレッション系」は含めないけれど、「鋼鉄のガールフレンド」や「綾波育成計画」は美少女ゲーム/ギャルゲーに含める、みたいな感じで)。個人的には「どこまでターゲット層の射程として、そちら(ギャルゲー層)に軸足を置いているか」みたいな感覚で腑分けしております。非常に感覚的で申し訳ありません。とりあえず、「ノイズ」と思われたら、その都度視野から外していただけるとありがたいです。


2008年トップ20

1PS2涼宮ハルヒの戸惑角川書店139,4251月31日
2PS2Fate/Unlimted Codesカプコン約120,00012月18日
3PS2らき☆すた 陵桜学園祭 桜藤祭角川書店77,5521月24日
4XBOX360アイドルマスター ライブフォーユー!バンダイナムコ74,6082月28日
5DSひぐらしのなく頃に絆 第一巻・崇アルケミスト約66,0006月26日
6PS2エビコレ+ キミキス(ベスト版)エンターブレイン約60,0002月14日
7PS3ティアーズ・トゥ・ティアラアクアプラス約55,0007月17日
8PS2D.C.2 P.S. ダ・カーポ2 プラスシチュエーション角川書店約54,000角川書店
9DSドラマチックダンジョン サクラ大戦〜君あるがため〜セガ約48,0003月19日
10DSひぐらしのなく頃に絆 第二巻・想アルケミスト約44,00011月27日
11PSPフェイト/タイガーころしあむ アッパーカプコン約44,0008月28日
12PSPひぐらしデイブレイク Portableアルケミスト約44,00011月27日
13PSPCLANNADプロトタイプ約37,0005月29日
14DSどきどき魔女神判2SNKプレイモア約30,0007月31日
15PS2恋姫夢想 〜ドキッ☆乙女だらけの三国志演義イエティ約28,00011月20日
16XBOX360アイドルマスター(ベスト版)バンダイナムコ約28,0002007年
17PS212RIVENサイバーフロント約25,0003月13日
18PSPTo Loveる-とらぶる- ドキドキ!臨海学校編マーヴェラス約24,00010月2日
19PS2恋する乙女と守護の楯 -The Shild of AIGIS-アルケミスト約20,00011月20日
20PS2君が主で執事が俺で 〜お仕え日記〜みなとすてーしょん約19,0003月27日

2008年は5万本オーバー8本、うち10万本オーバーが2本、10位でも4万本越えと、(以下に記す過去三年分と比べていただけるとわかりやすいですが)かなり好調といってもよいのではないでしょうか。『ひぐらし』関連が3本、『Fate』関連が2本と、複数ランクインしています。また、その両者と、『ハルヒ』『らき☆すた』『アイマス』『魔女神判』関連は去年もトップ10内にランクインしており、引き続き大きな支持を集めているともいえるでしょう(『ハルヒ』をこのランキングに含めるのは微妙かなぁと自分でも思うのですが)。

あまり長くなってしまうのもナンなので、ひとまずはこんなところで、細かい思慮分析考慮考察などは別の機会に改めたいと思います。


以下おまけ、過去3年分のベスト10


2007年

1PS2Fate/stay night[Realta Nua]角川書店184,558
2PS2ひぐらしのなく頃に祭アルケミスト112,859
3PSP涼宮ハルヒの約束バンダイナムコ70,865
4PSPフェイト/タイガーころしあむカプコン68,667
5DS真・らき☆すた 萌えドリル〜旅立ち〜角川書店56,736
6PS2ひぐらしのなく頃に祭 カケラ遊びアルケミスト51,666
7XBOX360アイドルマスターバンダイナムコ48,695
8PS2アルカナハートAQインタラクティブ39,043
9DSどきどき魔女神判!SNKプレイモア39,012
10DSハヤテのごとく!ボクがロミオロミオがボクでコナミ30,993

2006年

1PS2メルティブラッド アクトカデンツァエコール124,880
2PS2うたわれるもの 〜散りゆく者への子守唄〜アクアプラス101,123
3PS2キミキスエンターブレイン67,196
4PS2CLANNAD -クラナド-インターチャネル41,722
5PS2EVE new generation角川書店34,324
6PS2つよきす 〜Mighty Heart〜プリンセスソフト33,233
7PS2夜明け前より瑠璃色な 〜Brighter than dawning blue〜ARIA28,545
8PS2魔法先生ネギま!課外授業〜乙女のドキドキビーチサイド〜コナミ26,786
9PS2ギャラクシーエンジェル2 絶対領域の扉ブロッコリー25,453
10DSネギま!?超魔帆良大戦かっとイ〜ン☆契約執行でちゃいますぅマーヴェラス22,259

2005年

1PS2サクラ大戦5 〜さらば愛しき人よ〜セガ144,668
2PS2魔法先生ネギま!1時間目 お子ちゃま先生は魔法使いコナミ65,771
3PS2魔法先生ネギま!2時間目 〜戦う乙女たち!麻帆良大運動会SP!〜コナミ66,140
4PS2サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜セガ51,563
5GBA魔法先生ネギま!プライベートレッスンだめですぅ図書館島コナミ38,538
6PS2SHUFFLE! ON THE STAGE角川書店35,625
7PS2D.C.Four Seasons 〜ダ・カーポ〜フォーシンズンズ角川書店26,373
8PS2舞-HiME 運命の系統樹マーヴェラス25,794
9PS2Memories Off #5 とぎれたフィルムキッド24,740
10PS2永遠のアセリア ―この大地の果てで―日本一ソフトウェア23,444

2008-10-21

エロゲは16:9になってどう変わるのか


TVアニメはしばらく前から、4:3の画面構成から16:9の画面構成へと作りが変動しつつありますが、エロゲにおいても、そういった画面構成の変化が見られ始めているようです。


エロゲーのワイド画面化について - Rewriteの16:9議論から

http://www.i-love-key.net/archives/2008/10/rewrite169.html鍵っ子ブログさん)

Keyの『Rewrite』も16:9なんですね。


さて、4:3から16:9。単純に見た目が変わるというのは言わずもがなのことですが、それがプレイヤーに如何なる影響を与えうるのか? 私自身が16:9のゲームを未プレイなのでいささか想像により語る部分だらけではありますが、先立って4:3から16:9へと変貌を遂げた(遂げつつある)アニメを参考にその辺りを考えてみたいと思います。


描写空間の拡大・情報量の増加

4:3と16:9の最大の違い。まず何より「描写空間」に目が付くでしょう。


鍵っ子ブログさんの記事(http://www.i-love-key.net/archives/2008/10/rewrite169.html)の中ほど(「普通のディスプレイの人にとって16:9は嬉しくない?」項目の中ほど)に、同じ絵を16:9化したものと4:3化したものがありますが、それを見ると、両者の「描写されてる空間の違い」が目に付くと思います。


勿論、本来は構図から何からして、「4:3用は4:3用に描く」「16:9用は16:9用に描く」という点で、実際はこのように単純化できるわけではありませんが、しかしエロゲーのように、描くべき対象(キャラクター)が確固として在る(エロゲのCGの殆どは描くべき対象を描いている)絵に関しては、それが中心に置かれる(絵の中心という場所うんぬんだけではなく、CG枚数の問題的にも、描くべき対象を描くという指向が存在する)*1ゆえ、4:3より16:9の、描写空間の拡大、情報量の増加が生じます。



描かれるものが増えるとどうなのか

さて、16:9で表される絵と4:3で表される絵には、対象の違い以外に、どのような違いがあるのか。エロゲにおいて恐らくどの絵にでも通用するのは、上に示した「描写空間の拡大、情報量の増加」の部分だと思いますが、果たしてそれはどういう効果をもたらすのか。


1年ほど前の雑誌ですが、「メカビ」2007年秋号に、その辺について触れられたコラムがあります(もちろんエロゲの話じゃないです)。

コンテクストを理解し得ない層に、ただ一人の主人公を提示しても通用しなかったからだ。

だから、横長の画面へ、主体の他にたくさんのかじずく有象無象を描いた。(中略)

有名なダ・ヴィンチの『最後の晩餐』(一四九八年)も、キリスト以外のキャラクターたちを描くことによって、物語の効用を解説している。もし、トリミングしたキリスト一人をF的な画面に描いたとしても、それは『最後の晩餐』にならなかっただろう。(中略)

ゴッホは花瓶に挿された『ひまわり』だけを、ひまわりがどのような空間に配置され、どのような意味でそこにあるのかを一切説明せずに描いた。モネは『ルーアン大聖堂』(一八九四年)を、通り過ぎる信者たちもキリスト的存在を意味する抽象的アイテムも描くことなく、ただ光の反射をデザインする構造物として表現した。

(P.91/P.92「16対9の功罪=フィギュアの消失=」川崎昌平

色々中略しまくって何ですが、要すると、沢山のものを描くことによりそれが他の何か・あるいは全体のコンテクストとして機能する、ということですね。


そして、それは逆に、ひとつのものだけを描くと、(他にないから)それ自身がコンテクストとして機能し絶対的になる、という強度(「説得力」と換言してもいいかも。それ自身を文脈にすると、何かよくわからないけど凄い・圧倒的・威圧される、の、「何かよくわからない」が(他に参照するものが無い&作品がこの形として存在する以上)、何かよくわからないまま確かな説得力を持つ(作品を受け入れるのであれば))を失うことにもなります。


もちろんこれは、その対象となる「絵」以外に求めるものがない絵画に言えることで、絵の連続(アニメーション)であり物語組立てられていて音声もあり音楽もあり効果音もありカメラも動くアニメ、絵の連続とカメラの動きがちょっとだけ取り入れられてて後はアニメとだいたい同じくなエロゲに、そのまんまで適用できるものではありませんが、すこしばかり類似する部分もあります。


例えば、『コードギアス』。あの作品では、キャラクターの「画面いっぱいのどアップ」という絵が、結構な回数存在していました(私は一期しか視聴していないので、二期はもしかしたら違うかもしれませんが)。

その「どアップ」な絵は、どういう意味を持っていたか。そこだけ切り取ってみるのは勿論歪ですが、しかし同一画面内に、他に比較になるものもコンテクストになるものも存在しないという、その被写対象の絶対さは、その描写の意味確定に一役買っていたことでしょう。つまり描写の指示対象が単一であり、文脈も描写自身が補っており、多数の「なにか」を見せるよりも、意味が固定されるのです(意味が多様化しづらい)。



エロゲの16:9の「罪」(仮定)

では、エロゲの話。

そもそも、私自身がまだ16:9のゲームを触ったことがないので、憶測になりますし、当然そのエロゲがどんな物語なのか・どういう絵なのかで変わりますし、何よりそこを克服するなんらかの仕掛けが存在するかもしれませんが、エロゲの16:9――描写範囲の拡大・情報の増加は、他メディアのそれと同じく、複数対象を画面に入れることにより中心となる対象に何らかの影響を与えると考えられます。


ここでは、鍵っ子ブログさんでもご紹介している、『SIN 黒朱鷺色の少女』(http://www.studio-mebius.co.jp/software/SIN01/index.html)のデモムービーを喩えに(実際のゲーム画面じゃなくてデモムービーなので、あくまで喩え、仮定)していきたいと思います。


まず、イベントCGなどの「1枚絵CG」。


f:id:Nota:20081021024836j:image

デモムービーからで、CGそのものではないので、あくまで喩えとして。


画面にキャラクター以外が入ることにより、キャラクター自体の意味が落ちる、かもしれない、とは思います……が、「かもしれない」。


『SIN』でもありましたが、1枚絵CGは、現在でも「カメラの動き」を取り入れることで、4:3以外のCGを4:3で描写するなどということもありますし、そもそもエロゲの1枚絵CGはそれ自体が強い意味を持つというより、あくまで補足的なもの(本当はあの世界では立ち絵CGの時も1枚絵CGみたいにキャラがデフォルメされてなくきちんと存在してるんだけどそこまで描写できないから、特別に何箇所かだけ1枚絵CGとして本当の姿を見せてるよ的な、あるいはその逆)という異質なものであり、だからこそ文脈はそこ以外にしかりと存在するという、ちょっと特殊なものなので、上の文は「かもしれない」。

こうやって文脈関係なしに「絵」だけ見れば、キャラクター(対象)以外の情報が増えることにより意味・印象の拡散が行われ、結果キャラクター(対象)の意味・印象が規律されない・薄まる可能性は存在します。もちろん文脈なしなんで、こんなことは参考としても不確実なのですが。




f:id:Nota:20081021024837j:image

これもまたデモムービーからで、多分「立ち絵」はこんな感じになるのかなと思い取り上げただけで、あくまで喩えです。仮定です。仮定でお前どんだけ言うんだって感じですけど、まだ発売されてないし、まともなものは発売後ということで(そもそもワイドディスプレイ買わないと)。


こちらの方が、見せ方で調整可能な1枚絵よりも、描写範囲の拡大・情報の増加は際立つのではないでしょうか。人間らしい身体というのは、めっちゃ横長ではないのですから、「横」の描写範囲が圧倒的に広がる16:9では、どうしても4:3よりも「横」にスペースが出来てしまいます。

キャラの胸から上を立ち絵として描写するなら、恐らく上の画像くらい。腰以上や全身など、それよりもっと広範囲を描写するなら、さらにスペースは広がるでしょう。


これは1枚絵よりも目立つでしょう。キャラクター以外の描写対象が増えることにより、指示対象が分散され、キャラクター自体の印象が薄くなる(これは、ある特定のキャラクターと親しくなるという恋愛ゲームにおいては、結構大きな意味を持つ)。さらにテキストや音などの文脈が、画面一杯にキャラクターが表示されている時なら、そのキャラクターだけに向いていると何も考えずに受容できるのに、他のものが写れば写るほど、そこにも向いてしまう――あるいは、その他のもの自体が、文脈として作用するに相応しくなくても、そのように機能してしまう。


や、上に引き続き、「かもしれない」なんですけど。あくまで仮定(しかも実物ないし文脈ないし)なので。


しかし、描写する(される)ものが増えるということは、それだけ意味も印象も意味を規律する文脈なども分散される(だから弱くなる)という可能性も孕んでいることは確かでしょう。



エロゲの16:9の「功」(仮定)

と、なんかまるで16:9になったらよくないんじゃないかみたいなことばっか書いてきましたが、いやいやそんなことはありません。


先に引用したメカビのコラムでも書かれていたように、

有名なダ・ヴィンチの『最後の晩餐』(一四九八年)も、キリスト以外のキャラクターたちを描くことによって、物語の効用を解説している。もし、トリミングしたキリスト一人をF的な画面に描いたとしても、それは『最後の晩餐』にならなかっただろう。

描かれているものが増えれば、それを含めて「全体」とした上での新たな意味が創出される


キリストだけ描いた『最後の晩餐』(がもしあったとして)という絵から見い出される意味と、他の人物も描いた現存する『最後の晩餐』という絵から見い出される意味の違いの理由は、描かれているものが異なり、そして後者は色んなものが描かれてるからそれを加味した上での意味が創出されているように、エロゲにおいても、描かれているものが増えればまた異なる意味が創出される。




f:id:Nota:20081021024838j:image

例えば、ワイド画面なら、別に↑が実際に作品で用いられるCGではありませんが、喩えとして、こんな具合に、一画面に今までよりも沢山のキャラクターを表示できたりします。


4:3では一画面に二人、三人が限界ギリギリ、四人以上とかかなり無理がある描写でしたが、ワイドならば可能かもしれない。例えば群像劇的なものなどは、より豊かな表現で作り易くなるのかもしれない。あるいは背景なども、これまでは物語の舞台(の一部)となるけど描ききれなかった場所すら描き込めるかもしれない。また端っこに小さいウインドウを出して、そこに小物やアイテムなどを表示させるのも、今までよりも(スペースが広い分)やり易くなるかもしれない。


つまりは。


描写する(される)ものが増えるということは、それだけ指示対象が増やせるということで、それだけ意味も印象も意味を規律する文脈なども増やせるということ


まったく、前項に書いたことの裏返しですが。特徴は、短所にもなるし長所にもなる、ということでもあります。


■追記


なんか重要なことを書き逃しまくってる気がするので。

エロゲの「立ち絵」ってのは、抽象的な表現なんですよね。見ればわかるけど、全然写実じゃなくて、状況をデフォルメして表現した示唆的ってか補足的な記号です(だからテキストの方が普通のノベルゲームでは上位に立ってるわけなんですね。テキストの方がよっぽど正確・誠実だから)。

しかもその上、非連続的。シーン・場面・時・タイミングで、「絵」だけだったら連続性無く変容することが出来る。

そこが「絵」として見た場合の、アニメの「絵」なんかとはちょっと違う点でしょう。立ち絵自体も意味を生成するけど、あくまでテキストの従的立場なんです。立ち絵だけじゃ、テキストっていう投錨がなきゃ何も分からないですからね(無論それを逆手に取った特殊な演出もありますが)。

本質的には、テキストが絵のコンテクストじゃなくて、絵がテキストのコンテクストになるのです(プレイヤー:ゲーム間において)。

僕は別にテキスト上位主義ってわけじゃないけど、でも現状の(立ち絵の)システムだと、テキストの方がどうしても上にくる。ということは、現状のままであるとするならば、そこにおいて絵に求められるのはテキストの補強・補足的な機能であり、そういう点では、16:9という、描写できる対象が増える・拡散する枠組みにおいては、今までとまるで同じに描いても、プレイヤーに今までとまるで同じ経験はさせられないだろうと。

上では「「絵」そのものの表意に関わる、その「絵」内のコンテクスト」みたいなことを書いてたけど、そうじゃなくて、現状ではもういっちょ階層構造ですね。「絵」そのものの表意というのが、基本的にテキストに規律されテキストを補強するものであるから、だからこそ、4:3の方法を16:9にそのまんま敷衍させると、無くてもいいものが増えることもっと強く在るべきもの(アップとか)が弱くなることという、絵とテキストの関係におけるマイナス面――勿論、使いように依ってはプラスになる――が生じてしまう。


■追記ここまで


とかなんとか言いつつ。まだ取り上げた作品は発売前だし、16:9未プレイだし、16:9が普及し出しても16:9に最適化された絵・演出・物語が出回るのは当分後のことだと思うので、まあなんというか仮定の話ってことで、こんなこともあるかなーとかなんとか。そんな話です。

*1:状況整理の為のエスタブリッシュメントショットのような、「経路の繋ぎ・維持」にあたる指向の絵が殆ど存在しない、てゆうかそういう絵があっても、CG枚数的にも(CGという時点で)それ以上の強度を持ってしまう(いわゆる「立ち絵」は別物。この辺はいずれ補足します。たぶん)。