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スピード、グルー&シンキ「スピード・グルー&シンキ」

ジュリアン・コープの著書「ジャップロック・サンプラー」で知った日本のロックバンド、スピード、グルー&シンキの2枚目にしてラスト・アルバム。'73年のリリース時はLP2枚組で出たそうだ。
ファースト・アルバム「イヴ 前夜」の感想は↓
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20111014/1318611270

イヴ前夜

イヴ前夜

音はともかくとして、詩の内容には驚いた。ここまであからさまにドラッグのことを歌っている歌詞はあまりない。日本語だったら間違いなく発売禁止だろう。
ただ、荒んでいるが、すごくいい雰囲気を出している詩だ。

このグループのメンバーは以下の3人。
スピード(=ドラッグを意味する)はドラマーのジョーイ・スミス。アメリカ人とフィリピン人のハーフ。
グルー(=シンナーのこと)はベーシストの加部“ルイズ・ルイス”正義。フランス系アメリカ人と日本人のハーフ。
シンキはギタリストの陳信輝。中国人と日本人のハーフ。
メンバーが全員ハーフという横浜で結成された異色の編成のスリーピースバンドだ。
ドラッグとシンナーとシンキだから、バンド名も異色である。

結成のいきさつは、当時ロック・ギタリストとして注目されていたシンキが、かねてからの知り合いの加部を誘い、そしてライブを見てジョーイをバンドにスカウトして始まったようだ。リーダーはシンキだ。

だが、このセカンド・アルバムのクレジットを見ると、音楽的主導権はドラムでヴォーカルのジョーイ・スミスに移っている印象だ。
全14曲中、ジョーイと彼のフィリピン時代からの仲間マイケル・ハルポノが12曲を手掛けている。
加部は所在不明になることが多かったそうで、実際はマイケルのベースも多いと思われる。

ほかの曲はシンキとゲストで参加しているキーボードの渡辺茂樹の曲。
シンキ作の曲は、彼が以前に組んでいたオレンジというバンドで録音したオルガンとスキャットによる「DON’T SAY NO」。
そして、チャッピーこと渡辺茂樹チェンバロ演奏による「CHUPPY」を披露している。
2作ともにゆるくて甘い曲だ。

それと対照的に、ジョーイとマイケルの曲がかもし出すざらついた不穏な感じはすごい。
上記の2曲のような甘い叙情性は皆無。
発売から約30年後にこのアルバムを初めて聴いた私も、その点については非常に魅力的に感じた。

アルバム1曲目の「SNIFFIN’ & SNORTIN’OP.1」に至っては、鼻から“アレ”を吸って「こりゃ効くぜ! 1、2、3、4!」(英語です)でジョーイがカウントを取って曲が始まるという構成となっている。
邦題は「鼻唄op.1」。
鼻の意味が違うって!

残念なのがオリジナルのLPでは2枚目の裏面すべてを使った「SUN〜PLANETS〜LIFE」「SONG FOR AN ANGEL」のサイド。
当時は画期的だったであろうムーグ(ここではムーグとします)・シンセサイザーの音に幻惑されて作っただけといわれても仕方のない子供の児戯的な作品になっている。

ちなみにドイツのバンド、ポポル・ヴーは'71年にムーグを使ったアルバム「AFFENSTUNDE(現・邦題=猿の時代)」「IN DEN GARTEN PHARAOS(現・邦題=ファラオの庭にて)」2作品を制作。こちらとは雲泥の差といえる世界を作り出している。描く世界も美しく幽玄な世界で、まさに“雲泥”である。初期ムーグを使った作品でもこうも違うのかというサンプルともいえる。

猿の時代(紙ジャケット仕様)

猿の時代(紙ジャケット仕様)

ファラオの庭にて(紙ジャケット仕様)

ファラオの庭にて(紙ジャケット仕様)

ファウストに至っては、このアルバム発表と同じ'73年にあの恐るべきアルバムの「IV」(邦題「青空と廃墟」)を発表しているのだから、正直聴き劣りがするのは事実だと思う。

Faust 4 (Bonus CD)

Faust 4 (Bonus CD)

とはいえ、それなりにジョーイとマイケルのセンスは感じられるものとなっている。
タイトルからすると宇宙的なものをイメージしていたのかもしれないが、私はこのサウンドから宇宙的なものよりも、爆撃機から落とされた爆弾が地上に落下していく音を連想してしまった。

ムーグを使ったサイドは音的には散々な内容だが、ラストの「SONG FOR AN ANGEL」は、痛快だ。ムーグの身も蓋もないカスみたいな無機質な音が、タイトルのように“天使に捧げられる”。
このバンドらしいと思った。

スピード、グルー&シンキの2枚のアルバムについての感想は以下の通り。

音は古い。だが、ジョーイ・スミスの発する独特の世界は歌詞カードを読みながらであれば今でも聴く価値は十分にある魅力的なものだと思う。

スピード・グルー&シンキ

スピード・グルー&シンキ

  • アーティスト: スピード・グルー&シンキ
  • 出版社/メーカー: ストレンジデイズ
  • 発売日: 2009/09/19
  • メディア: CD
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週刊文春1117号

総力特集 キレる、ワメく「橋下劇場」が始まった
P22◆橋下徹の「逆襲」!石原伸晃幹事長 自民市議団を裏切った−地元が猛抗議!
自民党公認候補がいる中、石原伸晃幹事長が橋下徹前知事と大阪で極秘会談したとの記事。石原からの要請で実現したとのこと。自民党府連と党本部との立場、おもわくの違いなどに関しての解説。
橋下がかつて出した本「図説 心理戦で絶対負けない交渉術 どんな相手も丸め込む48の極意!」の内容を根拠に橋下の言動を推測。大阪の自民党市議員たちはこの本を研究して橋下対策を始めているという。ほんとかね。

P24◆紳助と飲み歩き、宅見組前組長姐さんの高級レストランで会食
商工ローン「シティズ」の顧問弁護士だったことを書いてから、上記のことを長々と書いただけの記事。
読者への刷り込みを図っているようにも思える。
締めの言葉は「やはり一筋縄ではいかない御仁なのだ」。やはり刷り込みですね。

P25◆杉良太郎内田樹「橋下独裁」を徹底批判!
→杉の言葉は「革命」とかいってぶち上げるのは日本人を不幸にした小泉首相みたいだというほとんど感覚的なもの。
内田の意見は、いわゆるグローバリズムの発想で市場先導の競争原理を導入するのは、今の時代にはそぐわない。むしろ、縮小する社会的資源をどう配分するかの方が重要。「勝ち馬に乗れ」の発想の時代ではない。橋下自身は善意で進めようとしているが、この方向はアメリカの金融破たんや中国の格差拡大で明らかになっている。というもの。

P32◆郷ひろみ 美人OL30代と「3度目の結婚」急浮上!
→皇室の御用邸などがある神奈川のリゾート地に郷ひろみが、全面ガラス張りの豪邸を建築中ということから、30代OLとの結婚話が進んでいるとの記事。郷の両親は三谷の母名義の土地に住んでいることもありここに越してもらうのではとの推測も。OLの父である元有名プロ野球選手も郷に対して好意的との記事。

P44◆紳助ファミリーが見た「天国と地獄」80日−ユッキーナスザンヌ、上地…
紳助をお父ちゃんと慕う上地が、紳助を復帰させるためにどうすれいいかと彼なりに模索、行動しているが逆に周囲から浮いてしまっているとの記事。記事がそれを意図しているかはわからないが、上地の素朴な好漢ぶりが伝わる。文春は以前の号で元「羞恥心」の野久保直樹が、観月ありさと交際、と書いていたが、今回は何も触れていない。「プロデュース大作戦」で宮古島に移住したこともあるデンジャラスのノッチのコメントに妙な哀歓があり笑えた。「あまりにバカ過ぎて使えない山田親太朗」の記述もあり。

P48◆急逝した異色の西岡参院議長 最後まで相容れなかった大物
小泉元首相と双璧をなす「自民党の二大変人」だったとのこと。相容れなかった大物は河野洋平

P66◆近田春夫の考えるヒット 高橋優の鼻詰まりな声と歌詞が“泣ける曲”と評判らしいゾ!?
Jポップ歌手の自己陶酔度(自意識の量)を測る手立てのひとつに発声具合をチェックする方法があると解説。日本語としての自然さが損なわれるほどに(自己陶酔の)レベルはアップしている、との見解。そしてこの歌については歌詞カードはいらない(つまり言葉はしっかり伝わる)と語っている。私はこの曲は知りません。


P110◆シネマチャート 園子温恋の罪
おすぎは5点で2点「こんな映像作家が存在してもいいが、映像を見て不愉快になり、女優陣が力演しているのが憂鬱になってしまった。」
→こんな映像作家が存在してもいい、というのはいいコメントだと思った。

P112◆ヨコモレ☆通信 辛酸なめ子大川興業 第36回本公演「Lock’n’Roll」
→真っ暗闇のなかで展開する芝居。「暗闇演劇」として大川興業登録商標で、特許も取得しているという。よく考えたら、コストがかからないので「特許をとるべき大発明だと納得しました」とのこと。

P119◆今週の必読 夢枕獏・評 増田俊也木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
→見出しは「史上最強柔道家の哀しき人生を追った執念の書」。「ゴング格闘技」に連載されていたもの。夢枕獏も絶賛している。私もこれはいつか読むつもりだ。必読の書と思える。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか


P124◆文庫本を狙え 坪内祐三 山野浩一・著「鳥はいまどこを飛ぶか」
→小学校時代に読んだ山野浩一。復刻版が出ていると知った。「著者あとがき」もあるとのこと。ちょっと再読してみたい。今読むとどう感じるのだろう。

鳥はいまどこを飛ぶか (山野浩一傑作選?) (創元SF文庫)

鳥はいまどこを飛ぶか (山野浩一傑作選?) (創元SF文庫)


以降、後で更新。

気になる諸事


ミック・ジャガーキース・リチャーズが来月、ローリング・ストーンズの今後について話し合いの場を設ける模様。ローリング・ストーン誌が情報提供者からの情報として報道。どうやら50周年ツアーをやるのかやらないのか議論するようです

NHK-FMにて、『レイハラカミ・トリビュート』 が12/17(土)21時〜、『坂本龍一 ニューイヤー・スペシャル』が1/1(日)22時〜、『小山田圭吾 中目黒ラジオ』 が1/1(日)24時(2日0時〜)放送

以上
amass
@amass_jp
より

                                                                                                                                          • -

大阪市長選で橋下氏応援=石原都知事
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011112500647
→義憤を感じ、26日に大阪入りするとのこと。

「就活長い」「卒論書かせろ」 大学生ら100人がデモ
http://www.asahi.com/national/update/1123/TKY201111230310.html?ref=rss

日経OB悲劇…退職金1650万円盗まれた
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20111125-868223.html
新聞社元社員、昏睡強盗で退職金など被害 2容疑者逮捕
http://www.asahi.com/national/update/1124/TKY201111240157.html

ストロンチウム 「横浜は原発と関連なし」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011112502000027.html

消費増税反対派に「次の選挙がおっかないのか?」 安住財務相
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111125/fnc11112509530005-n1.htm
財務相「消費増税しない限り年金などの安定性担保できず」
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381949EE0E7E2E4998DE0E7E3E3E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;av=ALL
→見出しひとつで印象は変わると実感。

九電、家庭料金に年1100円加算 核燃料再処理に1.2兆円
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/274897

オリンパス、ウッドフォード氏と全面対決へ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20111124-OYT1T01045.htm

京セラミタ 社名変更
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/enterprises/manda/20111125-OYT8T00389.htm
三田誠広の実家の三田工業“コピーの三田”がこれで消えた。

郵政改革法案「今国会で結論出す」 首相が強調
http://www.asahi.com/politics/update/1124/TKY201111240576.html

DeNA春田会長「工藤監督」に好印象
http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20111125-868123.html

久保ミツロウ「モテキ4.5」+「アゲイン」

モテキ」の番外編。
登場キャラクター、中柴いつかを主人公とした漫画「モテキ ガールズサイド」に作者対談などで構成した“モテキ本”。
ドラマが評判となり、映画化ということで出版されたのだろうか。

全4巻の漫画なにの、このような別冊が出たということは読者の支持が高かったということなのだろう。
ライターによる久保へのロング・インタビュー、江口寿史との長い対談を収録。
作者はこの作品について色々と語っている。

読んでいたのだが、ちょっと途中で飽きてきた。
自分がそこまでのモテキファンではないことを痛感した。

後日、同じ著者の「アゲイン」第1巻を読んだ。
少年漫画で育った私としてはこっちのほうが気に入った。
何も考えずにスナック菓子を食べるように読める少年漫画だ。
つぼを押さえた構成も読んでいて楽しい。
これは続けて読むことにしたい。

モテキ」は変に中途半端に屈折しているのが駄目だった。
モテキ」を読む前に、この作者の作品を色々読んでいたら印象が違ったのかもしれない。

モテキ(4.5) (イブニングKC)

モテキ(4.5) (イブニングKC)

アゲイン!!(1) (KCデラックス 週刊少年マガジン)

アゲイン!!(1) (KCデラックス 週刊少年マガジン)

ZAZEN BOYS「ZAZEN BOYS4」

ファーストとサードは聴いているZAZENB0YSの4枚目。

ナンバーガールも手掛けていた、マーキュリー・レヴデイヴ・フリッドマンがプロデュースしている。
ジャケットには、フリッドマンの個人スタジオでレコーディングとミックスをしたとデカデカと書いてある。
ここまでデカく書いてあるということはそのことが重要だったということなのだろう。
ちなみに私はマーキュリー・レヴはかなり好きなバンドだ。

この柔軟性はあるが緊密でタイトな音がライブでどのように再現されているのかは私は知らないが、
アルバムをiPodで聴く限りでは気持ちいい。

アマゾンのレビューを見ると非常に評価が高く、“日本アンダーグラウンド音楽の集大成”とまで書いている人がいた。
信奉者がいるバンドなのだろうか。周辺情報をまったく知らないのだ。
私はそこまでの名盤とは思わないが、悪い作品ではないとは思う。

ていうか、この人たち別にアンダーグラウンドではないと思うのだが……。

この音楽、特に音楽好きでないナンバーガールのことも向井秀徳のことも知らない人が聴いたら
笑ってしまうのではないかと思うのだが、どうなんだろう。

歌詞も笑えるし、向井の声も、普通の歌という意味でははっきりいって相当変で突っ込みを入れたくなる類のものだ。
あの声で、「本能寺で待ってる!」と連呼されれば、なんじゃこりゃと、普通の人は大笑い、もしくは苦笑するのではないだろうか。

私はそこがこのバンドの魅力なのだと思う。

こんなヘンテコな音楽を大真面目に聴いている若者の姿を思うとなんか愉快な気分になる。もちろんいい意味で。

ZAZEN BOYS4

ZAZEN BOYS4