奥付の不思議

件の人物の関わってきた出版社から刊行されていた書籍を再確認したところ、非常に興味深いことに様々な名前が出てきました。
どうやらこの人物自身は1996年頃に改名を行ったらしく、その頃刊行されていた書籍については、
社内編集部に於いても突然の改名で混乱をきたしたのか、旧姓と新しい姓、
それぞれが発行人になった書籍がほぼ同じ時期に出されていたことが確認できました。
それ以外にも、誰が見ても明らかに同一人物でしかありえないであろうと推測される程度の発行人氏名の稚拙な改ざんの跡も見受けられましたが、
これについてはその数とその紛らわしさから、もし誰かに尋ねられた場合には『単なる誤植』で済ませるつもりであったものと考えられますし、
ひょっとするとこの当時には本当にそうやって切り抜けてきていたのかもしれません。
それ以外にも、奥付として不完全であるにもかかわらず、流通しているものも幾つか見受けられましたし、
最近では1989年頃、並びに1998年頃に使用していたペンネームで再活動を図っているようです。
しかし、この人物が今までに行ってきた詐欺的行為と借金や買掛金等の踏み倒し行為については、どうやら既に数億に上るという噂もありますし、
いい加減そろそろ、騙される取引先業者が減ってきても良さそうなものなのですが、なかなかそうもいかないようです。
今年は果たして何社の印刷会社や関係取引先に被害が及ぶのでしょうか。


さて、奥付の話に戻りますが、ある出典によると奥付とは、
『わが国の出版界独特の慣行で、書籍の末尾または末尾に近い頁に、
「書籍の題号、発行年月日、印刷年月日、版数、刷数、定価、編・著・訳者名、発行社名、印刷者名、発行所名、
印刷所名、発行所住所・電話、印刷所住所・電話番号」などを記載したものをいう。 ・・・(中略)・・・


多くの出版社が「発行者」を明示しているが、これはたいてい出版責任者の名前である。
小さな出版社では社長、大きなところでは編集局長クラスの名前となる。編集担当者の名前であることは、まずない。


また、奥付はその書籍の著作権を守る大切なページでもある。マルC表記やISBNコードが必ず記載され、著作権保持者名が欧文で表記される。
昔は定価表示もここにあったが、定価が変わるたびに奥付を訂正するのが面倒なため、「定価はカバーに表示されています」と表示して、
定価表記を省くようになった。こうすれば、カバーを取り替えるだけで済むからである。』
と解説されていました。
これが一般的な奥付の基準であるとするならば、
今までに見てきた件の人物の行っていた出版社からの刊行物の奥付は非常に奇妙なものが多かった、ということになります。


まず、私の在籍していた出版社では、マルC表記は無いのが当たり前でした。
或いはあったとしても、マルCの後ろに付けられているのは製作元となる出版社名でしたし、通常の場合は殆ど付けることもありませんでした。
著作者から余程強く言われれば付けていましたが、編集部員にはそれについての決定権はありませんでしたので、
社長を務めていた件の人物に報告をし、その指示を待つ形になるのですが、面白かったのは、それほど販売部数が伸びるとは思えない書籍や、
件の人物がそれほど重要視していない出版物や著者の場合にはマルCを著者につけることについてのOKがもらえるのが早かったのですが、
それが今後数年にわたって、何らかの形で再版が出来るであろうと考えられる書籍や、大学教授、大会社の関係者など、
件の人物にとってそれなりに利用価値がある人物の場合には、場合によっては1週間かそれ以上、返事を引き延ばされていました。
その間、件の人物は業務の多忙や自らの健康上の理由などを盾に引き伸ばしをかけつつ、穏やかに著者の説得に当たるのですが、
通常、出版に詳しくない著者の場合であれば、これによってほぼ99%陥落していたものと考えられます。
出版や著作権に関してそれなりに知識があり、
件の人物がその著者の著作物を勝手に私物化しようとしていることを見抜いてしまう著作者もいましたが、
そういう方の場合であれば著作物を執筆する前に双方の合意が得られなかった、
ということで書籍化の話自体が白紙に戻されることも珍しくはありませんでしたし、
或いは、制作にかかった途中で何らかの理由でこれ以上の制作が出来なくなったと、とりあえず原稿を返却して終わりにすることもありました。
しかし勿論、後日編集部内で件の人物によって、その著作者のことについては有ること無いこと滅茶苦茶に言われることになるのですが・・・


どうしても書籍化の流れを止めることも出来ず、マルC表記の後ろに著作者の名前を入れざるを得ない場合には、
相当に時間が経ち、著作者がイライラし始めてからのことではありましたが、とりあえず何とかマルC表記付きで書籍にはなっていました。
勿論、あくまでも嫌々付けているような印象は拭えなかったですし、
その著作者との関係は非常にまずいものになってしまうことも往々にしてありましたので、
それらの書籍については書店営業にもそれほど力が入れられるわけでもなく、常に書籍倉庫の肥やしになっていた印象があります。
もっとも、その場合であっても件の人物によって、『その書籍があまりにもニーズが無いから売れないのであって、
今後はその著者の企画は行わない』ということで編集部員には通知されていましたし、
著作者の中には実際に、「書籍が売れないので損害が出た」ということを理由に印税の支払いを引き伸ばされたり、
或いは当初の約束の一部の金額しか支払われなかった方々も存在するのではないかと考えられます。
また件の人物は、どのような書籍でもいいので、とりあえず刊行させるために売れる、売れないに関係なくさまざまな著者を集め、
とりあえず片っ端から書籍化していたのですが、実際には作るだけで殆ど営業行為などは行われておらず、
むしろ販売率が悪いのは出版社の怠慢ではないかと内部の人間でさえも思えるような場合であっても、
そのように販売率の悪い著書によって会社に損害が出たことを理由に、著者に対して損害賠償請求の裁判を起こすと、
大騒ぎを演じることも多々ありました。


しかし何よりも興味深かったのは、その奥付に記載される『発行人』氏名についてでした。
書籍によっては、発行人氏名が一切記載されていないものもありました。
件の人物によると、その理由は、『商材として販売しているのは電子書籍であって、
この書籍は電子書籍の説明書と内容のハイライトであり、書籍の形態をとっているが、実際には【電子書籍】の付録である。
このような形にしたのは、そのような形でないと、書店に納品できないからであって、それ以上の何物でもない。
電子書籍である以上、奥付がどのようなものであったとしても特に問題になるとは考えにくくいし、流通元からも特に何も言われていない。
会社名と会社住所が入っているのだから問題ない。』というものでした。
したがって、製作会社の名前と所在地が奥付に入ってはいましたが、件の人物の名前が発行人として記載されてはおらず、
件の人物はただ、『編集人』として名を連ねるのみとなっています。しかしその名前も、やはりペンネームでした。
それ以外の一般書籍でも、発行人が件の人物であることに違いは無いのですが、
複数のペンネームを使い分けてその時々の書籍によって発行人氏名を変えておりました。
そうする理由がそのときはまだ分かりませんでしたが、後日、直接その人物より、
『奥付の氏名を微妙に変えることによって、印刷会社や債権者が本の奥付を見ても、
誰が会社の代表者であるか簡単には分からない仕組みにしている』ということを直接聞き、
確かにその当時、既にその出版社の発足から既に5ヶ月を経過していましたが、
早くも数社の取引先への支払いに窮していたことを考えると、納得の出来る話でした。
毎回のことなのですが、何かの支払いに窮するたびに過去に在籍していた従業員がデータを持ち逃げした責任にすり替えるか、
或いは従業員が企画の持ち逃げしたことが原因で出版が思うように行かなくなったと編集部員には説明していましたが、
当時の編集部員が毎月繰り返されるそのような言い訳に果たしてどの程度納得していたかは分かりません。
取引先には、同じように上記の理由を話し、
『その元従業員から被害を与えられ、こちらも黙っているわけにはいかないので、裁判に出しました。とことんまで闘います。』と、
件の人物自ら被害者を演じ、支払いの引き伸ばしを何度も行ってきていましたが、
果たしてその当時、既に裁判にかける費用など一銭もなかったことを分かっていた取引先などは、
やはり手形による支払いや、確約を要求してきていましたし、件の人物自身で署名した覚書のようなものも存在するようです。
しかし結局のところは、直接件の人物に話をしに行ったがために、いとも簡単に作り話を信じ込まされ、
結果的にはその言葉に騙されて回収不能に陥る取引先のほうが多かったのは事実です。


また1995年〜2000年、そして現在、別の出版社から刊行されている書籍の奥付を確認するに、
そもそもの初めから、この出版社を存続させる意図は、この人物の中には無かったのではないかと感じています。
あくまでも予想でしかありませんが、この出版社で行っていたことは、
【定期的な刊行を繰り返し、書店にも僅かながらも流通させ、
実売数の多少に関わりなく一時的に出版実績を作り上げることによって、
経営難に陥っていた別の出版社を何らかの形で譲り受けるための下地を作るための出版】でしかあり得ず、
その流れはまさしく、1996年の出版社Bから出版社Cへの移管と同じことでしかなかったのではないかと感じています。
確かに、1996年7月〜8月にかけて、出版社Bから出版社Cにこの人物が代表を務めていたらしい会社は変貌を遂げているのですが、
その際、過去におそらく債権を抱えていたと考えられる取引先に対してはどのような話をしたかは分からないですが、
出版社Bで既に付き合いがあり、相当額の代金の支払いが出来ていなかったであろうと考えられる数社の印刷会社とは
取引を再開していたようでもあります。
その人物から直接伝授された方法から推測すると、
逆ザヤの出る仕事を新会社で請けることによって取引先相手会社に利益が還元される、と説明したのであるか、
或いは旧社名ではなく新しく新調した会社名で新たに取引契約を締結することによって先方を納得させたのか、
それとも、誰かから出資か株の購入名目で出資を行わせ、その資金を一時の印刷代金に充当したのであるか、
どのような方法をとったのかは不明ですが、
しかしこの時期、非常に大きな取引の幾つかが再開されたようであることは、ほぼ間違いないと見てもよいでしょう。


毎回の慣例として、この人物が旧会社から新会社に脱皮する際には必ず誰かがスケープゴートとして人身御供にされるのですが、
今までの出版社入れ替えの際に一体何人が犠牲になったのかが非常に気になるところではあります。
件の人物に関しての悪評やその詐欺的な会社経営の手法などは複数の方々によってネット上で晒されているようでありますが、
それだけの恨みを買っているということはやはり、常識的に考えれば、それが普通の経営ではないと捉えることも出来るのではないでしょうか。
もっとも、それだけの恨みを買っていながら、未だに誰かに殺されずに生きているというのも、ある意味不思議な感じがいたします。


その人物が現在までに行ってきたこと、そしてこれからも、おそらく死の間際まで続けるであろう事は、
決してその人物の語るような出版社の再建などといった世のため、人のための事業などではなく、
只、自らの欲望に任せて出版を行い、(その過程で裏金か隠し財産を作っているのかもしれないのですが)、
著作者や製作者、その書籍を購入するであろう読者、全てに対する裏切り行為を働くこと以外の何物でもなく、
全ての文学を愚弄し、書籍を死に至らしめる行為に他ならないのだと、改めて感じています。
そしてまた、今現在出版社Fでは求人の募集も積極的にかけているようですが、
果たしてこの内の何人の従業員が将来、自らの経歴の汚点に気付き、出版社Fで仕事をしていたことを封印して生きていくことになるのか、
これまでの出版社乱立の流れと併せて、気になるところではあります。

再版だと思われる書籍の検証

前回時系列で列挙した件の人物の関わった出版社で刊行されていた書籍の中には、
複数の出版社(全てこの人物が立ち上げ、もしくは買収などによって経営権を掌握したもの)に於いて、
複数回に渡って再版されているものもあります。
しかしながら実際には改訂であると謳ってあったとしても、
実際問題としてごく一部の作品以外は収録されている作品や内容には全く変化がありませんので、
誰がどう考えても再版にほぼ100%間違いが無いと思われるのですが、
1. 書籍の中にいくら探しても『再版』もしくは『再収録』とは書いていない
2. 誰が再版に当たっての権利を有していたのか全く分からない
3. 結局、著者には再版の事実も告げられておらず、印税は入っていないであろうと推測される
事から、再版とは表記されず、初版扱いで製作され、取次各社に流通されているものと推測されます。


再版に当たって、本来であれば出版社側から著作者に対して再版を行う旨と印税の支払いに関して、
通知連絡を行う義務があるのですが、多くの場合はそういった通知も行われず、
またその再版によって仮に何らかの収益があった場合であっても、印税については一切支払われていないものと考えられます。
更に不可解なことですが、初版と再版で著作者が違うにもかかわらず、内容は全く変更無し、という書籍も実際に存在します。
これについてはいわゆる『盗作』に当たるのではないかと推測されるのですが、
当時の関係者全てが沈黙している現在、それを確認する術はありません。



:: 再版書籍の検証 ::
*再版であると推測される(事実上は再版)書籍に関しての比較検討
*一部書籍については、2007年現在ある出版社から再版が行われていることが確認された。この出版社は現在も出版業務を行っている。



◆漫画関連書籍
●出版社A
1993年8月   漫画のムック本    :著作権表記なし
1993年10月  特撮漫画のムック本  :著作権表記は著者名 

●出版社B
1994年6月  特撮漫画のムック本 改訂版 :著作権表示なし
1994年9月  漫画のムック本 改訂版  :著作権表記は著者
1994年9月刊行の奥付には 著者名の後に©マークが付けられている。


出版社Bから再版されているものについては一応、タイトルに「改訂版」と付けてありましたが、
目次、内容共に出版社Aから刊行されていたものとの相違は見当たりませんでした。
著者の略歴についても全く同一なのですが、なかなか興味深いことに
『漫画のムック本』『特撮漫画のムック本』共に著者名は違うが、著者略歴は全く同じものであり、
同一人物が違うペンネームで執筆したものではないかと推測されます。
この著者の素性は不明であるのですが、件の人物自身、もしくは何らかのつながりのある人物である可能性は高いと思われます。


◆BL関連書籍
●出版社B
▼主要刊行物::BLコミック雑誌
1994年5月〜1996年4月にかけて月刊誌として計12冊刊行された。
その中から6名のBL作家の作品が単行本化(著作権表示は著者)されている。


▼主力刊行物::BL小説雑誌(季刊)
1994年12月〜1996年6月にかけて計7冊刊行された。

●出版社C
▼主要刊行物::BLコミック雑誌 → 出版の継続
1、1997年1月  BLコミック(単行本) 2冊 :著作権表示は著者
  主要刊行物であったBLコミック雑誌から2名の作家の作品がコミック化されている。
2、1996年9月〜12月  BLコミック雑誌 特集版が刊行される
  この時期から月に4冊以上の割合で『保存版』と銘打ったものが刊行される。
  しかし内容については大きなサイズのものをかなり強引に単行本サイズに詰め込んだため、端の台詞が切れるなど、
  必ずしも完全な形ではなかったようである。
  保存版は14冊と『同人傑作選』と銘打った2冊が刊行された。
3、1997年1月  実質最後となるBLコミック雑誌Vol.16 が刊行される。


▼ 1996年9月〜1997年2月  BL小説単行本  46冊
出版社Bに於ける主力刊行物であったBL小説雑誌より、殆ど全ての作品が単行本化される。
しかしこの際、件の人物は単行本化に当たって常識では考えられないような著作権法の著しい侵害行為を行ったと考えられ、
このことは後に同人の世界で幅広く語り継がれることとなる。
尚、この小説(ノベルズ)については一切の著作権表示がされていない。


※出版社Bの主力刊行物であったBL小説雑誌(季刊本)については、
1996年 9月   Vol.8
1996年 11月   Vol.9
1997年 1月   Vol.10   がそれぞれ刊行された。


※BL小説単行本刊行時の様々な問題::
1、ある日いきなり作家に電話が入り、今回新たに雑誌掲載作品の単行本を刊行することに決まったと告げられたが、
 印税の支払いなどに関しては話を誤魔化される。
 取引条件として未入金の印税の支払い終了後の刊行にすることを申し出たところ、
 『原稿は既に出版社Bに於いて買取が終了しており、著作権は出版社側にある。刊行に当たって、作家には口を挟む権利は無い』と凄まれ、
 結局刊行を承認せざるを得なかった。
2、1ヶ月に10冊以上の単行本を急ピッチで刊行していたため、既に他の出版社に於いても
 『あの出版社Cは危ないのではないか』という噂は囁かれていた。
3、倒産時、何の連絡もなく、ある日いきなり原稿が郵送されてきた。
4、一部の作家に関しては原稿の返却も行われず、『印刷会社にフィルムのみが残っている』と告げられた者も存在する。
5、結局印税は入金されず、原稿料も踏み倒された。
 一部の作家の有志が集まり、会社事務所を訪問したが、既に引き払われており、中はもぬけの殻であった。
6、一部作家有志が債権回収の裁判を起こしたが、取次会社や印刷会社の債権額の方が大きく、結局は回収できなかった。
7、この当時、代表者であった件の人物はそれぞれの刊行物ごとに複数の名前を使用していたが、
 作家や同人関係者の間では既に同一人物であると見抜かれていた。
8、この後、件の人物は海外(オーストラリア)に出国。その後の消息は不明となり、多くの作家が泣き寝入りをすることとなった。
 (この人物は現在、出版社Fに関わっていると考えられる)



◆絵本
絵本は写真集と共に件の人物の非常に思い入れの強いジャンルの一つですが、残念ながら利益が見込める部門ではありません。
しかし経営の急場しのぎのために刊行部数を増やすための手段としては非常によく用いられていたようです。


●出版社B
1996年5月
1996年6月
1996年7月
1996年8月  英語と日本語で表記された絵本:全て同一の著者によるもの

●出版社D
1999年2月  上記の4冊が一度に再版される



◆写真集(?)
通常の写真集よりも版型は小さく、コンパクトなのですが果たしてどこまでの採算が見込めたのかは分からないものが多く出されています。
おそらく件の人物が自分で撮り貯めていた写真を使用していると考えられるので、著作権的な問題は生じないのでしょうが、
明らかに同じ写真ばかり使用されている部分もありますので、そういう意味では非常に自己満足的な出版の産物であるかと思われます。


●出版社D
1998年8月  『野良猫』をタイトルに掲げた写真集

●出版社D
1999年2月  同じタイトルで、前回は英語タイトルであったが今回は日本語。

●出版社X(出版社の詳細については調査中)
2006年5月  『野良猫』という言葉は一応、タイトルに入っているのですが、前回のものとは微妙にタイトルが違います。
写真が同じ人物のクレジットで、一部には同じ写真が使われています。
こちらのものには詩が付いているようです。また、星雲社を仲介して取次に納品していたようです。

●出版社F
2007年2月  Cat Cardというタイトルでカードとして販売された模様。(全4冊)写真を撮ったのは上記の写真集の著者と同じ人物。
ここで使用された写真の中には、出版社Bから刊行されていた写真集の写真も使われていると考えられます。



◆一般書籍
※出版社Dは1998年7月に出版業務を開始している。
したがって、件の人物がもし出版社Cの閉鎖後に海外に逃亡していたのであれば、この段階では帰国していたことになる。
しかし出版社を元手無しに立ち上げるというのは不可能であると考えられるので、何らかの資金の流れがあったものと推測される。

●出版社B 刊行
1996年4月  料理人による中華料理レシピ本 Vol.1(海鮮メニュー)   
1996年6月  料理人による中華料理レシピ本 Vol.2(肉メニュー)

●出版社E 刊行
1999年1月  
『中華のご馳走レシピ』として上記2冊を1冊にまとめた形で再版される。
海外向けにそれまで中国語表記であったメニューが英語表記に改められているが、内容は初版のものと全く相違がない。

●出版社F
2007年5月頃  版型は不明であるが、『中華美食』という形で再版された模様。

内容等は未確認ですが、既に出版社Dでの再版に於いて、取材先の記載等についても全く相違が無かったことなどを考慮すると、
著者には再版の事実は知らされていない可能性も高いのではないかと推測されます。
それであれば、印税の支払いなどに関しても、おそらく行われていないのではないかと考えられます。
出版社Dによって保有されていた著作権(書籍奥付には著者に著作権表記はされていない)が
件の人物によって出版社Fに移管されたと捉えるべきなのでしょうか?


▼唯一、著者名の変更無しで再版が繰り返されている書籍
●出版社C
1996年8月  いじめに関しての書籍

●出版社D
1998年10月  いじめに関しての書籍(微妙にタイトルを変更?)

●出版社F
2007年6月  出版社Cで出されていたタイトルで再版
非常に不可解な流れですが、この書籍のみ唯一、著作者が変更されていません。
果たして、著作者は再版の事実を知っているのでしょうか?



▼再版後、著作者が変更になっているもの
●出版社B 刊行
1996年7月  不動産詐欺の指南書
1996年7月  女性の職業紹介本

●出版社D 刊行
1998年10月  不動産詐欺の指南書(*Y)
1998年10月  女性の職業紹介本(*Y)
興味深いことに、出版社B刊行の初版と、出版社Dの刊行の物とでは著者が違うことになっています。
しかし内容は目次を含めて全て同一のものであり、一切の相違がありませんでした。
女性の職業紹介本がこの後再販されていないのは単純に、当時の人気職種と現在のそれがやや違っていることや、
当時と現在でのワークスタイルの変化などにより、再度取材が必要であるためであろうと考えられます。


●出版社C 刊行
1996年8月  復讐方法の指南書

●出版社D 刊行
1998年12月  復讐方法の指南書(*Y)
非常によく似たタイトルで刊行されているが、内容に相違は無い。


今現在、出版社Fからはまだ、上記書籍の再版は確認されていない。



●出版社B 刊行
1996年7月  父と子のアウトドア指南書
●出版社C 刊行
1996年8月  ボディビルディングの指南書
1996年8月  女性の下着についてのファッション本
1996年8月  女性の健康に関しての書籍

●出版社D 刊行
1998年10月  父と子のアウトドア指南書(*Y)
1998年10月  女性の健康に関しての書籍(*Y)
1998年12月  ボディビルディングの指南書(*Y)
1998年12月  女性の下着についてのファッション本(*Y)
この4冊に関しては未確認の1冊を除いて全て、著者が初版のものと違っていたが、
内容は誤植も含めて(!)全く相違が認められなかった。

●出版社F 刊行
2007年6月  父と子のアウトドア指南書(*Y) : 同一著者
       女性の健康に関しての書籍(*Y) : 同一著者
       ボディビルディングの指南書    : 編集部 刊
       女性の下着についてのファッション本(*Y) : 編集部 刊
現在のところ、上記の4冊の再版が確認されている。

(*Y)の書籍については、同一著者によって執筆されておりましたので、
この著者の経歴を調べてみたところ、非常に興味深い事実が判明しました。
同姓同名の女性で、元スチュワーデス、現某大学教授の方が実在し、
大和所房より著書を出されているのですが、この方の略歴とは全く一致しません。
(つまりこの方とは明らかに別人であるということになります。)
某所にありましたこの人物の経歴によりますと、
『フリーカメラマンからフリーライター、雑誌・書籍編集を経て、出版社を再建。
印刷会社の立ち上げまで経験し、企画から印刷製本、流通まで全てがわかる編集者。』と紹介されておりますが、
果たしてどこまで真実でありましょうか。
過去の記録を調べた限りでは、印刷会社に多大な迷惑をかけたことこそあれども、
実際に立ち上げを行ったという事実(?)については確認できませんでした。

現在までに確認できた限りでは、
『1988年10月にあるコミック出版社からSFホラーコミック雑誌を刊行。この際に一部漫画の原作にも関わる。
当該コミック誌は3冊のみを刊行。
1989年1月に当該出版社は倒産した模様であり、やはり多くの作家が強制的にフリーにならざるを得ないような状況に置かれる。』
というのが出版に関わる最も古い経歴であるようなのですが、果たして今後、どのようなものが出てくるのでありましょうか。

更なる出版社

ある再版書籍を追跡していたところ、更に別の出版社に行き当たりました。
この出版社は現在も業務を執り行っており、
出版物のジャンルはビジネス書、絵本、グルメなど多岐に渡っていますが、
新たにライトノベルにも進出を図っているようです。
ライトノベルに関しては、おそらく小学館ガガガ文庫ルルル文庫の模倣であると思われますが、
なかなか難しいジャンルに敢えて取組むその姿勢は評価してもよいのではないかと感じます。
この出版社(出版社Fとします)については、経緯は不明でありますが、
何らかの形で件の人物により買収もしくは身請けされた既存の出版社であると推測されますが、確認は取れておりません。
しかし関連会社の役員に件の人物が名を連ねておりますので、何らかのつながりはあるのでしょう。
さまざまな記録によると、どうやら既に昨年度末までに相当の赤字を抱え、
2千万を超える負債を抱えていたようでありますが、今後の活動を注意深く見守っていきたいと思います。
当該出版社に於いては既に新人作家の公募なども行っているようですが、
出版社Bや出版社Cが行ったような、作家や読者を裏切るような行為が再び行われるのかどうか、気になるところではあります。
10年前と違い、新風舎の一件も大きく取り上げられる時代になったからこそ、
当該出版社に於いては健全で透明な経営を心がけていっていただきたいと願っております。

著作権の表示

ある出版関係者からの指摘で、過去にその疑惑の人物が関わったと推測される刊行物の著作権表記に関して
非常に面白いことに気が付きました。
通常、出版物にはおおよそどのようなものであれ、著書名、著者名、出版社等の表記とは別に、
©マークと共に、アルファベット表記にてその著作権保持者の名前が入れられます。
ここに入る名前は、大抵の場合は作家本人であることが多いのですが、
編集プロダクションの作成した書籍などの場合はその著作権を保持する会社
(多くの場合、編集プロダクション、もしくは版元である出版社)の名前が入ります。
既に倒産した大陸書房の小説にもその表記はきちんと入っておりましたし、
MDN社製のデザイン関連書籍にも勿論、表示されています。
角川書店は言うに及ばず、普通はどこの出版社の刊行物であれ、それが聖書やコーランなどのように歴史的な著作物であり、
著者ではなく『訳者』と表記されるのでもない限りは、著作権の表示が入るのですが、
今回調べた出版社の刊行物に関しては、いささか奇妙な様相を呈しておりました。
それについて記録しておきます。



::: 概要 :::
*刊行年月日、書籍の種類、著作権表記の有無とその種別
*実際には1993年〜1999年までの間に複数の出版社にまたがって相当数の書籍が刊行されているが、
ここでは資料が確認できたもののみを列挙した。



●出版社A
現在も通常業務を行っている。おそらくこの時期に出版コードの貸し出し、もしくは業務提携を行っていた可能性がある。
全て発売元と発行元が別の会社となっている。

  1993年8月   漫画のムック本    :著作権表記なし
  1993年10月  特撮漫画のムック本  :著作権表記は著者名 
  1993年11月  海外雑誌(小説など) :著作権表記は発売元の会社(アルファベット表記)

   

●出版社B
1994年業務開始、刊行物が確認できたのは1996年7月まで。
この出版社の著作権表記で著者以外のもの(企画製作会社、出版社)については全て日本語で記載されている。
(C)が英語であることを考えると少々不自然な印象もあり、非常に珍しい記載方法ではないかと考えられる。


1.主要刊行物::BLコミック雑誌(月間→隔月→最後は不定期になった模様) 
 1994年5月〜1996年4月にかけて計12冊刊行
  1994年5月 Vol.1 : 著作権表記は企画製作会社
  1994年8月 Vol.2 : 著作権表記は企画製作会社
  1995年1月 Vol.4 : 著作権表記は出版社


2.主要刊行物::BL要素を含むホラーコミック雑誌不定期→月刊化)
 1995年4月〜1996年4月にかけて計9冊刊行
  1995年4月 Vol.1 : 著作権表記は出版社
  1995年8月 Vol.2 : 著作権表記は出版社
  1995年9月 Vol.3 〜 1996年4月 Vol.9 : 著作権表記なし


3.主要刊行物::BLコミック雑誌(隔月)
  1996年2月〜1996年6月にかけて計3冊刊行 : 著作権表記なし


4.主力刊行物::BL小説雑誌(季刊)
 1994年12月〜1996年6月にかけて計7冊刊行
  1995年4月  春の号  : 著作権表記は出版社
  1995年10月 秋の号  : 著作権表記は出版社
  1996年6月  Vol.7  : 著作権表記は出版社


5.準主力刊行物::SFコミック雑誌
  1996年7月 Vol.1 : 著作権表記は出版社


6.準主力刊行物::ホラーコミック(シリーズ)
 1995年11月から刊行が始まる。主力雑誌であった『2』の雑誌掲載作品の単行本化。
 シリーズとして刊行される予定であったと考えられるが、実際に確認できたのは、この1冊のみ
  1995年11月 : 著作権表記なし


7.準主力刊行物::BLコミック(シリーズ)
 1995年12月から刊行が始まる。主力雑誌であった『1』の雑誌掲載作品の単行本化。1996年7月までの間に6冊刊行される。
  1995年12月  1冊
  1996年2月   1冊
  1996年4月   2冊
  1996年6月   1冊
  1996年7月   1冊 :全てについて 著作権表記は著者


8.その他雑誌::
  1996年5月  漫画の解説本(?)   
  1996年5月 ファンタジーコミック雑誌 Vol.1     
  1996年7月  コミック/ノベル月刊誌 Vol.1    :全て著作権表記なし
 このうち、1996年5月刊行の2冊については(C)Printed in Japanとなっている。


9.その他BL書籍::
  1996年 3月  アニメの二次創作BLアンソロジー  : 著作権表記なし


10.写真集::一般に見られる大判サイズではなくB5よりも小さな版型のものが中心。
  1994年8月   写真集(猫)    : 著作権表記は著者
  1995年11月  写真集(動物)   : 著作権表記なし
  1996年4月   写真集       : 著作権表記は出版社


11.絵本::掌サイズの絵本やB5よりも小さな版型が中心。一般的絵本より小さい。
  1996年1月  ミニ絵本 Vol.1      : 著作権表記なし     
  1996年1月  ミニ写真絵本 Vol.1    : 著作権表記なし 
  1996年1月  ミニ写真絵本 Vol.2    : 著作権表記なし 
  1996年4月  英語の写真絵本 Vol.1   : 著作権表記は出版社
  1996年4月  英語の写真絵本 Vol.2   : 著作権表記は出版社
  1996年5月 写真図鑑(?)      : 著作権表記は出版社
  1996年6月  絵本           : 著作権表記は著者
  1996年6月  絵本           : 著作権表記は著者


12.ガイドブック::
  1996年1月  ガイドブック   : 著作権表記なし
  1996年2月  ガイドブック   : 著作権表記なし しかし会社名の表記はあるので、単なる(C)マーク忘れであると思われる


13.料理本::
  1996年4月  料理人によるレシピ本 Vol.1   
  1996年6月  料理人によるレシピ本 Vol.2   
 共に刊行年と著者名は入っているが(C)マークはない。
 意図的なものか、単なる(C)マーク忘れの誤植であるかについては不明。


14.一般書籍::
  1995年1月  TVドラマシナリオ集           : 著作権表記は著者
  1995年4月  タレントによって書かれた一般書籍   : 著作権表記は著者
  1996年7月  一般書籍(トラブル対処法指南)    : 著作権表記は出版社
  1996年7月  一般書籍(不動産詐欺指南)       : 著作権表記は出版社
  1996年7月  一般書籍(海外旅行紹介)        : 著作権表記は出版社
  1996年7月  一般書籍(職業本)           : 著作権表記は出版社
  1996年7月  一般書籍(PC本)           : 著作権表記は出版社
  1996年7月  一般書籍(アウトドア本)       : 著作権表記は出版社
  1996年7月  一般書籍(職業本)          : 著作権表記は出版社
  1996年7月  一般書籍(スポーツ本)        : 著作権表記は出版社


15.再版書籍::
  1994年9月  漫画のムック本   : 著作権表記は著者
 (1993年8月に出版社Aから刊行されていた物の再版。同時期に刊行されていた別のムック本も再版されているので、
 この当時の発行元会社から何らかの方法で再版の権利を受け継いだとみるのが自然であろう。)



●出版社C
基本的には出版社Bの業務を受け継いだものと推測される。
1996年8月に業務開始。しかし1996年7月〜1996年8月にかけて刊行された書籍奥付には、
既出の出版社B とこの出版社Cがそれぞれ、発行元、発売元として併記されている。
1997年2月の刊行を最後に倒産したものとみられる。
ここでも、著作権表記が出版社にあるものについては、日本語で記載されている。


1.一般書籍::
  1996年8月  一般書籍(復讐指南本)      : 著作権表記は出版社
  1996年8月  一般書籍(ファッション本)    : 著作権表記は出版社
  1996年8月  一般書籍(トレーニング本)    : 著作権表記は出版社
  1996年8月  一般書籍(教育本)    : 著作権表記は出版社
  1996年8月  一般書籍(ゴシップ本)    : 著作権表記は出版社
  1996年8月  一般書籍(ボランティア指南本)  : 著作権表記は出版社
  1996年8月  一般書籍(芸能本)    : 著作権表記は出版社
  1996年12月  一般書(宗教団体ルポタージュ)  : 著作権表記は著者


2.出版社Bから刊行されていたBL月刊雑誌
 1996年9月〜12月にかけて1ヶ月に3〜6冊のペースで保存版が刊行される。
  1997年1月  Vol.16   : 著作権表記は出版社


3.BLコミック(シリーズ)::出版社Bで準主力刊行物とされていたもの
  1997年1月  1冊 (実質、これが最後となる) : 著作権表記は著者


4.主力刊行物::BL小説(シリーズ)
 1996年9月〜1997年1月までの間に約50冊余りが刊行された模様。
 1ヶ月当たり平均7冊、多いときでは20冊以上刊行されていたようである。
  1996年9月     3冊  
  1996年10月    2冊  
  1996年12月    4冊 
  1997年2月     1冊  : 全て著作権表記なし


5.その他月刊誌::出版社Bより1996年7月に刊行されたものの続編に当たる
  1996年8月  コミック/ノベル月刊誌 Vol.2  : 著作権表記なし



●出版社D
1998年7月に業務開始。1999年2月までと考えられるが、その後、出版社Eに名称を変更したものと考えられる。
1998年12月〜1999年2月の間に刊行された書籍に関しては、
出版社Dの名称の奥付のものと出版社Eの名称にシールで訂正されたものとが混在する。


1.再版(一般書籍)::1996年7月〜1996年8月にかけて出版者B、並びに出版社Cから刊行されていた書籍の再版と考えられるが、
 それについての記述は無い。全書籍が同一の著者(過去の著者とは別人)によって執筆されているようであるが、
 内容は左記に刊行されたものと誤植まで含め、寸分たりとも違わない。
 タイトルのみ変更され、巻末に参考資料が付けられているが、それ以外は全く同一の書籍である。

  1998年10月  一般書籍(職業本)       : 出版権表記は著者
  1998年10月  一般書籍(婦人本)       : 出版権表記は著者
  1998年10月  一般書籍(アウトドア本)    : 出版権表記は著者
  1998年10月  一般書籍(不動産詐欺指南本)  : 出版権表記は著者
  1998年12月  一般書籍(ボランティア指南本) : 出版権表記は出版社
  1998年12月  一般書籍(職業本)       : 出版権表記は出版社
  1998年12月  一般書籍(ファッション本)   : 出版権表記は出版社
  1998年12月  一般書籍(復讐指南本)     : 出版権表記は出版社


2.再販(BL)::出版社Cに於いて1996年9月〜1997年1月までの間に約50冊余りが刊行されたBL小説(ノベルズ)の一部の再版と考えられる。
  1998年11月  BL小説 2冊 : 出版権表記は著者


3.再版(料理本)::これは1996年4月と6月に出版社BよりそれぞれVol.1、Vol.2として刊行された書籍を1冊に纏めた物で、
 内容そのものには一切変更は無い。海外販売を念頭に於いて再版されたものと推測され、
 以前は中国語表記であった料理名が英語に変更されている。また、書籍のタイトルも変更されている。
  1999年1月  料理人によるレシピ本 : 出版権表記は著者


4.絵本::1995年5月〜8月にかけて出版社Bより刊行された英語と日本語で併記された絵本の再版と考えられる。
  1999年2月  絵本 4冊  : 出版権表記は著者


5.一般書籍::再版以外に数冊の一般書籍も刊行されていたようであるが、現存する資料が非常に少ない。現在確認できたもののみここに記す。
  1999年1月  一般書籍(芸術)  : 出版権表記は著者



●出版社E
1999年3月〜1999年8月まで業務を執り行っていたと推測されるが、1999年8月以降にこの出版社がどうなったかは不明である。
出版社D,出版社Eの書籍に関してはその残存数が非常に少ないため、確認できたもののみを列挙する。


1.絵本::合計6冊の絵本が刊行されている。
  1999年4月   絵本  1冊          : 出版権表記は著者
  1999年5月   絵本  1          : 著作権表記なし
  1999年5月   シリーズ物の絵本  全4冊   : 著作権表記は出版社


2.一般書籍(職業紹介本)::主力刊行物であったと考えられ、1999年7月までの間に全7冊が刊行されている。
  1999年5月   2冊  
  1999年6月   3冊    : 全て著作権表記は出版社


3.グルメ本::このジャンルの刊行物がこの出版社の主力の一つであったと考えられ、
 1999年7月までの間に8冊のグルメに関係する書籍が刊行されているようである。
  1999年5月  ワインの紹介本  1冊
  1999年6月  ワインの紹介本  1冊  : 共に著作権表記は出版社となっている


4.PC関連書籍::この出版社からはPC関連の書籍は殆ど刊行されていない。
 2冊刊行されているようであるが、確認できたのは内1冊のみである。
  1999年7月   PC本   : 著作権表記は出版社



著作権表記が著者、もしくは出版社にあるのは理解できる話ですが、表記の無い書籍というのはどのような経緯があったのでしょうか。
また、一部再版書籍に関して、著書名と著者名が変更になっていながら、内容に全く相違が無いのも不可解です。
おそらく、何らかの形でコンテンツや版権の譲渡が行われたのであるのかもしれないのですが、
しかし出版社B、並びに出版社Cは相当の金額の債務を抱えて倒産に至ったと考えられること、
倒産時に於いて、その資産調査で債権者側は出版社B並びに出版社Cに一切の資産も確認できなかったという話も聞いておりますので、
この譲渡がいかなる形で行われたのであるか、その方法如何によっては非常に大きな問題となる可能性も秘めているのではないかと考えられます。
同様に、出版社D、出版社Eに於いて再版されている書籍は現在、全く別の出版社から再び再版されており、やはりこの経緯についても不透明です。

不思議な指南本

あるきっかけで、件の人物によって書かれた、今からおよそ10年ほど前に倒産した出版社から出されていた
詐欺の方法についての指南本を入手しました。
内容は正直なところ、あまり褒められたものではありませんし、一言で言い表すならば
『お粗末であること極まりない、書き手の品位が問われる書籍』といったところでしょうか。
正直な感想としまして、このようなお粗末な内容ではそれほど売れなかったのではないかと推測されます。
あるサイトでこの書籍についてのレビューを見たことがありましたが、そのレビューでも大いに批判されており、
やはり現実離れした、一歩間違えば犯罪になりかねない方法の指南書など、
それなりの文章力があればまだ何とか読むに耐えられたのでしょうが、ここまで文章力に乏しい場合、
非常に厳しいものがあることは確かです。
逆に言うならば、この当時、この出版社内では既に編集部員なるものが存在せず、
そのような簡単な書籍の編集さえも出来る状況には無かったとも見て取れます。
それでもこの時期、約6社かそれ以上に及ぶと考えられる印刷会社がこの出版社と新規の取引を始めています。
果たして、いかなる方法を使ったのか、解明される時が果たして来るのでしょうか。


この書籍を出版した当時のこの出版社の内情を推測するに、
何らかの理由で、編集部員や社員が一斉に辞めたようであり、
おそらく一時的なものと思われるのですが、会社内の人材が一気に不足した時期と重なるようではあります。
それと共に、おそらくそれまでの印税や原稿料の支払いに関しての問題からであると考えられるのですが、
刊行物の中核を成していたBLの著作者たちが一斉にこの出版社から離れていった時期とも重なっているようで、
そういったことからも、この人物としても緊急に、どのような形でもよかったので、
従来通りの毎月の刊行部数を維持する必要があったものと推測されます。
この出版社に於ける主力出版物はBLでしたが、やはりこの書籍が刊行された当時、BLの刊行部数が一気に減少しており、
そういう意味合いからも、やはりこの出版社のBL部門に何らかの問題が生じたものと考えるのが自然かもしれません。
この時期、BLに代わってまるでそれまでのBLの刊行部数を埋めるような勢いで
一般書籍や絵本など、ごくごく普通の書籍が刊行されているのですが、
その中には現在に於ける再版にまでつながると考えられる非常に興味深い書籍も多数あります。
小説、一般書、絵本など全てに於ける著作権表記は、他の出版社では見られないような不思議な様相を呈しており、
その後に続いていく再版の流れと併せて、今後、考察していきたいと思います。


この書籍を刊行したことは、その人物本人にとっては、今まで自分が培ってきた詐欺的人生、
並びに現在は『芸術』的レベルにまで高められているその手法のその時期に於ける集大成として、
いわゆる独りよがり的な『一里塚』としての意味合いがあったようにも感じるのですが、
逆に、世間一般的レベルとしては、この書籍を刊行したことで、
当人の品位を貶める結果になったのかもしれないものと考えられます。
その証拠に、この書籍については、『不動産』、『復讐』という2つのジャンルを取り扱ったのみであり、
おそらく誰よりも派手に目立つことを好むこの人物の計画としては第3弾、もしくは第4弾まで計画されていたとも考えられますが、
その後、このジャンルに関しては完全に沈黙し、
唯一、この刊行の2年後に非常に不可解な形で新たな出版社より再版されているのみですから、
当人の目論見とは裏腹に、あまり評判は良くなかったということかもしれません。
しかしこの時期に刊行されていた書籍はほぼ全て、
今から約7年以上前に一度、別の出版社から再版されているようですから、
経営の一時しのぎとして出版物の刊行数を稼ぐために作って売っただけの書籍であった可能性は大いにあると考えられます。
果たして、取次各社がどれだけの部数を委託で引き受けたのかが気になるところです。


上記に述べた2冊の指南本の内容については先にも述べたように、内容には特筆すべきものはありませんが、
しかしながら、この著者、ひいて言えば私のかかわることになった、ある興味深い人物の考え方や行動などの指針を伺い知ることが出来る、
今では貴重な資料といえるかもしれません。
そのいずれの刊行物に於いても詐欺を行うことを奨励しており、
『如何にして上手く他人を騙すか』、について解説することにそのページの殆どが割かれています。
また、他人を上手く信用させ、本人の気付かないうちに(利用されている本人にこれ以上ない幸福を味あわせながら)、利用し、
破滅させる方法であるとか、或いは極めて陰湿な、すべてが計算された方法で他人を貶め、
それをきちんとした証拠として収集する方法など、
詐欺や復讐の実践的方法の解説は多岐に渡っており、
もしこれがこのような稚拙な文体ではなく、もっとしっかりした文章で書かれていたならばおそらく、
当時にしてもまだ少しは売り上げが伸びたのではないかと考えられます。
しかしながら、その内容に関しては当時であればまだ、法的な規制も緩やかでありましたので許されたかもしれないのですが、
はいっきり言ってしまえば犯罪を奨励していると受け取られても致し方の無い内容かと思われますし、
ごくごく普通の正常な人間であれば、この著者の独りよがりでいかにも知ったかぶりの文体に疲れてしまうのではないかと感じます。
文体はある意味非常に馴れ馴れしく、しかしその思考回路は極めて陰湿、克つ幼稚であり、一応は今後の参考までに読破しましたが、
ここまで疲れる書籍というのも正直なところ珍しいのではないかと思います。
読後の感想としては、この人物は自らIQ180以上であると豪語し、そのように従業員全員にも自慢しておりましたが、
実際にはここまで品位の無い、程度の低い人間であったのかと、驚きを禁じ得ませんでした。
この人物が今まで如何に口先だけで上手くその場その場を乗り切り、
他人の財産や資産のみを当てにして、行き当たりばったりで生きてきたのかを伺い知ることが出来、
ある意味では収穫であったのかもしれませんが、読めば読むほどストレスの溜まる書籍かもしれません。
しかしその人物の性格を知る上ではいくらかの助けにはなりましたし、また、今までの武勇伝の一環として、
ある大学関係者(教授であるということですが、詳細は不明です)を脅迫したとも聞きましたが、
その方法についてもおそらくはこの書籍に書いてある方法を踏襲したのであろうと推測することが出来ます。
(逆に言えば、10年以上前の方法が今でも通用するということでしょう。
当然、アレンジはそれなりに加えられていると考えて然るべきですが。)


しかしこれらの書籍を紐解いたことによって、
今までに聞かされてきたこの人物の経歴全てに矛盾があることが益々はっきりしてきたのも事実ですし、
その生い立ちさえもが或いはその人物によって巧妙に作り上げられた偽物である可能性をどうしても拭うことが出来ず、
大きな疑念となっています。
聞かされてきた経歴について調べれば調べるほど、この人物の周りから人間らしさが失われていくような不思議な感覚があり、
それは今でも消えていませんし、逆にこの人物のことを知れば知るほどに、この人物に対する謎は深まっていきます。
また、今までになぜ逮捕されることも無く、ここまで生きてきたかも不思議ですし、
そのスキャンダル芸能人顔負けの結婚・離婚歴、女性関係も物凄いものがありましたが、
結婚と養子縁組に伴った改名も5回以上に及んでいるようですので、
改名によって、或いは複数回に及ぶ海外への一時的出国によって、何とか逃れてきたというところでしょうか。
そう考えるならば、今現在も出版に関係した仕事を行っているようですが、
やはり海外に出国するための資金を作り、来るべき(或いは起こすべき?)倒産に備えていると考えるのが自然なようでもあります。


現在のところはこの人物は一応、『善人』として自分のイメージを作り出すことに腐心されているようで、
過去に行ってきたBLやアダルト関連、詐欺の指南といった書籍に関しては封印しているようであり、
おそらく再版を行うことは無いものと考えられます。
しかしながら、盗作の疑いのあるもの、著作権ネコババに当たると考えられるものに関しては、
今尚、再版を行っているようでもあり、単純に考えたところ、
出版というものそれ自体がこの人物にとっては
行き当たりばったりのその場しのぎの生活手段にしか過ぎないのであろうと推測されます。
しかし、この人物の所為によって作家生命を絶たれた方々や、或いは人生そのものを破壊された人々も確実に存在するため、
一般的会社経営者、或いは編集者であるにしては、
尋常ではない数の恨みを買っていると見え、あらゆる種類の誹謗中傷が非常に多かったことも事実です。


今後、果たして10年前の倒産劇と同様の惨事が起こるのか、
過去の遺物の一人として、この人物の行く末と、今現在、周りで捨て駒となって骨身を惜しんで働いている方々の動きを注視しつつ、
今更ながら絶対に無理な相談ではあるのでしょうが、過去の全ての負債がきちんとこの人物によって清算されることを願っています。

記録の考察: 印刷会社

昨日より、ある人物とその人物の関わった出版社(全て既に倒産)が仕事を依頼していた印刷会社のリストを作っていました。
現存する資料から辿ることのできたもっとも古い記録では1988年の出版社立ち上げと、それに続くコミック月刊誌の刊行でしたが、
この当時に関しての記録は殆ど残っていないため詳細については分かりません。
また、1988年前後の流れに関しても現存の資料で辿るのには非常に無理がありましたが、
ある作家のHPに於いてそのコミック出版社の倒産について僅かながらも触れられており、
確かに1988年のこの出版社の倒産によって数名の作家が職を失い、半ば強引にフリーにならざるを得なかったことは事実であるようです。
その後、1994年頃からいわゆるその後のこの人物が生計を立てる元になっているのではないかと推測される、
出版社を始めとする会社の立ち上げと、どうやら計画的らしい倒産の繰り返しのスパイラルが開始されているようで、
ほぼ2〜3年、短い場合は1年で会社の立ち上げと倒産を繰り返していたようです。
それぞれの会社では、非常に大きな金額の取引を何度も行っていたようですので、
それぞれの会社の規模もそれほど小さいわけではなさそうですし、それなりに何らかの資料などは残っていそうなものであるのですが、
会社が確かに存在したという痕跡自体が非常に少ないために会社の過去を辿ることもなかなか難しくなっているのが現状です。
しかし今回分かった限りでは相当な数の取引先全てが結局債権を回収できていないようですので、
裁判等いろいろ起こされてもおかしくはないのですが、
なかなか不可解なことに関係する会社の役員達は皆、行方知れずになっているようであり、
その後果たして何があったのか、債権はどうなったのか、非常に気になるところです。


過去にこの人物から聞かされてきた限りでは、殆どの印刷会社の未払いに関しては
1、倒産したのは全て後輩の会社であり、自分はただ名義を貸していただけ
2、印刷会社の中にはヤクザを送り込んでくるところもあったので、そういうところは一軒ずつ潰していった
3、それ以外のところとは、自分はあくまでも名義を貸しているだけだと話をし、話し合いで解決している
ということであったので、その人物の下で仕事をしている間はその人物の言うとおりであるのだろうと信じておりました。
逆に、それに対して疑念を差し挟む余地はありませんでしたし、実際、私が全てを知ったのは結局、
全てがこの人物によって完膚なきまでに崩壊させられた後のことでしたから、
裏を返せば、そこまで荒唐無稽な話を信じ込ませてしまうほどに、
その人物の口が非常に上手いということに他ならないわけなのですが・・・。
(もっとも、信じた私が度を越したお人よしで阿呆であったことは認めます。)
そして、未だにその人物の周りで仕事をしている方々は、
その人物の話がひょっとすると真実とは大きくかけ離れているかもしれないという疑念を抱くはずもないですし、
まさか、ここまでのいい加減なことをしていたとも、場合によっては一生涯、気付くことは無いでしょう。
確かに、会社の立ち上げ→よく出来た出資話と会社経営の相談→計画的倒産→逃亡という一連の流れは
既に10年以上前から行われていたわけですから、年を経るごとに当然そのプロットの構築には更に磨きがかかるでしょうし、
巻き込んでいく人間の数もうなぎ登りでしょうから、計画は更に緻密になって然るべきです。
今現在、その出資や或いは出版のうまみに乗せられている、或いは自ら乗っている錚々たる面々を見ていると、
数年後にはその会社に加担したことがその人物の一生の汚点になることを、まだ誰も考えてもいないのであろうと、
芸術的なその手法に舌を巻くと共に、その人物も伊達に年を重ねてきたわけではないのだと、改めてしみじみと感じ入るものがあります。


さて、今までは特に債権の回収できなかった印刷会社のリストを作ることは意識していなかったのですが、
全てを書類にしている関係上、ふと気になりましたので、今回初めてそのようなものを作ってみました。
そうしたところ、分かっているだけで50社を超える印刷会社の名前が挙がってきました。
それはあくまでも資料から追跡が可能であった印刷会社に限られていますので、
実際にはもっと多くの印刷会社が債権者として存在した可能性もありますし、
また、他の取引先や消耗品の納入業者、不動産会社や銀行などを含めると、おそらく優に100社は下らないのではないかと考えられます。


その50社超の中には非常に興味深いことに、
1、A社と取引
2、数ヵ月後、A社が債務超過に陥ったらしいということで一旦取引を停止
3、A社の親会社、もしくはグループ会社と考えられるB社と取引を開始
4、数ヵ月後、A社もB社も倒産 関係者は全員いなくなる
というように、二回連続で取引を行い、2社にまたがる債権を全く回収できなかった印刷会社も存在するようです。
或いは実際に関わったところでは、A社が取引できなくなったことで困った場合の対策として、
その人物自身が印刷会社などに電話を入れ、
『担当者である自分自身がA社を退職し、全く関係の無い同業者のB社に就職した。
B社は勿論、A社とは関係が無いまともな会社であるし、自分自身、A社とは既に関係が無い。
しかしB社はB社で新たな取引先を探しており、自分の知っている取引先を紹介しているのだが、
ひとつB社の仕事を請けてもらえないだろうか?』と持ち掛けるプロットも勿論存在していました。
取引までに数年間のブランクがあるようでしたら、
誰でもよいので印刷会社勤務の管理職にあった過去の取引相手などの名前を出し、
その人物からの紹介で取引を申し込んでいるということにする方法もありますし、
或いは、今現在はB社の社員である元A社社員の○○から紹介を受けた、もしくはその会社の存在を教えてもらった、
ということで傀儡、そして取り巻きと化している社長や部長が電話一本を入れ、
商談の末に速攻で取引開始、ということも珍しくはありません。
勿論、契約書を交わす印刷会社もあることとは思いますが、
当事者がXデーには日本を出国し、一時的であれ海外に在住しておれば、国内の裁判に怯える必要もありませんし、
海外では海外で、日本国向け、もしくは現地の日本企業や邦人向けに新たな会社を興せばよいだけのことですので、
その契約書には殆ど意味はありません。
保証人を数名立たせたとしても、基本的には、保証人に据えるのは既に捨て駒になることが確定している役員のみのはずですから、
本丸に被害が及ぶこともまず考えられません。
そのようなことが重なって、結果的に50社以上の名前が挙がることになったのではないかと考えられます。


この中には、勿論、大手の印刷会社も多く存在しますが、中小規模の印刷会社も幾つかあります。
中には、印刷機を自分たちで所有せず、印刷会社とクライアントの間を営業として取り持つことによって利益を得ている、
『ブローカー』と呼ばれる企業も存在します。
過去にどのような経緯があったかは不明ですが、この人物自身、元々ブローカーとして生計を立てていたこともあるようで、
やはり印刷に関しての知識は半端ではなく、生半可な印刷会社営業であれば簡単に丸め込まれてしまっていたようです。
ただ非常に残念なことにその人物がおそらく現役であったのは今のようなCTP版が存在する以前、
まだ全ての印刷がフィルムによって行われていた時代であると推測され、
CTP版についても、またその工程とそれによって生じる作業と金額に疎い故であるのか、
印刷代金の計算などに於いては時として非常に不可解な、常識的範疇では理解しがたい金額を提示していくことも非常にしばしばあったようで、
そのことが原因で印刷会社と言い争いになることや、支払いを巡ってのトラブルに発展していくこともあったようです。
余談ではありますが、常にこの人物からは印刷会社に関しては一度も良い話を聞いたことが無いですし、
印刷代金は常に踏み倒すために存在しているというその方針などから、
むしろ印刷業界というものに対する非常に強い怨恨を感じておりました。
或いはひょっとするとですが、この人物自身、過去に何らかの形で自分自身の関係する印刷会社の倒産、
もしくは連鎖倒産を経験したのかもしれないと今では感じております。
もっとも、これについては個人的推測の域を出ないのですが。
また同時に、一時期、韓国や台湾などに代表される海外の印刷会社との取引もあったようなのですが、
実際のところその当時の記録は全く存在しないため、果たして何社の海外の印刷会社に対して、
きちんと支払いが行われたのかは不明です。
また、ある情報によると台湾の科学技術関連の2つの取引先と相当に揉めていたようですが、
結局その2社は債権を回収できなかったようです。
今現在、別の会社の名義でそのうちの1社とは取引を行っているようなのですが、
なんといっても先方の会社は台湾ですし、日本語も分からないでしょうから
調べることも、このことに気付くことも不可能でしょう。


しかしながら、大手から中小の印刷会社まで、
東京から名古屋、大阪、果ては九州にまで及ぶそのリストを見る限りでは、
危険な兆候は既に現れていたと想像されるにもかかわらず、
何故に印刷会社の間で上手くこういった情報が活かされなかったのかという疑問もあります。
その人物からは、印刷会社というのはいわゆる縦割りのムラ社会であり、
そういう意味では非常にカモにし易く、また大いに利用しやすい業界であるとは何度も聞いておりましたが、
果たして本当にその通りなのでしょうか。
もしそうであるとするならば、ここまで被害が拡大しているにもかかわらず、
誰もまだその人物が新しくビジネスを始めたことも知らず、
それによって更に印刷会社が危機に陥ると考えられるのですが、
それに対しても何の対策も講じられていないというのも、納得のできる話ではあります。
確かにその人物は既に知りうる限りでは複数回自らの名前を変更しているようでありますし、
それぞれの仕事に応じて使う名前を幾つか分けてあるようでもあります。
従って、仮に10数年前の担当者がその人物の容姿を覚えていたとしても、
いきなり別の名前で商談に訪れた場合に現在の担当者にそれが見抜けるとも思わないですし、
過去の話をしたところで、『他人の空似』であるとして突っぱねられるのがせいぜいなのでしょう。


今現在、その人物が取引をしている主要取引先は約十数社以上に及ぶと考えられますが、
取引開始にはほぼ、その人物が立会いの上で取引条件等を決めていると考えられます。
毎回、どこの取引先に話すことも同じですし、さまざまな武勇談のパターンも同じですので、
通常であれば何らかの疑問を抱きそうなものですが、誰一人として何の疑いも抱くことなく、
いきなり初対面の相手と掛売りによる取引を始めてしまうのですから、それだけやり方が上手いということでしょうか。
或いは、私が以前、その人物から何度も聞かされたように、
不況で仕事が減っている印刷業界に於いて、他社よりも先に何が何でも仕事を取りたいという意識がどこの印刷会社にもあるので、
その部分を上手く利用されているだけなのでしょうか。
それとも、印刷会社というのは元々、
抜け駆けや一人勝ちをするのが好きな方々で構成されている非常にずるい業界であるとその人物からは聞いておりますので、
やはり自社が何らかの形で連鎖倒産に追い込まれることは予想さえもしてはいないが、
他社が倒産するのは一向に構わないという了見ゆえのことなのでしょうか。


自社内に研究室を持ち、世界大百科事典の編纂と印刷を手がけている由緒ある印刷会社や、
国内で初めてという製本の一貫工程を管理できる機械を導入した印刷会社、
大正2年から活版印刷を支え続けてきた歴史のある印刷会社などなどが、
そう遠くない未来に確実に来るであろう大津波を乗り越えることができるように祈って止みません。

本が売れないのは著者の責任?

本が売れないことが著作者の責任に帰せられ、損害賠償の対象に成り得るのか、
以前経験した興味深い事例を元に考えてみたいと思います。

その出版社では、社の方針として『自費出版は原則として行わず、全ての書籍は当社で全制作費を負担して制作し、
全国に流通させる』と徹底されていましたので、基本原則として自費出版は行っていませんでした。
出版部数、書籍に使う紙の種類、納期、著者に対する献本冊数、等々は殆ど、
そのコストを考慮することなく代表者の鶴の一声で一切異論を差し挟む余地なしに決められていたのですが、
そんな中で上記のような社是(?)に矛盾した不思議な出版形態に遭遇することも幾度かありました。
また、この出版社はいわゆるワンマン経営でした。
著作者それぞれが代表者の好き嫌いに応じて微妙にランク付けでもされていたのか、
代表者の意向によって毎回の献本部数が増減することもそれほど珍しいことではありませんでしたし、
献本の部数と使用される紙によって、どういう位置付けか分かってしまう、
ある意味非常に薄っぺらい出版社でありました。
当然、代表者の気に入っている作家などであると
紙にしても特殊紙や、通常よりは少し値の張る良い紙をふんだんに使うことが多かったですし、
献本部数も多いときであれば全部数のうちの5分の1を献本にしてしまうこともありました。
しかし逆に代表者の気に入らない著作者などであると、献本が10冊程度であることもありました。
それに対して著作者側が献本冊数の追加を打診してきた場合にはまさしく代表者の思う壺で、
そこから著者による買い取りの交渉が始まります。
『残念ながらこちらも商売としてやっている部分もありますので、なかなかこれ以上は無料で献本するのも難しいのですよ。
これ以上の冊数をご所望であれば買い取っていただくことになるのですが・・・。
やはりこちらもボランティアでやっているわけではありませんので。
ええ、買い取りに関してはもちろん著者割引可能ですので通常価格よりはお安くなります。』
という交渉を何度か代表者が電話口で行っているのに遭遇してきましたし、
基本的には一つの書籍に関しての無料献本は30〜50冊まで、と決められていたようなのですが、
これが代表者と仲のいい著者、もしくは代表者にとって利用価値のある著者などであると、この決まりは一気に通用しなくなります。
その場合は、こちらが著作者の言われるままに何冊でも献本に送ることも珍しいことではありませんでした。
基本的に、執筆を依頼する際に先に書籍の買い取りを著者に打診してはいけないと決められてはいましたが、
納品時にどうしても著者側が買い取りたいと交渉をしてきたときはその限りではなく、
先方の望む部数を著者買い取りで販売して構わないし、むしろそれは積極的に行うべきであると暗黙のうちに奨励されていました。
また、書店営業の担当者からは、
『こんな本、作っても売れるわけがないのだから著者に買い取ってもらった方が良いに決まっているじゃないですか』
とも、よく言われていました。
実際に、代表者の意向で製作したものの『こんなものは書店では売ることができない』と営業担当者が営業を拒否したために、
そのまま不良在庫になり、100万円を超えるコストがかかっているにもかかわらず、
不良在庫として会社事務所に放置されていた書籍もありました。
ただただ代表者の意向に沿ってばかりいたがために、季節外れの出版物や季節商材が出てくることもしばしばあり、
商機を逃したそれら出版物は結構な数に上っていた記憶があります。


その出版社で執筆していたのは代表者や役員の知り合いである著作者が多かったのですが、
著作者の意向に沿って何でもOKしてしまったがために、
或いは編集者と著作者が自分たちの好みだけで判断し、コスト面でのことを一切考えなかったために、
採算の合わない書籍を作ってしまい、更にそれが不良在庫になって経営を圧迫するのを何度も見てきました。
またそういった書籍はやはり出版物として非常に不向きな規格で作成されていることも多かったですから、
ひとたび営業担当者が売れない書籍、として匙を投げてしまえば悲惨です。
もっとも、『本当の営業というものは決して売れるとは思えないものでも何とかして売る努力をするもののことであるし、
売れないからと逃げるのは営業ではない!』と代表者は持論を展開していましたが、
いくらそう言ってみたところで不良在庫が減るわけでもなく、きっとまだそこにそのままの状態で放置してあるのでしょうし、
いずれそのうちに、産業廃棄物としてその役目を終えるのでしょう。
『本を愛している、純粋に本を作りたいだけなのだ!』と、目を潤ませて持論を展開しているのは非常に結構なことでありましたが、
しかし内情はといいますと、新しいものに目を向けるのは結構なことですが、一旦売れないと判断されたもの、
並びに過去の書籍に関しては殆どその存在を忘れられており、更には在庫の整理と称して廃棄処分にされていることもあったようです。
ただただ生産するだけで余れば廃棄、というその精神の何処に本を愛する気もちがあるのか、何度も疑問に感じていましたし、
新刊本が一年も経たずに廃棄になるのを見ることほどつらいことはありませんでした。
逆に言うと、そこはもはや出版社ではなく、ただの『会社ごっこ』でしかなかったのかもしれないのですが。


『現実的問題として一ヶ月当たりその販売数に関わらず10冊以上の書籍の刊行を確実に行わないことには
このような小さな版元では採算が採れない』、というのがその出版社における代表者の持論でしたし、
我々も兎に角まとまった点数の刊行物を毎月きちんと出すように毎日のように言われておりました。
そして当然といえば当然なのですが、まだまだ小規模の名前もあまり知られていないような出版社でしたので、
なかなか著名な作家はそう簡単には集まらず、結果的にその出版社では常に著作者を求めておりました。
正直なところ、そこそこのクオリティのものを書いたり作ったりすることができるのであれば誰でも構わないような状態でしたし、
代表者はフリーで仕事を請け負ってくれるデザイナーやイラストレーターをインターネットで探し出し、
彼らに絵本を制作させたり、小説の挿絵を書かせたりしていました。
当然、彼らは出版や著作権に関しては素人ですから出版権も著作権もこちらで押さえてしまうことができるので、
これほど便利なものはありません。
また、誰もが出版によって自分の名前を冠した書籍が書店に並ぶ、ということに目を奪われており、
その後のことまでは深く考えていなかったようでもあります。
どのような著作者でも(言うなれば素人でも)構わなかったのですが、
著作者の選定に当たって絶対条件として代表者から厳しく言い聞かされていたことは、
印税率は何があっても基本的に5%であり、それ以上出すことは現段階では考えられないということ、
そして印税の支払いも、その他執筆にかかる経費などの支払いも全て、3ヵ月後であり、いかなる例外も認められない、ということでした。
したがってこの条件に沿って著作者を探すことになるわけですからそう簡単にプロの著作者が見つかるものでもありません。
インターネット上で著作者の公募を行ったこともありますし、
取引先でも何でも、あらゆるところに常に良い著作者がいれば紹介して欲しいと話していました。
また同時に、編集プロダクションにも声をかけていましたが、こちらに関しては価格面と支払い面で折り合いが付きませんでした。
非常に荒っぽい言い方になってしまうのですが、その著作者の書籍が売れるかどうかは特に重要な問題ではなく、
確かに売れればいいことは確かですが、常識的に考えて誰も名前を聞いた事もないような著作者の本がそう簡単に売れるわけがないのだから、
とにかく数を出していればその中からヒットするものも出てくるだろう、ということで、
まるでザルのような販売予測計算表や予算編成表を毎月渡され、
『良い本を作ること』よりも『どんなものでも良いのでとりあえず刊行すること』に心血を注いでいました。


さて、そのような中でも好意で様々な著書を書いてくださる著作者さんたちもいましたので、
なんとかそういった方々のお世話になりながら出版をやってきていたのですが、当然の如く支払いが始まります。
まずは印刷代金。コストは抑えるようにしていたようですが、それでも月に5冊以上となると、かなりのまとまった金額になります。
それから執筆、書籍の制作にかかった経費の請求がそれぞれの著作者から来ますし、印税の支払いも始まりました。
実際に、それまで出していた書籍がどの程度本当に実売になったのかは未だもって分かりません。
確かに納品部数は毎回結構な数を入れていました。取次各社に全数の約3分の1〜半分を委託で納品し、
残り3分の1以上を書店への注文分として納品していました。書籍によっては書店への注文分の納品が追いつかないものもあり、
書籍倉庫に在庫が無いものもありましたが、しかしどのような書籍でさえ、やはり返品されてきます。
実際のところ、私にはあの会社の経理に関してはどのような状況であったのかは一切分からないのですが、
やはり納品したものの半分以上は返品になっていたのではないかと推測され、月末の支払いの時期が近づいてくるにつれて、
会社内をなんともいえないような重苦しい雰囲気が包んでいました。


そのような中で、ある一人の著作者が経費も印税もまだ入金にされていないということに対して
担当になっていた編集部員に問い合わせてきました。
同時に、その書籍の作成に当たっては外注スタッフも動員していたのですが、その外注スタッフからも、
経費の支払いのことでやはり同じ編集部員に問い合わせが入りました。
そのときに、代表者はすべてのフォローをその編集部員に丸投げし、全てを自己判断と自己責任で処理するように通知をしていました。
しかしここに大きな問題が出てきたのですが、この編集部員は書籍の編集に携わったことのない素人であり、
尚且つ、出版社へ勤務するのも文字通り生まれて初めてのことでした。
毎日が混乱と疑問の連続であったと推測できるのですが、その時点では誰にも質問ができる状況ではなく、
更に悪いことに、先方の問い合わせの内容は書籍に関することではなく仕事を行ったことによる報酬や経費など、金銭に関してのことでした。
一介の編集部員にしか過ぎないその者にとって、会社の経理状況など分かるはずもなく、
また、出納関連を一手に執り行っていた代表者にも連絡がなかなか取れない中であったにもかかわらず、
『先方が問い合わせていたのは全て君のフォローがきちんとできていなかったからであり、君の責任だ』と
代表者に一方的に断罪されることとなりました。
もっとも、そのように素人の編集部員を使うことで社内経費を安く上げようとした代表者の意向があったからこそ、
その当時の社内のように、誰も編集の仕事を理解しておらず、誰も後進の指導ができないような状況であったわけなのですが、
そのことに関して触れることは禁忌でしたし、結果として社内では事なかれ主義が蔓延り、
代表者の機嫌を取っていれば安泰であるような社風が出来上がっておりました。


いずれにせよ、様々な支払いが滞ったことや、土壇場になって当初の約束とは違う支払や金額を提示されたことで、
先方の著作者をはじめとする制作スタッフに危機感が出てくるのはある意味当たり前のことであったのですが、
そのような最中でついに、その不満が著作者による書籍の印刷の品質に対するクレームにまで発展しました。
しかし正直なところ、いかに書籍の印刷の品質がどのようなものであったにせよ、このことは持ち出すべきではありませんでしたし、
むしろこのことを持ち出したことは著作者にとっては逆効果であったのではないかと感じています。
この過程で代表者は、『印刷に絶対はない。書籍の印刷のレベルが必ずしも低いわけではなく、これが売れないと決め付けられるものではない』、
『むしろ、本来自費出版で出すのがせいぜい関の山である、一般受けするかどうかは分からないような書籍をこのように会社で出版し、
書店に置かれるように営業までかけているのだから感謝されることはあっても文句を言われる筋合いはないはずである』等々、
の主張を繰り返していました。
確か書籍そのものは出版社であるこちらから執筆を依頼したはずなのですが、
結果としては代表者の傲慢と恩着せがましい物言いが鼻に付き、傍から見ていてもあまり気持ちのいいものではありませんでした。
そして営業社員もまた、『この本は売れない。書店に置いても無理なんだから著者に買い取ってもらうように手配した方がいい。
でももう二度と、このような企画はやらないほうがいいでしょう。』と、営業をかける前から勝負を捨てていたようですし、
これが『文化を発信すること』をコンセプトにその著作者に執筆を依頼し、著書を完成させた出版社の言うことなのかと虚しさを感じました。


売れない本であっても作るように指示をしていたのは代表者ですし、それに対して一介の編集部員が異議を差し挟めるはずも無く、
ただ言われるままに制作するだけですから、次から次に新しい本が出ても結果として売れない本ばかりになってくると、
当然その部分で余計なコストがかかりますから、代表者としても面白くなかったのでしょう。
そういったわけで、別の著作者に対しては、『こんな本が売れるというのでこちらで費用をもって出版を行ったが、
ここまで赤字になるとは思わなかった。これは詐欺だ。
我々は著作者に騙されて書籍を制作させられ、こうして不良在庫を押し付けられているのだから、損害賠償ものだ。』とまで言い始める始末で、
実際に著作者の落ち度であるとしてその著作者の風評を貶めるためであったのか、
HP上で実際の販売予測数と販売率を示しながら著者個人に対する個人攻撃にも出たようであるのですが、
これについてはその後、どのように発展していったのかはわかりません。
しかしそもそものはじめに、素人作家の書籍が一体どれほど売れるというのでしょうか。
それに、たとえ販売率が低くても構わないので、途切れることなく毎月決まった冊数の書籍を刊行することが当初の目標であり、
そのためにさまざまな縁故から何から何まで、そこにある人脈を全て利用してきたと思うのですが、
その書籍が思ったように売れないことが果たして本当に著者の責任になるのでしょうか。



社団法人 日本書籍出版協会出版契約書の雛型に於いては、


第 2 条(出版の責任)
乙は、本著作物の複製ならびに頒布の責任を負う。


第 9 条(費用の分担)
本著作物の著作に要する費用は甲の負担とし、製作・販売・宣伝に要する費用は乙の負担とする。
2.甲の指示する修正増減によって、通常の費用を超えた場合には、その超過額は甲の負担とする。
ただし、甲の負担額・支払方法は、甲乙協議のうえ決定する。


と定められています。
この出版社で、どのような形式の出版契約書が交わされていたのかは分からないですが、
業界の主要な出版契約書はこの雛形をモデルにしていると考えられますのでここでは仮に、この出版契約書を例にとって考えてみます。
それによると第2条では、乙が『頒布の責任を負う』となっていますし、
第9条では『製作・販売・宣伝に要する費用は乙の負担とする』と定められています。
結局のところ、実際に行われたかどうかは定かではありませんが、
代表者は『書籍の販売率が思わしくないのは著作者の宣伝不足、市場調査の不足による怠慢が引き起こした事態でもあり、
またこの出版社が著作者の要望によって書籍を出版したのであるから、その損害の一部だけでも何らかの形で著作者自身も負担すべきである』
ということで裁判を起こすことも視野に入れていたようです。
しかしいくら著作者が書籍を刊行したいという希望を持っていたとしても、また編集部員がいくら推薦したとしても、
最終的な決定を下すことができるのはあくまでも代表者自身でしかありえないのですから、
仮に100歩譲って著者に騙されて売れない書籍を作ることになったのであるとしても、
結果的に騙されたのは代表者であるのであって、それこそ見る目が無かっただけのことにしかならないのではないかと思います。
それに、代表者と著作者が、あるいは役員と著作者に何らかのつながりがあれば、企画が通りやすかったのは事実ですし、
実際にこの著作者は役員の知り合いであったようですから、そういった意味合いから言えば、
むしろきちんとした市場調査が疎かにされたのは縁故ゆえに何でも許可していた出版社側の過ちでしかなく、
著作者に帰せられるものではないとも感じます。


『これは絶対売れる、と向こうが言うので作った。だから詐欺だ。』ということ自体、あまりに大人気ない主張であると思いますが、
実際にその出版社ではそのような主張がまかり通っていました。
全ての出版社がこのような品位の無い主張をするとは思えないですが、
しかしこのような、ある意味【狂った】世界が存在していたことは紛れも無い事実です。