Classic 8-bit/16-bit Topics

Classic 8-bit/16-bit Topicsでは、海外での出来事を中心に、旧世代のコンピュータ/ゲーム機に関する雑多な話題を書き散らしています。ただしゲームミュージックやチップチューンなどに関してはVORCで専門に扱っていますので、ご興味がおありのかたはそちらもどうぞ。

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02.09.2006

[] Minimig - ワンチップ・アミーガ 開発進行中

18日にオランダで行われるホビー・コモドール・クラブのミーティングで、FPGAによるワンチップ・アミーガ500の試作機が公開されるそうです。これはデニス・ヴァン・ウェーレンというエンジニアが約一年にわたって開発してきたもので、CPUが別チップになるので正しくはワンチップとはいえませんが、ともかくもAgnus, Denise, Paulaといった主要カスタムチップの全機能が集約されるとなれば、快挙といえるのは確かでしょう。まだサウンドとキーボードがサポートされていないようですが、使用論理ゲート数は約20万とのこと。いまのところ商品化の予定はないようです。

[][] セガマークIIIのプラグ&プレイ機、近日発売?

マークIII/マスターシステムのプラグ&プレイ型復刻機といえば、ブラジルだけで販売されているマスターシステム・ハンディがありますが、香港のアジアン・トイ・ソース社からそれとは別のタイプが登場するようです。イッギ氏が書いているように、同社が行うのは受注生産のみで、販売元の要望にあわせて50本のソフトから10本ないし20本をセレクトして組み込むとのこと。アレックスキッド・コレクションとかグレートスポーツ・コレクションとか、そういったものが出てくるではないかと思われます。販売元の詳細はまだ不明ですが、価格は10-in-1で29.95ドル、20-in-1で39.95ドルくらいが目安とのことです。

ちなみに発表直後にはDCEmuで写真を見ることができたのですが、後日メーカーの希望で取り下げられてしまいました。日本の有名デザイナとは何者でありましょうか。

[] 中国のコンピュータ開発史

多忙にかまけてすっかり見過ごしていましたが、航天機構の例によって素晴らしい共産圏コンピュータ史です。ゲーム機についても記述がありますが、そういえば中国にはファミコンクローン機から独自に発展した低年齢層向け教育パソコンがきわめて広く普及していたという興味深い一面もあり、そのあたりもいずれ掘り下げてみたいところです。

01.18.2006

[] 著作権フリーなエミュレーション、その先にあるもの

たびたび述べているように、ZXスペクトラムというパソコンはクリーンなエミュレーションの実現にかけて最先端に位置する存在です。エミュレータの配布が正式に認可されているだけでなく、過去に市販されていたソフトの大半や関連資料まで公認・無償で入手できるといういたれりつくせりの環境には、旧世代機エミュレーションの理想像が示されているといっても過言ではないでしょう。こうした状況はひとえにユーザーたちの著作権問題意識の高さと積極的なボランティア活動のたまもので、その成果はWorld of Spectrumというサイトに集約され、誰でもアクセスできるものとなっています。

ところが英国のレトロPCジャーナリストであるコリン・ウッドコック氏は『Micro Mart』誌の連載コラムのなかで、次のように述べています。

毎年クリスマスが近づいてくると、eBayディスク問題に絡んだアンビバレンスの発作らしきものに襲われる自分に気が付く。これから述べることに、スペクトラム・コミュニティの住人はほとんど例外なく賛同しかねるだろう。私自身もそうなのだ。それにも関わらず、これが長期的にみればむしろシーンに利益をもたらす可能性があるのではないかという考えを、私は払拭することができないでいる。

eBayディスク問題とは? 単純なことだ。World of Spectrumのウェブサイトに行って、エミュレータ、ゲームファイル、雑誌スキャンなど――当然すべて無料――をありったけダウンロードし、ブランクDVDに焼きまくる。それから有名ゲームのスクリーンショットと「シンクレア」「スペクトラム」「メガ」とかいった単語をあつらえた悪趣味なカバーを印刷。そいつをeBayに持ちこんで、2.99ポンド (600円) ぐらいで違法販売するのである。原本を創り出すのに汗水流してきたスペクトラム愛好者たち全員に心底不快な気持ちを味わわせたいなら「これは製作にかかる手数料のみの価格で、当方は一切の利益を得ておりません」みたいな商品説明も欠かせない。いやもちろん、ダウンロードは今現在それくらい労力がいる作業ではあるが。

こういう言い訳をされるとやはり法的に取り締まることは難しいのでしょうか、この手の出品は後を絶たないようです。評価に傷を付けるためだけに入札してやろうかという気分に何度襲われたことか――ウッドコック氏はそう述べています。

しかし結局、若い頃に90分テープでソフトをダビングしていたスペクトラム愛好家が、いま現在スペクトラムのゲームを複製転売している輩に喧嘩を売ったところで、目くそ鼻くその偽善行為でしかないのではないか、という考えがいつも頭を過ぎるのである。それで頭が冷めて、私は特売品のチェックに戻る。もちろん私には腹を立てる資格がある。私たちが80年代にやっていたことに比べて、複製の規模がとんでもなく大きいということは確かなのだ。それに私たちは誰も利益を得ようとはしていなかった。よくできたことに、転売人たちの中には、盗み取った大元のコミュニティに属する人間はいないように思われる。連中は実際のところ、行きがけの駄賃に我々の善意を悪用し、美味しいところだけをさらっていく通りすがりの名無しさんなのだろう。

だがそうだとしても、私は真剣に考えてしまうのである。こちらの努力から転売人たちが得るものが、そんなに大きいだろうかと。頭が冷めた瞬間、連中はむしろ貢献しているのかもしれないのだという考えが――もちろんきわめて無意識的に――浮かんでくる。結局のところ、こういう転売ディスクを買ってしまった人が、事前に現在のスペクトラムシーンについて知っているということは、まずなさそうに思われる。知っていたら私たちと同じように、ネットから無料でダウンロードしているはずだ。こう考えてみると、ディスクが一枚売れるごとに、コミュニティに新しい人材を呼び寄せる可能性があるとも考えられるわけである。エミュレータ作者様へ: ヘルプファイルに適切なアドバイスを記すことをお忘れなきよう。

エミュレータを介したユーザーコミュニティというものがきわめて限定的にしか実現されていない日本からみると、随分迂遠な話に思えるかもしれません。同じようにしてフリーなエミュレーションを実現しているX68000でさえ、コミュニティは閑散としているわけですから。なんにしても、著作権問題が解決すればエミュレータの未来は薔薇色というわけでもないらしいということだけは、心の片隅に留めておきたいところです。

BKCBKC 2006/01/19 21:31  まず、フリーという曖昧な言葉が混乱させているのだと思います。
それはfree as in beerとfree as in speechとの違いで、
X68kのそれは無償なのであって自由ではないはずです。
また、シンクレアのはぱっと読んだ限り、自由な配布が可能とあった気がします。
そういう意味では幾分違った意味合いがあると思います。

X68kのコミュニティが閑散としているのは、オープンではないというのと、
ポータルが無いからだと思います。
それこそ、ニュースサイトとフォーラムを兼ねていて自由に好きな人が集まって書き込んだりできる所が。
例えばワタシが今X68kのソフトを作ったとしても誰も相手してくれないでしょうし。

ただ、それはヨーロッパ的スタイルなのかな〜、とも思いますが(^^;

hallyhally 2006/01/19 23:41 スペクトラムも根本的には「無償」の意味でのフリーです。X68000に比べてシステムの改変などに寛容ではありますが。

ポータルがあるかないかは大きいと思いますが、あってもコミュニティが閑散としているという例はいくつもあります。TI-99/4AとかTRS-80とか。いくら環境を整えたところで、その機種にしかない魅力というものを広くアピールできなければ、コミュニティは拡大しないのだと思います。

BKCBKC 2006/01/20 20:28 寛容さから言えば、これは「無償」以上のものだと思います。
もちろん、著作権的には自由ではないですけど、それはGPLなども同じですし。

TI-99/4AやTRS-80は検索してもポータルっぽいのを発見できなかったような…。
しかし、X68kはx68chなんかを見ると別にそれほど閑散とはしてないような気がします。
(新参者が入れるかは別として…)

魅力、旧機種の場合は既に知られていると思うので、
後はユーザー同士がお互いに新しい事や物を見せる場所をどう提供するか、ではないかと。
ある程度人数が集まったらコンペ開いたりいろいろ…。献身的な人が一人は必要ですね(^^;

ところで、wikipediaにHuman68kのソースが生産終了後に公開された、
と書かれていたのですが、事実ですか?(^^;

hallyhally 2006/01/20 22:13 > これは「無償」以上のものだと思います。

ええ、形態的にそういえるのは確かですが、もともと「自由」を意図したものではないですし、そのような性質が広く認知・活用されているわけでもないということです。

> TI-99/4AやTRS-80は検索してもポータルっぽいのを発見できなかったような…。

代表的なのは http://www.trs-80.com/ http://www.99er.net/ あたりですね。BKCさんが意図しておられるようなポータルとはちょっと違うかもしれませんが、現時点におけるユーザーコミュニティの中心地であることは確かです。

> X68kはx68chなんかを見ると別にそれほど閑散とはしてないような気がします。

それは何と比べるかによるでしょう。ここでは海外の有名機種に比べてという意味で捉えていただければ。

> 旧機種の場合は既に知られていると思うので、

実はそこが行き詰まりなんですね。たとえば海外では10代の少年がコモドール64を欲しがったりするような現状があるのですが、彼らは当然何も知らないところから魅力を発見している。そういうことを可能にする土壌があるわけです。それがないとコミュニティを維持することはできても発展させることはできないだろう、ということなんです。

hallyhally 2006/01/20 22:14 > ところで、wikipediaにHuman68kのソースが生産終了後に公開された、と書かれていたのですが、事実ですか?(^^;

興味深いですね、私はちょっと記憶にないですが。

通りすがりの人通りすがりの人 2006/03/20 02:54 > ところで、wikipediaにHuman68kのソースが生産終了後に公開された、と書かれていたのですが、事実ですか?(^^;

ソースは公開されていなく、バイナリーが無償公開されただけだと思われるので、修正してみました。

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01.17.2006

[] ワンチップ・コレコビジョン 登場

FPGAによるワンチップ化方面ではおなじみのFPGA ARCADEより、今度はワンチップ版コレコビジョンの製作方法が公開されました。ROMの供給方法などいまいちよく分からない部分も多いのですが、さしあたり問題なく動作する水準にあるようですね。コレコビジョンといえばハードウェア構成がSORD m5に酷似していることで知られるマシンですから、そちら方面への応用にも期待したいところです。

[] IBM広告ミュージアム

DigiBarn Computer Museumより。1948年から1957年にかけての (つまりコンピュータが主力製品になる直前の) IBMの企業イメージ広告コレクションです。この種の特定製品に触れていない広告は見落とされがちなだけに、興味深いものといえるでしょう。「IBMは国家防衛に重要な役割を果たしている」というようなフレーズがちらほら見られるあたりに、時代の空気を感じます。

[] 『Confessions of the Game Doctor』 刊行

『Phoenix: The Fall & Rise of Videogames』『Videogames: In The Beginning』といったゲーム史研究の必読書で知られるロレンタ・プレスより、新刊の登場です。これは世界初のヴィデオゲーム専門誌『Electronic Games』を立ち上げたひとりであるゲームドクターことビル・クンケル氏が、当時のさまざまなエピソードを紹介していく一冊で、ヴィデオゲーム・ジャーナリズムの創世記としてこれまた欠かせない一級資料。アタリショックの時代にはゲーム・ジャーナリズムがなかったというような、誤った認識を軽く吹き飛ばしてくれます。1000部限定。

[][] Classic Gameing Expo 2004 講演録音

先月京都でヴィデオゲーム史の重要人物たちが集ったDIEC2005というシンポジウムが開催されました。私は残念ながら足を運ぶことができなかったのですが、わざわざノラン・ブッシュネル氏を招待していながら史学的な収穫はあまりなかったという話で……何をやっているのかなあ。氏がそのあたりを好んで語る人物ではないことを承知のうえで書きますが、日本のアカデミズムはそろそろヴィデオゲーム史学の不在という問題を深刻に受け止めたほうがいいのじゃないですか。これは非常に大きなチャンスロスです。Odysseyさんがもうじき素敵なフォローインタビューを公開してくださるようなので、そちらに期待しましょう。

対照的に、毎年収穫盛りだくさんなのがClassic Gaming Expoです。とくに2004年の講演者陣は驚くばかりの豪華な顔ぶれだったのですが、その10時間を超える全録音がMP3形式でダウンロード可能となっています。有名どころではスティーヴ・ウォズニアック氏、アル・アルコン氏 (「ポン」開発者)、スティーヴ・メイヤー氏 (アタリVCSデザイン) といった名前が見られますが、ほかにもジェリー・ローソン氏 (フェアチャイルド・チャンネルF立案)、マイク・ラウンズ氏 (元エンテックス) など無名の人物にもスポットを当てているのが頼もしいところ。アタリ、アクティヴィジョン、イマジック、マテルの元プログラマたちも数十名が集まっています。

Odysseyの人Odysseyの人 2006/01/21 00:40 まいったなあ(^^; ご期待に添えないと思いますので、そのアタリ←はご容赦を。

一応あちら様諸氏の弁論をしておきますと、今回ブッシュネル氏はスケジュールが把握できなかったそうでして、どこががインタビューを申し込んだんだけど無理だったとか。そりゃ、私のインタビューにしたって、前日の夜に突然連絡で次の日の朝、しかも電車の中ですからねえ。もちろん準備なんかしていないし、hallyさんにSOSを打とうにも、まだ目の前で得意先と商談してるって状況だったんですから、ほとんどやけくそです。(^^
また、当日はブッシュネル氏を交えた登壇諸氏の史学的なディスカッションらしきものが実際に第1部で予定されていたはずなんですよ。確か。ところがこれが手違いか何かで飛んじゃったみたいです。誰がミスったらしいかは聞きましたが、その方の名誉があるんで(笑)。ま、不可抗力なドタバタも確かにあったようで。
でもブッシュネル氏、今後もちょこちょこと日本に来られるんじゃないですかね?昨年の9月にも講演のため来日されたと聞いてビックリしました。知らなかった・・・。アタリジャパン以来じゃなかったんだ。(^^; 例の外食系事業の日本展開も狙っておられますし、熱心な方ははてなアンテナでも張っていれば、イベントなどチャンスは意外とあるんじゃないでしょうか。

それと、DIEC2005は公式議事録か何かが出るはずで、映像もビデオ収録していましたから、学術研究用途なら立命館に問い合わせれば見れるようになると思います(それ系学部の記念イベントだったんで、出来なきゃウソ。怒る)。ネットでフリーで見れれば最高なんですがこれは版権で無理でしょうね。ブロックライター!!とかよかったんですが。(^^


CGEはすばらしいですね。7年前あれを見た時、日本はなんて遅れているんだろうと思いました。ファンの意識とか行動力がです。ああいうことはお上にまかせても無理でしょう。だから、いつぞや”SGも20周年なのに誰も祝ってくれない〜”なんて声がありましたが、”んじゃあ、自分たちでやろうよ?!”とか思いましたけれどねえ。彼らはCGEのために会社までつくっちゃうんですから・・・。

hallyhally 2006/01/21 22:52 なるほどなるほど。ではOdysseyでは突貫インタビューなりの醍醐味を期待しております^^; DIEC2005については舞台裏事情がある程度分かってすっきりしました。必ずしも史学的興味が薄いというわけではなさそうで安心しております。どうもありがとうございました。

最初期のCGEの熱気をその目でみられた寺町さんのお言葉、たいへん感じ入るものがあります。アタリはもうないし、誰にも頼ることはできない――という状況が逆にバネになって、あそこまでのイベントに結実したのだろうなあ、としみじみ思います。同じことはVintage Computer Festivalなどにもいえると思いますが、良くも悪くも日本の旧世代機フリークは恵まれすぎているのかもしれませんね。

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