花森安治の巻の担当ですか

明後日の岡崎さんとのトークの前に、山本善行さんとの共著『新・文學入門』(工作舎)を読んでおこうと思っていながら、この数日、大きな書店に寄れなかったが、今朝の宅急便で献本が届く。うれしや。この本に関しては、関西でのトークの模様も含めて、この一週間ぐらい各ブログで報告があったが、あえて読まないようにしていた。だからまっさらな状態で向き合えた。ほうほう、こんな装幀(石丸澄子)か、こんなにページ厚かったのか。


で、最初に「気まぐれ日本文學全集」のラインナップを見てびっくり。「花森安治」の巻の編集に南陀楼綾繁とある。おお! それはもちろん、喜んでやらせていただきます。本人の著作は意外に少ないが、『暮しの手帖』の短文からのセレクト、雑誌などへの寄稿、座談会も入れたら、相当オモシロイ巻になりそう。あ、カラー口絵は入りますか? 主要な装幀作品を並べたいので……。などと妄想が広がる。決定したラインナップ以外にも、その前の会議で出ているタイトル(古本小説集とか)も魅力的。この本に出ている作家・タイトルから、さまざまなアイデアが生まれるという気がする。


こんな魅力的な文学全集に誘ってくださって、ありがとうございます。岡崎さん、山本さん。ただ、ぼくが古本を高く買っている代表格みたいになってるのは、困るなあ。そりゃ、ゴッドハンドやブッダハンドなどが鎮座する『sumus』のメンバーの中では、比較的高くても欲しければ買ってしまうほうかもしれないけど(以前、岡崎さんに「君は単価高いもんな」と云われたこともある)、古本好きとしては平均値じゃないですか。べつに金に糸目をつけずに買ってるワケじゃないんですから。


ところで、あとがきに1958年生まれがすごいとして、吉田豪の名前が挙がっているけど、吉田豪って1970年生まれですよね。ぼくよりも年下のはずだから。


最近いただいた本は、岸川真佃島・月島游記 都会の島の物語』(アニカ)、ミルキィ・イソベ『ブックデザイン ミルキィ流』(毎日コミュニケーションズ)、毛利嘉孝『はじめてのDiY』(ブルース・インターアクションズ)、佐山和夫『大リーグを超えた草野球』(彩流社)など。ありがとうございます。、


午後から新宿→鶴川→町田→八王子→新宿と移動して、8時過ぎに西日暮里へ。疲れた。電車の中で、今日買った、小谷野敦『猫を償うに猫をもってせよ』(白水社)を読む。短いエッセイばかりだし、どこから読んでもイイのが、電車内読書には向いている。雑誌掲載とブログ掲載の文章が適度に混ざっている。いちおう「生活編」「政治社会編」などの章立てはあるが、いわゆる雑文集だ。一冊全体にテーマがあるわけではない、どこからでも読める雑文集は最近少ないので、このまま『猫を償うに猫をもってせよ2』『猫を償うに猫をもってせよ3』と続刊していってほしい。團伊玖磨の『パイプのけむり』や山口瞳の『男性自身』みたいに。10冊以上でたら、名シリーズになるでしょう。


同書の「映画の間違いあれこれ」で、新藤兼人監督《ボク【さんずいに墨】東綺譚》(1992)の間違いが指摘されていた。金沢と聞いて、荷風が「『金色夜叉』の尾崎紅葉先生の故郷だ」というもの。たまたま、DVDをずっと借りていて観てなかったこの映画を昨夜観て、ぼくもアレッと思った。やっぱり、泉鏡花と混同したんだろうなあ。小谷野氏は「墨田ユキが美しくて、私の好きな映画だ」と書かれているが、ぼくはちょっと退屈だった。荷風の後半生をあんなにダラダラ描かずに、玉の井だけに絞って見せてほしかった。


夜、《タモリ倶楽部》を見ていたら、公共物マニアの一人として、四釜裕子さん(http://bookbar5.exblog.jp/)が出てきたのでビックリ。詩人で編集者、奥成達資料室の室長でもある。最近は渋谷毅さんのCDのデザインや書評もやっている。多才なひとだ。そのクールな口調から、我が家では「ねえさん」と呼んでいる。今回は給水塔マニアとして出演したが、ほかの二人(電柱と通気孔)が明らかにおどおどしているのに比べると、堂々としていて貫禄があった。自分で撮った給水塔の写真を、タモリ泉麻人に「いいですよねえ〜」と勧めるのがねえさんらしかったなあ。