榊原晃三譯, 潮出版社, 1969年。大革命当時の「ヴァンデの反乱」(1793)を主題として、人間愛に基いた革命精神を謳いあげた大河小説、というより歴史の教科書。大革命当時の風俗やら、風潮やらを知るのには良い。物語終盤、人道主義に駆られたゴーヴァンの内省が面白い。ユゴーのしつっこく力強い文体が効果を生んでいる 寛大な行為に答えるのに、野蛮な行為をもってしようとは!これでは革命に泥をぬることではないか! 作中『主祷文(主の祈り)のように知っている』という素敵な慣用句が使われていた。絶対に忘れようのない事柄を指して云うのだろうけれど。「知っているようで全く理解できていない」という意味でも使えそうだ…