地位協定改定 知事会提言受け止めよ - 朝日新聞(2018年8月22日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13645534.html
http://archive.today/2018.08.22-001150/https://www.asahi.com/articles/DA3S13645534.html

在日米軍にさまざまな特権を認める日米地位協定について、全国知事会が日米両政府に抜本的な見直しを提言した。
米軍基地のない府県を含む47知事の「総意」は極めて重い。日本政府は正面から受け止め、米国政府に対し、必要な改定を提起すべきだ。
地位協定の見直しは、過重な米軍基地負担に苦しむ沖縄県が長年にわたって求めてきた。しかし、日米両政府は運用の改善やテーマを絞った補足協定の締結にとどめ、協定自体に手をつけようとはしてこなかった。
知事会は、今月急逝した翁長雄志(おながたけし)・沖縄県知事の「基地問題は一都道府県の問題ではない」という訴えを受け、一昨年に研究会を設置した。沖縄の実情に加え、やはり米軍基地を抱えるドイツ、イタリアの調査も踏まえ、2年近くかけてまとめたのが今回の提言だ。
米軍基地は全国30都道府県にあり、専用施設に限っても、沖縄のほか、青森、神奈川、東京など13都道府県に及ぶ。基地のない地域でも、米軍機による飛行訓練などが実施されており、多くの国民にとって決してひとごととはいえない。
提言は、航空法や環境法令などの国内法を米軍にも原則適用することや、事件・事故時の自治体職員の立ち入りなどを地位協定に明記するよう要請した。米軍機の低空飛行訓練については、時期やルートを事前に情報提供するよう求めている。
知事会が日米安保体制の重要性を認めながらも、このような具体的な提言をまとめた背景には、住民の生活に責任を持つ首長としての切実な思いがあるのだろう。
ドイツ、イタリアで現地調査を行った沖縄県の報告によると、両国では米軍機の事故を機に、協定の改定や新協定の締結を実現し、自国の法律を米軍にも適用している。騒音軽減委員会や地域委員会といった、地元自治体の意見を米軍に伝える仕組みも整備されている。
原則として国内法が適用されず、地域住民の声も届かない日本との違いは大きい。
これは日本の主権にかかわる問題である。日米安保条約に基づいて基地を提供する義務があるとしても、過度な優遇に目をつぶるわけにはいかない。何より地域住民の理解がなければ、安定的な基地の運用などおぼつかないはずだ。
地位協定については、与党公明党も今月、改定を含む具体的な見直しを政府に申し入れた。9月の自民党総裁選でも、大いに議論してほしい。

自民総裁選の日程決まる 憲法は政略の道具なのか - 毎日新聞(2018年8月22日)

https://mainichi.jp/articles/20180822/ddm/005/070/093000c
http://archive.today/2018.08.22-001401/https://mainichi.jp/articles/20180822/ddm/005/070/093000c

自民党総裁選の日程が9月7日告示、20日投開票と決まった。
安倍晋三首相はまだ出馬を表明していないが、石破茂元幹事長との一騎打ちを想定し、憲法改正の争点化をめぐるさや当てが始まっている。
首相は先週、地元・山口県で講演し、秋の臨時国会への改憲案提出を目指す考えを示した。
現行の憲法9条1、2項を維持したまま自衛隊の存在を明記する首相方針に石破氏は反対し、9条2項を削除して自衛隊を軍隊と位置づけるよう主張している。
首相は講演で「いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない」と強調した。総裁選で石破氏に勝つことで党内の9条論争に決着をつけ、総裁3期目の最優先課題として改憲を進めたい意向のようだ。
ただ、自民党憲法改正推進本部が3月の党大会前にまとめた4項目の改正案は急ごしらえの粗さが目立つ。特に9条は集団的自衛権の全面行使に道を開くとも読み取れるため、さらに精緻な議論が必要だ。
それでもあえて首相が総裁選の争点化を狙うのは、その方が自身に有利に働くとの算段からだろう。
石破氏の主張は自民党が2012年にまとめた憲法改正草案に沿ったものだが、連立政権を組む公明党が受け入れられる内容ではなく、国会発議は現実的に難しい。
石破氏も分が悪いことに気づいているようだ。「憲法改正には国民の深い理解を得る努力が必要だ」と党内議論に時間をかけるよう主張し、決着を急ぐ首相の姿勢を「スケジュールありき」と批判している。
石破氏の矛盾は、参院選の合区を解消する憲法改正を優先させる案で首相に対抗していることだ。
自衛隊明記も合区解消も4項目の条文案に含まれる。12年草案にない点も同じなのに、合区解消の方を急ぐ理屈は乏しい。
石破氏を支持する参院竹下派に配慮しているのだとしたら、石破氏の主張も自己都合だと言わなければならない。
憲法改正を党是とする自民党の総裁選で、その具体的な進め方が論戦の俎上(そじょう)に載ることは理解できる。しかし、最高法規たる憲法を政略の道具として扱うような姿勢が目立つことには違和感を拭えない。

入試差別救済 弁護団が発足 電話相談を開設 - 東京新聞(2018年8月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018082202000138.html
https://megalodon.jp/2018-0822-0912-43/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018082202000138.html

東京医科大の不正入試による被害の救済を図ろうと、女性を中心とした全国五十七人の弁護士が二十一日、「医学部入試における女性差別対策弁護団」を発足させた。二十五日午後一〜四時にホットラインを開設し、相談に応じる。
不利な得点操作がされていた女性と三浪以上の男性の元受験生を対象に、ホットラインを通じて被害者の発掘を進めた上で、それぞれの希望に沿って成績の開示や受験料の返還などを東京医大に求める。不利な得点操作で不合格となったことが判明した場合、入学資格の付与や賠償金の請求も検討していく。
東京都内で記者会見した角田由紀子、打越さく良(ら)両共同代表らは「日本社会から女性差別を根絶しようと立ち上がった」と強調。三浪以上の男性についても「不意打ちであり(得点操作を)公表していなかったことも問題」と指摘した。
設立準備段階で、三人の元受験生と接触してきたとし、会見では、東京医大を今年受験し得点操作が判明している二次試験で不合格となった女性の声を紹介。「努力を重ねれば公正、公平に判断してくれると思っていた。精神的なショックは大きい」などと読み上げた。
ホットラインの番号は、044(431)3541。メールでの相談は随時受け付ける。アドレスは、igakubu.sabetsu@gmail.com (井上靖史)

いじめに悩む子ら 仮面相談会 渋谷区で31日「出張駆け込み寺」:東京 - 東京新聞(2018年8月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201808/CK2018082202000137.html
https://megalodon.jp/2018-0822-0913-43/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201808/CK2018082202000137.html

いじめや引きこもりの撲滅を目指す一般社団法人「ヒューマンラブエイド」(HLA、練馬区)が、人に会いたくない、顔を見られたくないと感じる子どもたちのため、顔を出さずに相談できる「出張駆け込み寺 合同仮面相談会」を31日、渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センター(代々木神園町)で開く。新学期を前にいじめに悩む子に寄り添う。
当日は、相談に来る人自身が仮面やマスクを装着したまま会場に入ることができる。コスプレなどの変装も可能だ。会場にも仮面やマスクを用意し、選べるようにする。
相談は個別でもグループでも可能。弁護士や臨床心理士、いじめ防止に取り組むHLAスタッフらが応対する。悩みを打ち明けるなどの相談だけでなく、スタッフらとおしゃべりするだけでもいいという。
仮面相談を考えたのは、子ども時代にいじめに遭い、克服した経験を持つHLA共同代表で歌手の刀根麻理子さん。刀根さんは「いじめに遭うと、人と会うのが怖い、外に出て行きたくない、という気持ちになる。素顔をさらさずに相談できることで、自分で抱えこまず、ほんの少し勇気を出して一歩踏み出してもらうきっかけにしたい」と語る。
相談とは別に「リラックス レクリエーション広場」を設ける。音楽に合わせて踊ったり、お笑い芸人のトークを楽しめたりする。また、いじめ加害者に対する「今に見てろ」などの思いを紙に書いて燃やし「自分の後ろ向きな気持ちを捨てる」(刀根さん)遊びも行う。
元小学校長で共同代表の仲野繁さん(63)は「子どもの自殺は9月の新学期前が一番多い。リラックスしてもらうことでかけがえのない命を守りたい」と話す。
相談会は午後1〜4時半。事前申し込みや問い合わせはメールinfo@humanloveaid.com、仲野さん=電090(5411)0612=へ。 (上田融)

<金口木舌>散歩道の途中にある学校の石塀に県教育庁の告知が張られているの・・・ - 琉球新報(2018年8月22日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-787211.html
https://megalodon.jp/2018-0822-0914-51/https://ryukyushimpo.jp:443/column/entry-787211.html

散歩道の途中にある学校の石塀に県教育庁の告知が張られているのに気付いた。「この塀は、安全対策が必要であることが分かりました。塀の側を通る時は、ご注意を願います」と書いてある

▼頑丈な塀に見えたが、教育庁の採点は不合格だったようだ。「地震の時はこの塀から離れて下さい」ともあり、ちょっと怖くなった。大きな地震が襲ったときは間に合いそうにない
文部科学省の調査によると、安全性に問題があるブロック塀を抱える学校の割合が最も高いのは沖縄の52・6%だった。県内学校の約6割にブロック塀があり、その9割が「問題あり」という
▼学校の安全対策を採点すれば、県内の学校は合格点をもらえない。沖縄では安価で工事が容易なブロック塀を多用する傾向にあり、違法ブロックもまん延しているという。塀の強度を後回しにしたつけが児童生徒に回ってきた
▼こちらは沖縄戦のつけといえよう。天妃小学校の校庭で米国製の5インチ艦砲弾が見つかった。校門には「ふはつだん(ばくだん)がみつかりました! あぶないのではいらないで!」の警告文。部活動もできず、児童は困っていよう
▼戦後、那覇市役所が置かれたこともあるこの地に天妃小学校が開校したのは1966年。児童や職員は半世紀余も不発弾と同居していたわけだ。怖いことだが、それが戦後73年の沖縄の姿でもある。

<南風>貧困からの脱出 - 琉球新報(2018年8月21日)

https://ryukyushimpo.jp/hae/entry-786478.html
http://archive.today/2018.08.22-001750/https://ryukyushimpo.jp/hae/entry-786478.html

「子どもの貧困」が今社会問題となっている。
沖縄県内には100を超える子ども食堂がある。子ども食堂とは子どもの貧困対策の一環で、子どもたちに無料で食事を提供している施設だ。貧困家庭の子どもの食を支える施設として、とても重要な役割を担っている。しかし、ただ子どもにごはんを与えるだけでは無料でごはんを食べることが当たり前になってしまい、いつまでたっても貧困問題は解決しない。長い目で見て、彼らに必要なのは貧困から脱出する力や方法なのだ。
実際にRyukyufrogsのOBで貧困家庭の高校生が選ばれたことがある。彼は高校生にもかかわらずバイトを三つも掛け持ちし、家計を支えていた。特に将来の目標もなく学校に通い、勉強する意義がわからなかったそうだ。Ryukyufrogsでの活動を通して彼は自分が動けば周りの世界がガラリと変わる、ということを学んだ。 活動終了後高校を休学し、英語とプログラミングの留学をした。その留学資金も全てクラウドファンディングで集めた。留学先ではハングリー精神で英語とプログラミングを鍛え、インターンシップをすることで社会人の経験もして帰国した。すると自分の目指すところに向けての勉強が楽しくなり、今は大学で工学を学んでいる。
Ryukyufrogsというプログラムは気づきを与えるプログラムである。いろいろなチャンスはこちらである程度用意するがそれをつかむか、つかまないかは自分次第。「自分の家はお金がないから何もできない」ではなく、自分が行動することで周りを巻き込み、周りの人々の力を借りながら今の状況を変えていく。そういった行動力や巻き込む力をつけることで少しでも貧困から脱出する子どもたちが増えてほしいと願う。
(畑中ひらり、株式会社FROGS取締役)

対馬丸慰霊祭、広島で 広島経大岡本ゼミが開催 事件から74年、船舶砲兵と共に悼む - 琉球新報(2018年8月22日)

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-787231.html
http://archive.today/2018.08.22-001539/https://ryukyushimpo.jp/news/entry-787231.html

太平洋戦争中に、沖縄から学童や一般疎開者ら1788人を乗せた疎開船「対馬丸」が米潜水艦の魚雷攻撃を受け、撃沈された事件から22日で74年となる。長年、沖縄戦の研究を続けている広島経済大学の岡本貞雄教授のゼミ生らは22日、広島市南区の比治山陸軍墓地に立つ船舶砲兵部隊慰霊碑前で、対馬丸乗船遭難学童の慰霊祭を開催する。凄惨(せいさん)な戦争の記憶を後世へ伝える。沖縄では1953年から慰霊祭が続くが、広島県での開催は初めて。
輸送船の護衛部隊である船舶砲兵隊は、広島市に拠点を置く陸軍船舶司令部の所属で、対馬丸にも41人が乗船した。対馬丸記念館那覇市)によると、氏名が判明しているだけでも21人が犠牲となった。
今回、初の対馬丸慰霊祭が開催される船舶砲兵隊慰霊碑の刻銘版には、多くの子どもたちの命を守り切れなかった砲兵隊の懺悔(ざんげ)を刻むように「対馬丸乗船 沖縄疎開学童」と添えられている。岡本教授によると、刻銘は「志半ばで散った子どもたちをせめて供養したい」と願った、元砲兵の故・吉田董夫さんの熱心な働き掛けで実現した。
慰霊祭を前に20日、慰霊碑を清掃した岡本ゼミ生の岡峰尚希さん(21)は「慰霊祭が一人でも多くの人に、戦争と平和について考えるきっかけになってほしい」と話した。
子どもたちにも理解を深めてもらおうと、慰霊祭には沖縄戦遺族による紙芝居や呉海洋少年団による手旗信号も盛り込んだ。岡本教授は「二度と戦争が起こらない世界をつくるためにも、次世代を担う子どもたちにこそ戦争の歴史と平和の尊さを伝えたい」と力を込めた。 (当銘千絵)

猛暑こそ太陽光発電 最高気温更新でも安定 - 東京新聞(2018年8月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201808/CK2018082002000139.html
http://web.archive.org/web/20180820114429/http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201808/CK2018082002000139.html


記録的な猛暑が続いたこの夏、冷房を使う機会が増える一方で、東京電力管内の電力需給は、深刻な逼迫(ひっぱく)に陥った日がまだないことが分かった。太陽光発電の発電量が増え、節電の浸透で電力消費自体も減っていることなどが要因だ。東電管内で稼働している原発はゼロでも猛暑の日を乗り切っており、「電力の安定供給には原発が不可欠」とする政府や電力業界の主張はその根拠が薄らいでいる。 (伊藤弘喜)
電気の使用可能量(供給)に占める実際の使用量(需要)を示す「使用率」について、東電は安定的(93%未満)、やや厳しい(93〜95%未満)、厳しい(95%以上)、非常に厳しい(97%レベル)の四段階に区分する。一般的に暑い日ほど冷房が使われ使用率は上昇。97%を超えると停電の可能性も生じるとされる。
だが、この夏の使用率は、埼玉県熊谷市の気温が四一・一度と国内最高記録を更新し、東京(千代田区)で史上三位の三九・〇度に達した七月二十三日でも92%と「安定的」だった。ほかの日をみても、94%となって「やや厳しい」となった七月二日以外は、すべて「安定的」だ。
電力不足が避けられているのは、「気温が高い」との予報がある日に、東電が火力発電の発電量や他の電力会社から融通してもらう電力を増やしていることが要因になっている。さらに午前十時〜午後三時ごろに増える太陽光の発電量が、電気の使用がピークになる午後二時ごろと重なることも大きい。太陽光発電は、再生可能エネルギーで発電した電気をすべて電力会社が買い取る制度が二〇一二年に導入されてから増加。東電管内でも供給力の一割超を占めるようになっている。
節電や省エネで、電力の消費量自体も減っている。七月二十三日には、東電管内の電力使用量が午後二〜三時に五千六百万キロワットと震災後最大を更新。それでも〇一年七月二十四日に記録した過去最大量よりも13%少なかった。
事前に契約した企業への一時的な節電要請や、他の電力会社に電力を融通してもらう仕組みが整備されたことも、供給安定の要因に。日没以降も高温が予想された八月の一日と二日、東電は夕方にかけて大口顧客に節電を要請した。今年一月も厳しい寒さで暖房の利用が急増したが、電力会社間の融通によって電力不足は回避された。