『神の雫』 23巻読了

本日は『神の雫』23巻の発売日でした。


前回も書きましたが、結末だけは知っていて途中が良く分からない状態で、しかもよいところで話が寸断されるという一番困ったパターンでした。
※それ以来ややこしいので週刊の分は読まないようにしてますがw


今巻の印象としては物語の終結はいわれて見ればなんとなく納得がいったものの、以前からいろいろと細かいところでツッコミどころがある漫画であるところを裏切らない(?)ように今回も盛大にツッコミどころや指摘事項が満載で、本来これに触れるべきだとは思います。*1
しかしながらワインを飲みはじめて間もない人間なので物語を楽しむとともに、”ワインの表現に関するよい部分を中心に知りたい、””いろんなワインを知りたい”と思って読み続けていますので、検証に関してはそれを得意とされる方々のブログにおまかせすることにします。*2


それでは再度長いですが、第七使徒の記述を再掲します。


第七使徒の記述

そのときの私は自信に溢れていた


荒野にひとり佇もうとも
深い森をひとり彷徨おうとも
道を失おうとも
あるいは
大海に浮かぶ小舟にただひとり揺られようとも
決して動じることはない
そう思い込んでいたのだ


群れを離れた若獅子のごとく猛々しく振る舞っていた自分を
私はこのワインをグラスに注ぐ
そのたびに思い起こさずにはいられないのである


その香りは私を捕らえて放さない
懐かしい過去のように
輝かしい未来への空想のように
私はたまらずに手を伸ばし−
それを味わう


どこまでも高い空
見渡す限り広がる地平線
そして確固として動じない大地
私は我が身の矮小さを思い知らされる
遠くから地鳴りのように厳かに
潮騒のようにたおやかに聞こえてくる一本の旋律
それはひとつまたひとつと重なり合い
荘厳にして複雑なバロックとなって私をとりまきどこまでも鳴り響いてゆく
それは巨大な蟻の塔のように見える
それは群衆の叫びのようにも感じる
それは天を支える聖なる柱のように聳えている


それは訴えてくる
祈るがいい神にではなく人の力に
目指すがいい
天ではなく声のする方を


我が身を見失いし者よ
驕り昂ぶりそれ故に人に見放されし者よ
日々を生きることに振り回され
あるいは目まぐるしい時の流れにただその身を委ね
揺蕩うだけの者たちよ
掌を開き漲る力を確かめ
そしてこの地を訪れるがいい
ここには永遠に終わらぬ夢がある
ここには大いなる未完成が佇んでいる


アントニ・ガウディ
あなたは信じていたのだろうか
人々が諦めることを知らず
あなたの夢を紡ぎ続けるだろうと
幾多の若者たちが西からそして東の果てからも集い
何を求めるでもなく槌を振るい鏝を操り汗を流すことを厭わず
力の限りあなたの描いた夢のその先を
ともに創り続けるこの奇蹟をあなたは信じていたのですか


このワインは永遠の未完成
サグラダ・ファミリアである


      
              photo by id:crossworld


作中の勝利ワインは遠峯一青がナパで探し出してきたものでした。
第七使徒となったのは「シネ・クア・ノン 2003 ザ・イノーギュラル・イレブン・コンフェッションズ・シラーズ」。

毎年つくりや味のテーマやエチケットも変更されているそうで、作中のものとエチケットが異なるヴィンテージなのでエチケットも違います。ご了承ください。
茶道には一期一会という言葉がありますが、まさにそのようです。ほかのシャトーワインなども毎年同じ最高のものを作ろうとしても諸条件により異なると思いますが、それ以前につくりかたを変えればほんとうに出会えるものではないのが残念です。


対して雫が持ち帰ったのはオーストラリアのグレッチャーの「アモン・ラ・シラーズ 2003」でした。
神を表す名、そのものです。*3



いずれも新世界のシラーでした。
第七使徒は、”人の目的意思がつくりしワイン”ということで、「地に寄り添い天の声を聞いて人が作り出すフランスのワイン」とは違った方向性の新世界を表したそうです。

先日から持ち込みジビエ会が続いていた*4のでそれとあう力強いワインを探していたのですが、単なる”力強い”という表現だけではシラーも候補に入るのですが、いろんな方のいろんなワインをいただいて感じたのですが、やはり上記のサグラダファミリアの表現にはローヌなどは入ってこないなぁと思いました。
アモンラー2003はPP100点でしたので一度飲んでみたいなと以前から思っていたのですが手に入らなかったので、アナペレーナ2006を入手しておいていたのをみんなで飲んでみました*5が、それでもバルセロナの風や乾いたものは感じず、むしろ後ほど表現されている「発見」のワインかもしれません。
シラーというとたしかに香りもふくよかないろいろな織り交ぜられたスパイシーで、もちろん味わいも力強いのはこの上なく、あとから”ピリッ”とくる返しのような後口が人気だと思うのですが、実はのところ・・・この”ピリッ”が邪魔をしているようで私にはどうも好きになれなかった品種でした。
しかしながらアナペラータにはこれが感じられず邪魔もせず、「発見」の通り素材のよいものをそのまま味わえる感じがしました。


しかしながら・・・テロワールを反映させるのと素材をみつけて反映とどう違うのだろうとすこし勉強しないとわからないな、ともなんとも分かりにくい対決でした。

それに加えて、いつものことながら凡人にはわからない表現でありました。
たとえばスケール感などの表現はこうなるのか・・・とかありますが、いろいろ難しいことが多すぎます。
しかしながら、いろんな言葉や表現でその体を表すというのはワインのみならずほかの事象においてとても大切で人生をより豊かにしてくれると思います。





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で、いつものとおり、私はワインリストで楽しみたいと思います♪

というかいずれは飲みたいもふくめておさらいリストにします。


今回はカルトといわれるとてもめずらしい稀少なワインも多かったのですが、それでも前巻もそうでしたが今回もニューワールド(第三世界)ということで等身大のワインが多く、ヴィンテージが少々ずれるものの(なんとか)手が届くものがあり、読者も希望がもてたのではないでしょうか?w


●シネ・クア・ノン 2003
 ザ・イノーギュラル・イレブン・コンフェッションズ・シラーズ 

●グレッツァー・アモン・ラ・シラーズ 2003


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●ラフィング・マグパイ・シラーズ・ヴィオニエ / ダーレンベルグ 2006

●シャトー・ラフィット・ロートシルト 1945*6

●エグザイル コロニアル・エステート 2004


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●クリスタル ルイ・ロデレール*7

●テタンジェ・コント・ド・シャンパーニュ・ロゼ




<おまけ(コラムより)>
作中のものがあまりに高価なので、これくらいしか手が出ないとかw


●マス・ケ・ヴィニョス エルカヴィオ・ロブレ
 これは安いので通販の同梱に買った人も多いんじゃないかと思います。
 未飲なのですが、これだけいろいろ表現できるか自分もトライしてみたいです。


甲州きいろ香 / メルシャン
 7月末に飲んでエントリもしたものです。
 爽やかでフルーティな白でした。*8





漫画『神の雫』のレビュー記事まとめ

26巻 25巻 24巻 23巻 22巻 21巻 20巻 


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*1:*いえホント、初心者が見てもびっくりするような疑問を感じる内容などでした。

*2:*とはいえ、ワインに関係ないところでいうと、豊多香って何歳なんだ?!とは言いたいw

*3:*最初の印象から神様、千年パズルのイメージでしたw

*4:*というかまだ続くかもw

*5:*テイスティングメモが大して書かれてなくてすいません。時間を見つけて追記したいと思います。周りの反応もとても高評価でした。

*6:*これも今巻のツッコミどころの1つですが、作中では扱いがひどそうだったので、コンディションのいいものがいいです・・・

*7:*ケンカの仲裁にぶちまけられたかわいそうな泡・・・おいしいのに・・・もったいない・・・

*8:*私に限って言えばボディの割りに少々酸が突出して酸っぱくいました。