鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!

映画痴れ者/ライター済東鉄腸のブログ。日本では全く観ることができない未公開映画について書いてます。お仕事の依頼は 0910gregarious@gmail.com へ

Gabriel Abrantes&"Dreams, Drones and Dactyls"/エロス+オバマ+アンコウ=映画の未来

この前、リンカーン・センターで"American Friends"という特集が行われた。この特集は、世界を股にかけ活躍する4人のアメリカ人監督Gabriel Abrantes, Daniel Schmidt, Benjamin Crotty, Alexander Carverの作品を上映するもので、彼らが共同で作り上げた短編や長編を総攬するまたとない機会でもあった。そして一部は動画サイトMUBIでも配信され、この極東にいる私でも観ることが出来たという訳である。

ハッキリ言うとこの4人の中でDaniel SchmidtAlexander Carverには世評ほどの才能はないと思った。彼らの長編作品"The Unity of All Things"は3人の科学者たちを主人公として、彼女たちの三角関係を幻想的な映像美で以て描き出したクィアSFといった趣なのだが、ただただ映像美のみが先だってそれ以外は間抜けとしか言いようのない作品だった。だが残り2人、Benjamin CrottyGabriel Abrantesは驚きの逸材だ。Crottyについては以前の記事にも書いたのでそれを読んで欲しいのだが、今回はもう1人の逸材Gabriel Abrantesと彼の短編オムニバス映画"Dreams, Drones and Dactyls"を紹介して行こう。

Gabriel Abrantes1984年にノースカロライナ州に生まれた。両親はポルトガル人で公衆衛生という分野で働いている人物で、若い頃は毛沢東に傾倒しておりそれが縁で知り合ったそう。Abrantesはそんな彼らが思想に幻滅し、いつしかジャガーを乗り回すようになった姿を見て、懐疑主義的な思考を養ったのだという。

幼少期はポルトガルやベルギーなど国を転々とし7歳の時にアメリカへと帰国する。最初は絵画に興味があったが、高校からは友人と共に映像制作を始める。そして18歳でニューヨークに移住してクーパー・ユニオン大学で映画・視覚芸術を学ぶこととなる。アメリカの高名な映画評論家J.ホバーマンの元で映画史や映画美学についての授業を受けるが、彼の話で特に印象に残っていたのが性倒錯についてだったそうで、性倒錯のことを興奮しながら話すホバーマンの姿を見て"自分も変態やってみるか!"と一念発起し、短編を作り始める(というのは言いすぎかもしれない)

2006年頃から"Anarchist King," "Razor Thin Definition of Punk," "Dear God, Please Save Me,"を手掛けた後に"Olympia I & II"の2部作を監督する。これはエドゥアール・マネの同名代表作をモデルとした短編でリスボンインディー映画祭で上映される。此処から世界を股にかけて映画を製作するようになり2009年の"Too Many Daddies, Mommies and Babies"は当時父親が住んでいたブラジルの首都ブラジリアを舞台とし、在籍していたル・フレノワのクラスメイトだったBenjamin Crottyとの共同監督作である2009年の"Visionary Iraq"は表題にある通りイラクで、2011年の"Liberdade"アンゴラを舞台としている。

彼の転機となったのは盟友Daniel Schmidtとの共同監督作"A History of Mutual Respect"(2010)と"Palacios de Pena"(2011)の2本である。前者はポルトガルを旅する青年たちの姿を通じて女性蔑視や植民地主義を風刺した作品でありロカルノ国際映画祭で短編金豹賞を獲得、後者はリスボンに建つ祖母の邸宅へとやってきた2人の少女が愛し合い憎みあう様を描き出した実験映画でヴェネチア国際映画祭で女上され話題となる。この2作は"Friends for Eternity"という題で長編オムニバス映画としてMUBIでも配信されてた一作で私も観た、のだが正直言えば今作のAbrantesは全く振っていない。どちらかと言えば共同監督であるSchmidtの作家性が良く出ており、撮影は息を呑むほどの崇高さを称えながら、内容は安い哲学にまみれて鬱陶しいことこの上ない。ということで2作についてはこのくらいで。

その後も製作スピードは衰えない。2011年には2人の少女が彼氏や彼氏の母親や彼氏の母親が乗っている車やユダヤ教について喋りまくる"Baby Back Costa Rica," ウィリアム・シェイクスピアじゃじゃ馬ならしの冒頭を映画化した"Fratelli," 2012年にはハイチを舞台に3人の少女がフラッフラした末にアリストパネスの喜劇「鳥」を観に行くコメディ"Zwazo"を監督する。そして2013年には"Ennui ennui," 2014年には"Taprobana," 2015年には"Freud und Friends"を手掛けるのだがこの3作をまとめた長編作品が今回紹介する"Dreams, Drones and Dactyls"である。

まずは2014年の"Taprobana"から。この物語の主人公は詩人のルイス・デ・カモンテス、16世紀に大叙事詩"ウズ・ルジアダス"を執筆しポルトガルにおいて最も偉大な芸術家と謳われる人物である。彼は軍人でもあったのだが、ある時傷害事件を起こし中国人の娼婦ディアメヌと共に逃走することとなる。

柔らかな陽光に包まれ、芝生に寝転がるカモンテス(Natxo Checa)は詩を吟ずる。美しく謎めいた響きを宿しながらも、それはある意味でディアメヌ(Jani Zhao)にフェラチオされる快感から生まれ出ていると言っていいかもしれない。そして好色爺は何とまあ彼女と69までヤリ始めて、その性欲は留まる所を知らない。そんな彼を追跡するのが王の命を受けた美男の使い(Gabriel Abrantes)、彼がもうそこまで来ているのをカモンテスは知ってか知らずかセックスに耽るのであった。

この艶笑劇を彩るのはカモンテスを演じるNatxo Checaによる粒子の荒い16mm撮影だ。太陽の光をそのままスクリーンに焼きつけたような橙は、ポルトガル大自然にどこか不思議な雄大さをもたらすと同時に、詩人と大使の追跡劇をのほほんと笑える牧歌的なものにする。そんな中でAbrantes監督のイマジネーションは自由に舞い上がる。逃走の最中、カモンテスはペットの猿の顔面にイタリアの偉大なる先人ペトラルカの姿を幻視する。それが何か彼の救いになるかと言えば、別にそういうこともなく彼は普通に捕縛される。そこから変な島へ行くかと思えば、その果てには死後の世界にまで彼の魂はフラッフラと彷徨い、良く分かんない、良く分かんないとは思いながら監督の大胆なストーリーテリングに観客はきっと魅了される筈だ。

そして彼の大胆さが最も滑稽な形で発揮されているのが2013年の"Ennui Ennui"である。まず冒頭からすごい、ある人物が鼻唄を歌いながらTwitterをしているのだが、彼は歌手のリアーナにクソみたいな言葉を送ろうか送るまいか悩みまくっていた。が、そんな彼のいる部屋に女性がやってきて言うのだ、時間です大統領。つまり彼はあのアメリカ合衆国大統領バラク・オバマなのである(声は盟友Benjamin Crotty担当)。そして今度はオバマの元に電話が掛かってくる、話の相手は彼の娘らしいのだが、スクリーンに映る彼女の姿は飛行機以外の何者でもない、そう彼の娘は今巷で話題の無人爆撃機、通称ドローンなのである。

何だこれ馬鹿か!と思うしかない訳だが、そんな観客を嘲笑うかのように舞台はアフガニスタンへと移る。広大な野原に建てられた小さなテント、そこには遊牧民ツチ族の妃であるシェール(Esther Garrel)と彼女の父(Aref Banuhar)が暮らしている。最近シェールは欲求不満で、取りあえずニンジンを使ってオナニーをしてみるのだが溢れる性欲をどうすることも出来ない。そんな彼女の周りに怪しい影、テロリストの一員であるマルファクタール(Omid Rawendah)はライフル銃でシェールを狙う。女をレイプしてこそ一人前の男だよ!とそんな母親の言葉に促され、彼は媚薬入りの銃弾でシェールを我が物にしようとしていた。更にそこにやってくるのはフランスからの大使(何とエディット・スコブ出演!)と娘クロエ(Laetitia Dosch)、更に彼女が引き連れるマダム・ボヴァリーという名の赤ちゃんイノシシ。彼女たちはシェールの父と武装解除についての交渉をするためやってきたのであった。

もうこのキャラ設定の説明だけでお腹いっぱいだが、ここにオバマの娘aka無人爆撃機まで絡んでくる訳で奇想特盛状態としか言いようがない。シェールとクロエは民族衣装のプレゼントで距離を一気に近づけ、マルファクタールは男らしさという名の教義に疑問を抱きだし、無人爆撃機は任務を越えて自我を持ち始めるとそうして物語が展開していくごとに、Abrantes監督はジャンルを越境する自由な笑いをブチかましてくれる。サスペンスっぽくなったかと思えば、突如アクション映画へと姿を変え、彼お得意の艶笑劇を繰り広げたと思うと、SF的境地にまで辿り着くのだから恐ろしいものだ。とにかくまあ本当に馬鹿げていて超楽しいのがこの"Ennui Ennui"なのである、イノシシも可愛いよ。

そして最後を飾るのがこの中では一番新しい"Freud und Friends"である。舞台は近未来、科学がとうとう人の夢を覗くことが出来るほどに進歩を遂げた時代、その技術を悪用して毎週誰かの夢を地上波で垂れ流す、有名映画監督ヘルナー・ヴェルツォーク(表記ママ)によるドキュメンタリーが人気を博していた。今回その哀れな犠牲者になった若者こそがGabriel Abrantesその人であった。彼のフィアンセでもある科学者マルタ(Sónia Balacó)の手によってAbrantesの夢が液晶に映し出されるのだが、そこには驚きの光景が広がっていた。

夢という遊び場を手に入れたAbrantesは他ならぬ自分の分身を弄びに弄びぬく。Abrantesの夢に浮かび上がるのは今後への不安だ、マルタといるのは幸せだが結婚となると一歩踏み出せない自分がいる。彼女が眠りにつく中でAbrantesは悩むのだが、その時彼女のお尻からブボボボボボボと緑色のオナラが漂い、そこから何とAbrantesのママが現れる。あなたしっかりなさい!とママは言葉をかけるのだが、彼の気持ちは晴れないままに結婚式当日がやってくる。

ここからがまたTV番組という体をも利用して監督は馬鹿をやりまくる。2本ほどCMが流れるのだが、その1本は映画の予告編であり、最近ヨーロッパの美しい都市で観光コメディを作りまくっている某巨匠をコケにしまくったパロディ作品でマジで爆笑必死だ。そもそもこの"Freud und Friends"はインディーリスボン映画祭が主催となって、有名監督にリスボンを舞台に短編を作らせるって企画の一環だったのだが、Abrantes監督はリスボンの良いところなんて微塵も見せずに暴走しまくり、挙げ句の果てにはポルトガルの俊英俳優カルロト・コッタ(日本でも彼の特集上映が行われている)や謎のアンコウ集団を担ぎ出して映画界の極北をひた走るのである。

2016年には既にコンスタンティンブランクーシの悪名高い彫像"プリンセスX"とナポレオンの妻マリー・ボナパルトの人生が交錯する"A Brief History of Princess X"を上映済み。今後については既に10本もの計画が動いているらしく、その何本かについて紹介しよう。まず1本目は"Taprobana"を発展させたTVドラマ、毎回ポルトガルの有名人が描かれ最後には天国へと召される、そこは歴史に名高い芸術家だけが行くことの出来る天国なのだが、そこにやってきた者たちは皆ポルトガルよりもフランスの天国の方が沢山の芸術家がいることにブチ切れる……という内容だそう。そして2本目はAIを巡るコメディ。AIが統計学を元に人間たちが笑うジョークを研究、コメディアンとしてとある少女とコンビを結成、ブラジルで大ヒットとなりTV番組に呼ばれるほどの有名人となるのだが……という作品らしい。そして3本目はSchmidtと共同での長編作品、ハイチ大地震の後にアメリカからとある有名人(監督によるとキム・カーダシアンがモデルらしい)がやってくる、彼女は哀れな少年を養子にするのだが、実は彼はハイチを出ていくため哀れな少年のフリをした娼婦だった。そしてアメリカに帰った後、有名人と少女は恋に落ちて……というこれまたAbrantesの自由な発想が爆発している作品で、Schmidtが関わっているのだけが不安な感じだ。ということでAbrantes監督の今後に超超超期待。


"OlmpiaⅠ"で堂々のヌード、というか結構脱いでます。そしてインタビュー読むと分かるけども性格が凄い悪い。

参考文献
https://pro.festivalscope.com/director/abrantes-gabriel(監督プロフィール)
http://www.filmcomment.com/blog/interview-gabriel-abrantes/(監督インタビュー)
http://www.filmcomment.com/article/gabriel-abrantes-daniel-schmidt-benjamin-crotty-alexander-carver/("American Friends"特集について)

ポスト・マンブルコア世代の作家たちシリーズ
その1 Benjamin Dickinson &"Super Sleuths"/ヒップ!ヒップ!ヒップスター!
その2 Scott Cohen& "Red Knot"/ 彼の眼が写/映す愛の風景
その3 デジリー・アッカヴァン&「ハンパな私じゃダメかしら?」/失恋の傷はどう癒える?
その4 Riley Stearns &"Faults"/ Let's 脱洗脳!
その5 Gillian Robespierre &"Obvious Child"/中絶について肩の力を抜いて考えてみる
その6 ジェームズ・ポンソルト&「スマッシュド〜ケイトのアルコールライフ〜」/酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい酒が飲みたい…
その7 ジェームズ・ポンソルト&"The Spectacular Now"/酒さえ飲めばなんとかなる!……のか?
その8 Nikki Braendlin &"As high as the sky"/完璧な人間なんていないのだから
その9 ハンナ・フィデル&「女教師」/愛が彼女を追い詰める
その10 ハンナ・フィデル&"6 Years"/この6年間いったい何だったの?
その11 サラ=ヴァイオレット・ブリス&"Fort Tilden"/ぶらりクズ女子2人旅、思えば遠くへ来たもので
その12 ジョン・ワッツ&"Cop Car"/なに、次のスパイダーマンの監督これ誰、どんな映画つくってんの?
その13 アナ・ローズ・ホルマー&"The Fits"/世界に、私に、何かが起こり始めている
その14 ジェイク・マハフィー&"Free in Deed"/信仰こそが彼を殺すとするならば
その15 Rick Alverson &"The Comedy"/ヒップスターは精神の荒野を行く
その16 Leah Meyerhoff &"I Believe in Unicorns"/ここではないどこかへ、ハリウッドではないどこかで
その17 Mona Fastvold &"The Sleepwalker"/耳に届くのは過去が燃え盛る響き
その18 ネイサン・シルヴァー&"Uncertain Terms"/アメリカに広がる"水面下の不穏"
その19 Anja Marquardt& "She's Lost Control"/セックス、悪意、相互不理解
その20 Rick Alverson&"Entertainment"/アメリカ、その深淵への遥かな旅路
その21 Whitney Horn&"L for Leisure"/あの圧倒的にノーテンキだった時代
その22 Meera Menon &"Farah Goes Bang"/オクテな私とブッシュをブッ飛ばしに
その23 Marya Cohn & "The Girl in The Book"/奪われた過去、綴られる未来
その24 John Magary & "The Mend"/遅れてきたジョシュ・ルーカスの復活宣言
その25 レスリー・ヘッドランド&"Sleeping with Other People"/ヤリたくて!ヤリたくて!ヤリたくて!
その26 S. クレイグ・ザラー&"Bone Tomahawk"/アメリカ西部、食人族の住む処
その27 Zia Anger&"I Remember Nothing"/私のことを思い出せないでいる私
その28 Benjamin Crotty&"Fort Buchnan"/全く新しいメロドラマ、全く新しい映画
その29 Perry Blackshear&"They Look Like People"/お前のことだけは、信じていたいんだ

私の好きな監督・俳優シリーズ
その51 Shih-Ching Tsou&"Take Out"/故郷より遠く離れて自転車を漕ぎ
その52 Constanza Fernández &"Mapa para Conversar"/チリ、船の上には3人の女
その53 Hugo Vieira da Silva &"Body Rice"/ポルトガル、灰の紫、精神の荒野
その54 Lukas Valenta Rinner &"Parabellum"/世界は終わるのか、終わらないのか
その55 Gust Van den Berghe &"Lucifer"/世界は丸い、ルシファーのアゴは長い
その56 Helena Třeštíková &"René"/俺は普通の人生なんか送れないって今更気付いたんだ
その57 マイケル・スピッチャ&"Yardbird"/オーストラリア、黄土と血潮と鉄の塊
その58 Annemarie Jacir &"Lamma shoftak"/パレスチナ、ぼくたちの故郷に帰りたい
その59 アンヌ・エモン&「ある夜のセックスのこと」/私の言葉を聞いてくれる人がいる
その60 Julia Solomonoff &"El último verano de la Boyita"/わたしのからだ、あなたのからだ
その61 ヴァレリー・マサディアン&"Nana"/このおうちにはナナとおもちゃとウサギだけ
その62 Carolina Rivas &"El color de los olivos"/壁が投げかけるのは色濃き影
その63 ホベルト・ベリネール&「ニーゼ」/声なき叫びを聞くために
その64 アティナ・レイチェル・ツァンガリ&"Attenberg"/あなたの死を通じて、わたしの生を知る
その65 ヴェイコ・オウンプー&「ルクリ」/神よ、いつになれば全ては終るのですか?
その66 Valerie Gudenus&"I am Jesus"/「私がイエス「いや、私こそがイエ「イエスはこの私だ」」」
その67 Matias Meyer &"Los últimos cristeros"/メキシコ、キリストは我らと共に在り
その68 Boris Despodov& "Corridor #8"/見えない道路に沿って、バルカン半島を行く
その69 Urszula Antoniak& "Code Blue"/オランダ、カーテン越しの密やかな欲動
その70 Rebecca Cremona& "Simshar"/マルタ、海は蒼くも容赦なく
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その72 Afia Nathaniel &"Dukhtar"/パキスタン、娘という名の呪いと希望
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その74 Maxime Giroux &"Felix & Meira"/ユダヤ教という息苦しさの中で
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その123 Mélanie Delloye&"L'Homme de ma vie"/Alice Prefers to Run
その124 アマ・エスカランテ&「よそ者」/アメリカの周縁に生きる者たちについて
その125 Juliana Rojas&"Trabalhar Cansa"/ブラジル、経済発展は何を踏みにじっていったのか?
その126 Zuzanna Solakiewicz&"15 stron świata"/音は質量を持つ、あの聳え立つビルのように