白石・森田

私も一応千葉県民なのであった。
先ず『東京新聞』の記事;


白石真澄氏出馬へ 千葉知事選 関西大教授『民主党から』
2008年11月28日 朝刊

 任期満了に伴い来春に実施される千葉県知事選に、関西大学教授で千葉県教育委員を務める白石真澄氏(50)が出馬する意向を固めたことが二十七日分かった。

 関係者によると、白石氏は名古屋市の政策参与に就いているが、知事選に出馬することを理由に、辞任することを市側に伝えたという。「民主党から出馬する」と話したという。白石氏は民主党千葉県連の候補者選定に名前が挙がっている。

 知事選をめぐっては、千葉県議の西尾憲一氏(57)が既に出馬を表明。現職の堂本暁子知事(76)も三選に向け前向きな姿勢を示している。

 ほかに前回出馬し敗れた俳優の森田健作氏(58)ら複数の名前も浮上している。自民党は独自候補を絞り込めていない。

 白石氏はニッセイ基礎研究所主任研究員、東洋大教授などを経て、関西大学政策創造学部教授。バリアフリー少子高齢化対策などが専門で、政府の教育再生会議委員なども務めている。千葉市内に住んでおり、二〇〇三年三月から保護者の立場で県教育委員に就任し、現在二期目になる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008112802000121.html

彼女については、批判的なエントリーとして、http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20081201/1228140774http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-597.htmlがあり。問題は、経済においては〈右〉だとしても、社会的にリベラルなのか権威主義なのかということなのだろうけど、そこら辺はどうなのだろうか。
また、『産経』の記事;

森田健作氏が再挑戦に意欲 来春の千葉県知事選
2008.12.2 20:02

任期満了に伴う来春の千葉県知事選で、俳優で元衆院議員の森田健作氏(58)が2日、事実上の出馬表明をした。森田氏は前回も出馬し、堂本暁子知事に6086票差で惜敗した。正式な出馬表明は年明けの見通し。無所属で立候補するとみられる。

 森田氏は同日夜、千葉市内のホテルで開いた自身の出版記念パーティーで、「千葉の未来を私たちの手で作りたい」とした上で「(千葉県民は)一人ひとりはいいプレーヤーなのに、いい監督がいない。県民と日本人の意識を私と皆さんのやる気で変えよう」と意欲を語った。

 知事選をめぐっては県議の西尾憲一氏(57)が出馬を表明、民主党県連は県教育委員で関西大教授の白石真澄氏(50)を推薦する方針を決めた。堂本知事も前向きな姿勢を示している。
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/chiba/081202/chb0812022003013-n1.htm

森田健作には出てほしくないので、2月から4月にかけて、ドラマか何かの撮影が入ればいいと思う。できれば海外ロケで。堂本暁子にしても同じ人が3期知事をやるというのはよくないし。

「ヤプー」死す

『読売』の記事;


家畜人ヤプー」の作者と告白、天野哲夫さん死去

 戦後を代表する奇書「家畜人ヤプー」の作者とされる天野哲夫(あまの・てつお)氏が11月30日死去した。


 82歳。告別式は近親者で済ませた。

 雑誌連載を経て1970年、沼正三(ぬましょうぞう)の筆名で刊行された「ヤプー」は、2000年後の白人帝国で、日本人が家畜となって白人に奉仕するという小説。作家の三島由紀夫が「マゾヒズムの快楽の極致だね」と絶賛、ベストセラーになった。

 作者の正体をめぐり、元判事説など諸説あったが、後に天野氏が「ヤプー」を書いたのは自分と告白していた。
(2008年12月3日23時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20081203-OYT1T00848.htm

リンギスを再録

汝の敵を愛せ:Dangerous Emotions

汝の敵を愛せ:Dangerous Emotions

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081120/1227201998の余白に、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070316/1174048999で引用したアルフォンソ・リンギス『汝の敵を愛せ』の一節を貼り付けておくのも無意味なことではあるまい;


きみはリーノーの病院で生まれた、きみはリオ郊外の名もないスラム街のある汚い小屋のなかで生まれた。きみの存在は、いかにかけがいのないものだろうか! 偶然にある女とある男が出会い――地球の二十五億の男のなかから、偶然にその男と出会い、思いもかけず男は女を気に入り女は男を気に入り、二人は服を脱いで交接し、そして、ヴァギナのなかへと繰り返し射出される精子のなかから、ひとつが偶然にこの卵子と出会い、そのなかに吸収されたのだ。百万の偶然の出会いが作り上げる人生行路の曲がり角を、どこか少しでも違ったふうに曲がっていれば、生まれたのはきみではなく誰か別の人物だっただろう。

宇宙の原子の数は、十の七十六乗だと言われている。しかし、人間のDNA分子の可能な組み合わせの数は十の二十四億乗である。きみが存在する確率は、十の二十四億乗分の一なのだ。生まれたのがきみだったというのは、偶然という以前に、まったくありそうにもないことなのだ。(pp.166-167)

上海蟹から上海ヒルズ

上海に戻ってから色々とごちゃごちゃ。風邪も復活したりまた引っ込んだりだし。
妻が上海蟹(大閘蟹)をもらってきたので、金曜日に蒸してみた。実は今年はまだ蟹を食べていなかったのだ。今年は蟹が例年にない安値だというのに。そういえば、東京築地*1上海蟹1杯1000円で売っていたのだが、これはかなりべらぼうな値段。後から知ったのだが、蟹を蒸すときは蟹を腹這いではなく仰向けにして蒸さなければならないと。そうしないと、腹から蟹味噌が流出してしまう。金曜日に1人3杯ずつ、計6杯食べたのだが、土曜日に浦東のBさんの家で雲南人の飲み会があって、そこでも上海蟹が出たので、2夜連続で蟹ということになった。その時に同席していた無錫在住某嬢が12月25日が誕生日なので、上海で誕生パーティをしてほしいというので、今年は自宅でクリスマス・パーティをすることに決定。
火曜日に所用で浦東に行ったが、今年9月にオープンした「環球金融中心」、通称上海ヒル*2に行ってみようかというというお上りさん的気持ちが湧いた。91階のレストラン「世紀100」でランチ。展望だが、晴れてはいるものの、空が澱んでいて、遠くは見えず。なお、「環球金融中心」の展望台の入場料というかエレヴェーター代は150元で、「世紀100」のランチ・セットは180元なので、昼間であればこちらの方が断然お得であろう。
「世紀100」の或る意味で無機質な空間から、そういえばこないだ日本に帰ったときに、『ロスト・イン・トランスレーション』の舞台になった新宿のセンチュリー・ハイアットのバーで飲もうととか言っていたのだが、結局行かなかったということも思い出した。それはともかく、東京のホテルで飲むとしたら、やはりセンチュリー・ハイアットということになるのか。麻生太郎もここには来ないようだし*3

ロスト・イン・トランスレーション [DVD]

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『目白雑録』

目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

金井美恵子『目白雑録』(朝日文庫、2007)を数日前に読了。
一応目次を書き写しておくと、

頭の中身
「オヤジ」の言説に抗して
「『風流夢譚』の出版自体は罪ではないし、言論の自由として認められるべきだが、出版によって起こり得る事態を想定しなかったことは責められる」と、島田雅彦は書いた
夏風邪日記
夏ボケ日記
夏バテ日記
ノーテンキ日記
ジョーシキ日記
ヘトヘト日記
続・ヘトヘト日記
文学は無邪気さで時代を生きのびよう 1
文学は無邪気さで時代を生きのびよう 2
むずむず日記
語り得ぬもの?
老いの微笑
梅雨入り日記
夏風邪は馬鹿がひく
映画雑録
「禁煙空間」のひろがり
今月の馬鹿
沈黙に目をかたむけよ
ティファニーでお刺身を
数について
急性腸炎日記


あとがき、あるいは、言わなきゃよかった日記
文庫版のためのあとがき
解説 中森明夫

もともとは朝日新聞社のPR雑誌『一冊の本』に2002年から2004年にかけて連載されていた分。この間には(本分でも言及されているように)日韓ワールド・カップがあり、またイラク戦争もあった。この頃『一冊の本』はほぼ毎月読んでいたので、今回は一応再読ということになる。
まあ、『目白雑録』には「ひびのあれこれ」というルビも振られているので、内容の要約とかそういうことは野暮なことであろう。いきなり(「中年の、哲学的で、しかもマッチョじゃないと称される小説家」[p.9]とは言われているが)保坂和志が血祭りに上げられて始まる本書は(凡庸な言い方ではあるが)金井美恵子先生の罵倒藝を愉しむ本ということになる。本書で特に中心的な〈いじめ〉の対象となるのは加藤典洋島田雅彦ということになるのだが、柄谷行人田中康夫にも容赦はない。さて、島田雅彦が自らの小説を浅田彰に「退屈」と呼ばれ、田中康夫に「駄目な奴」と言われて、「人の悪口をいう以上は批評の手間を省くな」と書いたこと(「「禁煙空間」のひろがり」p.212)について、「自分がどう「退屈」なのか、どういう理由で「駄目な奴」なのか、「批評」として長々と手間を省かずに書いてくれ、と言うのは、これはなんだろうか、通俗小説風に考えると、一方的に別れを宣言する恋人に「退屈」とか「駄目な奴」と告げられた男が、どーしてなんだ、と悩みながら、相手にみついだ金額を計算して、グヂャグヂャ言って請求書を送りつけようかどうか、迷っている、という状況を連想させる」(p.213)。
また、雑誌連載の時も笑ってしまったのだが、今回も笑ってしまったのは西尾幹二。曰く、

例の「新しい歴史教科書」が話題になった時、連載小説にかかりきりで、書く機会がなかったのだが、教科書編者の一人、ドイツ文学者だとかいう西尾幹二(この名前が思い出せなくて、一時間ばかり苛々する)の顔がテレビに映るたびに『仁義なき戦い』の、あの卑怯な親分の金子信雄(顔をゆがめて口をとがらせて薄笑いを浮かべる演技)にそっくりで、「新しい歴史教科書」が、仮に正しいとしても、『仁義なき戦い』の金子信雄がテレビで宣伝活動したんじゃあ、正しくないことが映像的に伝わっちゃうよ、強いものに迫られると、腰を抜かして、許してくれ、許してくれ、金、金なら、やるぞ、と叫んで女房にまで軽蔑される、広島の金子親分の「歴史教科書」だよ、などと思い出す。(「夏風邪日記」、p.44)
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さらに今回笑ってしまったのは(前に読んでいなかったか)、

(前略)さきおととしのピーコック・ストアの七夕飾りの前で、テーブルに向かって、なにやら熱心にタンザクを書いている眼鏡のダークグレーのスーツで、大きめのナイロン製書類鞄を持った若い男(推定二十四歳から三十二歳、というところか)がいて、職業はというと大学院の学生か大学非常勤講師というタイプで、中背に小ぶとりで、まあ、はっきり言えば中途半端なオタクのモテナイ系というところか。真剣に考え込むかのように宙を見つめては書きすすめる様子が、ちょいと異様だったので、踊り場の壁に張ってある、新聞の折り込み広告の今週のお買得情報を、何気なく見ているふりをして、若い男がタンザクを笹の葉に吊して立ち去るのを待ち、何を書いたのか、さっそく読んでみたところ、〈美人でスタイルのいい、頭が良くて優しい女の子が、僕の彼女になりますように。〉と、筆ペンで書かれており、黒いナイロン製書類鞄をガサゴソさせていたのは、筆ペンの出し入れのためだったのかと納得したのだが、私はその足で二階の文具売り場へ行き、ピンクの太書き蛍光インクのフェルト・ペンを買い、人のいないのを見すましてから、〈……僕の彼女になりますように。〉のタンザクの裏に大きく目立つように、「ムリだっての!!」と書いて吊しなおしたのだが、こういった振舞いは、五十のおばさんのやる事ではないし、それに、まあ、いわゆる「文学者」のやる事でもないだろう。(pp.66-67)
さて、金井先生が戦後の小津安二郎映画が嫌いだということを知る(「急性腸炎日記」、p.266)。

See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081126/1227715814

安倍も言葉は知らなかったが

承前*1


このところ私はしばしば、高校や中学校、いや小学校の国語の授業で、教師と生徒の間でどのようなやりとりがなされているだろうか、と想像するのである。漢字の誤読の多い生徒に対して教師は、「お前はまるで麻生総理みたいだな」とか「麻生総理か、お前は」などと言っているのではなかろうか。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-796.html
生徒としては、教師に対してあの昭和天皇に関する不敬罪的なギャグをかますというのが正しい態度といえるだろう。
それはともかくとして、漢字が読めないことと麻生太郎支持率の低下との関係はわからない。また、2代前の安倍晋三も間違った言葉遣いによってしばしば嗤われていたが*2、これほどまでに盛り上がらなかったのは何故?
低支持率といえば森喜朗森喜朗のおかげで初期の小泉内閣が輝いてみえたということはあるのだが。ところで、今の麻生氏が駄目になって、自民党の総裁(それも野党党首になる可能性も大)のなり手がいるのかどうかもわからぬ。