藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

政治の戦略。

「組織は戦略に従う」はA.D.チャンドラーの提唱した不滅の定理である。

あらゆる分野に当てはまる。
制度も戦略に従うのだ。

大前研一さんが、日本の法制度について、「明治時代からのものを、自然には消滅することなく屋上屋を重ねて作っている珍事」と表現していたが、、税制についても同感する。
自動車税の廃止が検討されているのだが、「代わりの財源がないので、消費税引き上げと一緒にやりましょう」
という、実に抱合せ的な結論。

そして、この廃止の源は「自動車取得税」と「消費税」、「自動車重量税」と「自動車税」の二重課税問題である。
自動車業界と経産省は、廃止を要望し、財務省総務省は財源難で難色を示しているという。

社会保障と税の一体改革、もリストラクチャリングでは重要だと思うが、税金そのものの構造を本当に抜本的に直す時期に来ているのではないだろうか。
どの道、増え続ける高齢者を若年世代で支え切るのは難しいだろう。
だから、ちまちまと子供手当とか、年金支給額とか年齢とか、高速道路の無料化とか、枝葉末節の議論では本当に船が沈んでしまう。

日本人は性質的に、ウォール街のように占拠、暴動という流れにはならないように思うが、少なくともすでに「新社会人」になる世代に厭戦気分が漂っていることは肌身に感じるのである。

「もう、どうせあんまり明るく自由のある制度にはならないのでしょ?」という無言の諦め感がちらちらと見えるのだ。
税制、福祉、社会保障、復興、どれも八方美人的な政策では乗り切れない。
だから今こそ「戦略」が大事。
ビシッとした方針で多くの人がコンセンサスを持たなければ、今の債務超過への道は乗り切れない。
国が破たんしたら、泣くのは自分たちなのである。

すべてに整合性の持てる戦略を立て、またそれを理解できる国民のレベルであらねばならない。
政府批判ばかりではなく、自分たちも冷静に次世代を考えねばならない時期に来ていると思う。
この切迫感も、日本は(やたらデモばかりしている)諸外国よりも、いち早く岐路に立たされているのではないだろうか。

もう衆愚ではいられない。

自動車取得税の廃止検討 民主税調、消費増税と同時
民主党税制調査会藤井裕久会長)は14日、自動車の購入時にかかる自動車取得税都道府県税)を廃止する検討に入った。減税規模は約2000億円。代替財源の確保が難しいため2012年度からの廃止は見送り、消費税率引き上げと同時期に廃止する案を軸に調整する。税制の抜本改革とあわせて議論する課題として、12月にまとめる来年度税制改正大綱に盛り込む。

 現状では自動車の購入時に自動車取得税と消費税、保有段階で自動車重量税自動車税がかかり、それぞれ二重課税との指摘がある。自動車業界や経済産業省は歴史的な円高などを理由に、来年度税制改正で取得税と重量税の廃止を要望。財務、総務両省は2税の合計で9千億円超の税収減に代わる財源の提示を条件としている。

 民主党は09年衆院選マニフェスト政権公約)に「自動車取得税は消費税との二重課税回避の観点から廃止する」と明記。民主党税調では藤井会長が取得税の廃止に積極的な姿勢を示している。ただ、14日の税調役員会では地方財政への影響を懸念する声も出て、代替財源が確保できるのか政策調査会で議論することになった。

 党内では社会保障と税の一体改革で、地方消費税を引き上げるのを条件に、将来の廃止を打ち出す案が浮かんでいる。