色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹 この本を初めて読んだ時私は入院していて、入院中の暇つぶしに母に頼んで買ってきてもらったのだった。その頃体を壊しただけでなく、付き合っていた人と別れたばかりだったので踏んだり蹴ったりだった。踏んだり蹴ったりの私にとって多崎つくるくんの孤独はとても身近だった。このまま彼が幸せにならないで欲しいとひどいことを思って読んだ気がする。それから6年も経って、全然違う精神状態で読んだら多崎つくるくんの孤独はとても悲しく苦しいものだということがやっと理解できた。物語というものは受け取る側の精神状態によって左右されすぎる。心にゆとりを持って読むことが出来れば、…