畫家として成功した上村松園 京都 村上文芽 男子も及ばぬ腕の冴え 當代一流の閨秀畫家といふよりも、古今を通じて双 ならび なき閨秀畫家と稱すべき上村松園女史を産んだ京都の誇 ほこり は、日本の繪畫史上に不滅の光明を放つものと申すべきでせう。繪畫に限らず、凡ての藝術において、その巧妙さを賞せらるる時には、婦人は男子よりも一倍の強みがあります。卽ち、男子ならば普通の程度として顧みられぬ技倆も、婦人であるために賞揚されるのが常ですが、しかし、女史の繪畫はさうでない、男子の畫家に比べてもなほ優つてゐるのです。女性畫(美人畫とはいはぬ)を書くことにおいては到底男子の及ぶところではありません。 もしも人が…