「ただ今わざわざ低い位に置いてみる必要もないようですが、 私は考えていることがございまして、 大学の課程を踏ませようと思うのでございます。 ここ二、三年をまだ元服以前とみなしていてよかろうと存じます。 朝廷の御用の勤まる人間になりますれば 自然に出世はして行くことと存じます。 私は宮中に育ちまして、 世間知らずに御前で教養されたものでございますから、 陛下おみずから師になってくだすったのですが、 やはり刻苦精励を体験いたしませんでしたから、 詩を作りますことにも素養の不足を感じたり、 音楽をいたしますにも音《ね》足らずな気持ちを 痛感したりいたしました。 つまらぬ親にまさった子は自然に任せてお…