訓読 >>> 2235秋田刈る旅の廬(いほ)りに時雨(しぐれ)降り我(わ)が袖(そで)濡れぬ干(ほ)す人なしに 2236玉たすき懸(か)けぬ時なし我(あ)が恋は時雨(しぐれ)し降らば濡れつつも行かむ 2237黄葉(もみちば)を散らす時雨(しぐれ)の降るなへに夜(よ)さへぞ寒き独りし寝(ぬ)れば 2238天(あま)飛ぶや雁(かり)の翼(つばさ)の覆(おほ)ひ羽(ば)のいづく漏(も)りてか霜(しも)の降(ふ)りけむ 要旨 >>> 〈2235〉秋の田を刈るための旅寝の仮小屋に、時雨が降ってきて、着物の袖が濡れてしまった。干してくれる妻もいないのに。 〈2236〉心にかけない時がない、私の恋は。もし時…