「国家エゴイズム」非難の深源 ここで一九八〇年代後半には既に現れていた問題についてふれておこう。 当時、若い活動家たちの「孤立的(ないし個立的)」性向が問題となった。直接的にはこの性向の克服を促すために、黒田は党組織の様々な部面で「般若心経」を読むことを命じた。諳(そら)んじることができるほどに繰り返し読め、というほどの指示も出した。実際に、ある部署では、風呂あがりに鼻歌がわりにそれを唱える指導的メンバーさえいたのである。「般若心経」の宗教的含意そのものは別として、経文の結びをなす「ぎゃーていぎゃーてい、はらぎゃーてい、はらそうぎゃーてい、ぼじそわか」という部分がとくに押し出されていたものであ…