ふつう、食うための手段とか、何かを生み出す活動のように思われている「労働」ということを考えてみた。たとえば、靴を作る、畑を耕す、文章を書く、子どもを教える、木を植える、ロボットを設計する。どれをとっても、「まだ存在しないものを呼び出す」行為といえるので、これに深くかかわっているのは、思考でもなく、感情でもなく、明らかに「意志」だ。どんな労働も、意志が世界に働きかける「小さな創造行為」と言えそうだ。他者との関係でみると、労働の本質を一言でいえば、「奉仕」としか表せない。これはシュタイナー経済思想の核心なのだが、人は自分のためにはほとんど働いていないことを思えば、当然の構造といえる。パン職人は自分…