お題「人生で一度でいいからいってみたい国ってどこですか?」 あの世。 もう一度行ってみたい、と言うと、ずいぶん語弊があるのだけれど、父を亡くしてしばらくしてから、夢を見たことがある。 大きな家の部屋部屋に、亡くなった祖父や祖母や、そのほかの身内らしき人々が何人も居て、父の姿もぼんやりと見えた。 あ、居るな、と思って、私はとても幸せだった。 あと数歩近づけば、もっとはっきりすると思った途端、それが夢であることを自覚し、覚める恐怖――居なくなる恐怖――がぐんぐんと大きくなった。 夢の中で何かにしがみつきながら、引き離されるように目が覚めたときの、孤独感。 けれども最初に得た幸福感、懐かしくて懐かし…