クエンティン・タランティーノ監督による2009年の作品『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)は、第二次世界大戦という人類史上最大の悲劇を、映画という「虚構の力」によって大胆に再構築した野心作だ。 ナチスへの復讐に燃えるアルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)率いるユダヤ系アメリカ人特殊部隊「バスターズ」と、家族を惨殺され復讐の機会を伺うユダヤ人女性ショシャナ(メラニー・ロラン)、そして冷酷な知性を持つナチスの「ユダヤ人ハンター」ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)、これら三者の運命が一本のプロパガンダ映画のプレミア上映会で交錯する。そこには、戦争アクションの枠を…