夕木春央「十戒」読了。ミステリに嵌るきっかけは綾辻行人の「十角館の殺人」だが、それを更に加速してくれたのが本作者の前著である「方舟」だった。大どんでん返しの方舟体験は「未読が人生の損」と断言できる程に強烈だった。 舞台は和歌山県の白浜沖に浮かぶ枝内島。島を所有する大室修造が不慮の事故で亡くなって、遺された島を観光リゾート地にしようと集まった関係者が下見に向かう船上で物語は始まる。 幼い頃に伯父・修造と島を訪れたことがある主人公・大室里英と、里英の父親、開発会社の沢村と綾川、工務店の草下と野村、不動産会社の藤原と小山内、修造の友人・矢野口の九人が登場人物。 無理矢理感に溢れた戒律により脱出不能な…