恵子は、社会の「普通」がわからない。 小さい頃からそうだった。 公園で鳥が死んでいるのをみて、周りの友達は「かわいそう」と泣いた。 恵子は、焼き鳥にして今晩食べようと母に言った。 恵子には不思議だった。 「せっかく死んでるのに」その小鳥をお墓に埋めることが。 死んだ小鳥をかわいそうと言いながら、公園の花をブチブチ殺している友達が。社会の「普通」がわからない恵子は努力した。 家族も恵子が「治る」ことを望んだ。 「普通」がわからないまま恵子は大人になった。恵子は、コンビニ店員という仕事にめぐりあった。 「いらっしゃいませー!」研修のビデオ通りのトーンで声を出す。 今まで誰も具体的に「普通」を教えて…