村田沙耶香作「コンビニ人間」と安藤広大著「とにかく仕組化」、一見あまり関係しないと思われる2冊の本。ですが、「歯車」という共通のキーワードが登場します。 「コンビニ人間」の主人公「恵子」の存在を、この「歯車」というキーワードに基づいて考えます。 1️⃣ システムとしてのコンビニの歯車 恵子は、コンビニという高度にシステム化された職場において完璧に「歯車」として機能しています。彼女はマニュアル通りに振る舞い、指示された通りに動くことで社会との接点を維持しています。ここでの「歯車」とは、個性や感情を排除した従順な存在として、秩序を乱さずに動き続けることを意味します。彼女自身も「普通」の人間ではなく…