米処の従兄が、新米をお贈りくださった。毎年この時期の、至福のご好意だ。 「お魚の尻尾とヒレのまわり、食べらんな~い」 「よしよし、小骨が喉に突き刺さってもいけないから、残しておきなさい。それよりお茶碗のご飯粒を、きれいに食べてしまいなさい。ほら底のほうと縁のあたりに、いく粒かあるだろう」 「余ったのが、こびり付いちゃっただけだよ。これくらい、仕方ないよ」 「駄目だ! ひと粒残らず食べてしまいなさい」 「なんでお魚はよくて、お米は駄目なの。ねえ、なんで?」 「日本人だからだっ!」 子育てというものをついに経験せぬまま老いてしまった私による、あてにならぬ妄想場面である。世のお父上がたには、なんにで…