1918〜85年。ニューヨーク生まれ。
作品には、「マイノリティへの過剰な共感」「物語性よりも、奇妙なテイスト、価値観の変容を重視」「求めても求めても得られない、孤独な個人の間での共同性への指向」「人生の残酷面を直視する一方、過剰な感傷性もあわせもつ」等の、異様な特性を持ち、「SF界のガロ系作家」ともで呼ぶべき、ワン&オンリーの作風である。
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輝く断片 (河出文庫) 作者:シオドア・スタージョン 河出書房新社 Amazon 『輝く断片』シオドア・スタージョン著 大森 望他訳、読了。 8篇の短編が収録されているが、やはり、トリをつとめる表題作が図抜けていい。大御所伊藤典夫の翻訳が、また、いい。なら他の作品がつんまないか。そんなことはない。 ライトノベルのサイコホラー物で物足りない人には、一読をおすすめする。読んでいてひりひりしてしまった。 リュック・ベッソンがプロデュースした映画『つめたく冷えた月』をご存知だろうか。原作がブコウスキーの。といえば、テイストはわかるかもしれないが。ネタバレはご法度なんで、あの映画が好きな人なら、『輝く断…
宇宙からのメッセージ 海辺に流れ着いた壜の中のメッセージはどこかミステリアスな気がする。どのような願いと祈りが込められているのだろう。 孤独な人が瓶のなかに「寂しくて死にたい」というメッセージを入れて海に流した。長い年月の末、たまたま海辺でその瓶を見つけた人がそのメッセージを読んだ。 じつはその瓶を見つけた人も孤独だったので、瓶が流れてきた海の彼方をみつめて「だれが流したのだろう」と思った。 もしこれが地球の海ではなく、宇宙空間だったとしたらどうだろう。 遠い宇宙の果てにも孤独な人がいた。その人も地球人と同じように祈りを込めてメッセージを流した。もちろん宇宙空間なので瓶ではなく小さな円盤にメッ…
【あ】アーモンドの樹(ウォルター・デ・ラ・メア)アイオワ野球連盟(W・P・キンセラ)愛の果ての物語(ルイザ・メイ・オルコット)青い花(レーモン・クノー)赤い高粱(莫言)赤毛のサウスポー(ポール・R・ロスワイラー)悪魔なんかこわくない(マンリー・ウェイド・ウェルマン)悪魔に食われろ青尾蠅(ジョン・フランクリン・バーディン)悪魔の収穫祭(トマス・トライオン)悪魔のベッド(ジャン・レイ)悪魔はぼくのペット(ゼナ・ヘンダースン)悪夢の化身アシスタント(バーナード・マラマッド)明日に別れの接吻を(ホレス・マッコイ)熱い太陽、深海魚(ミシェル・ジュリ)あっぱれクライトン(J・M・バリー)あなたはタバコがや…
自分への備忘録 ローカス誌で出してるオールタイム・ベスト短編を選出作品の多い作家ごとにまとめて、さらに各カテゴリでtop100に入ってるものをまとめる。 ■アイザック・アシモフ 夜来たる バイセンテニアル・マン 最後の質問 火星人の方法 ロビイ ファウンデーション(1942) うそつき 停滞空間 夢みるロボット 迷子のロボット 人間培養中 プロフェッション ■ロバート・A・ハインライン 輪廻の蛇 月を売った男 時の門 地球の緑の丘 ジョナサンホーグ氏の不愉快な職業 大宇宙 歪んだ家 道路をとめるな 鎮魂歌 Solution Unsatisfactory 大当りの年 地球の脅威 深淵 果てしなき…
毎度毎度の遅ればせですみませんが、先日、予定されていた仕事が土曜夜に急遽キャンセルになり、これ幸いと日曜のSFカーニバルに行ってきました。トークショーも観覧したので、雑駁ではありますが感想レポートをまとめてみます。
最近読んだやつを適当に並べていく。読んだの自体はあんま最近じゃないのもあるけどそこはご愛敬。 読んだ言うてるので文字媒体メインで。 うっすらバレありなのでここで畳んでおく。 小説 ・桐島、部活やめるってよ ・誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選 漫画 ・娘の友達 ・寿エンパイア ・僕と君の大切な話 ・ちはやふる ・死神ドットコム ・最果てのソルテ ネット記事 第10回:禁止制限改定と『神河:輝ける世界』のもたらした世界 【遊戯王VRAINS考察】遊作サイドの伏線の話【ネタバレ】
今年も森下一仁さんのSFガイド「ベストSF2021」に参加しました。 nukunuku.michikusa.jp 投票はこんな感じ。 『時の他に敵なし』マイクル・ビショップ 1.5点 『三体Ⅲ 死神永生〈上・下〉』 劉慈欣 1.5点 『人之彼岸【ひとのひがん】』郝景芳 0.667点 『移動迷宮』大恵 和実編訳 0.667点 『ポストコロナのSF 』日本SF作家クラブ編 0.667点で、今回は過去の投票結果も振り返ってみることに。 投票方式をいちおう説明しておくと、各投票者が5点持っていて、5作品まで推薦可(1作でも可)。もちろん自由参加。 1996年から開始で、97年から参加していたんですね。…
Tiger Rag(1973)Kit Reed(a.k.a. Kit Craig, Shelley Hyde) キット・リードはフェミニストSF作家で、過去三度アザーワイズ賞(旧ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞)の候補になっています。 短編に秀でたタイプ(※)とのことですが、我が国で刊行されている書籍二冊はいずれも長編小説です。 そのうちの一冊『ドロシアの虎』(写真)は、サンリオSF文庫から刊行され、当時は「これがSFか!」と驚く人が少なからずいました。 SFをScience Fictionとするなら完全にジャンル外の作品ですが、Speculative Fictionであれば許容範囲です。…
はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」 叔父に(3年ほど前に)お勧めされたSF小説リストが読み終わったので、特別お題に合わせて振り返ろうかと。ネタバレ込みの感想になるので、未読の方は悪しからず。 特に面白かった10冊 1.BEATLESS 長谷敏司 2.老人と宇宙 ジョン・スコルジー 3.エンダーの冒険 オースン・スコット・カード 4.All You Need Is Kill 桜坂洋 5.夏への扉 ロバート・A・ハインライン 6.たんぽぽ娘 ロバート・F・ヤング 7.南極点のピアピア動画 野尻抱介 8.know 野崎まど 9.ガニメデの優しい巨人 ジェイムズ・P・ホーガン 10.人間…
収録された10編中、ほかの書籍に収録されている作品は6つ。1「猫の王さま」、このDHCはサプリメントのDHCで間違いないようです。これは意外な事実でした。さまざまな文献を調べていると、こういう面白い情報にも巡り会えます。3「手押し車になった少年」、生徒の男子を罰で手押し車に変えてしまった先生。しかし許してあげても、手押し車から元の姿に戻らず……。まったくホラーではないのですが、妙な読後感を残す作品です。7『ヘンリー・マーティンデールと大きな犬』、目覚めると犬に姿を変えていた男とその妻のあいだに広がる困惑。こちらもホラーというよりはユーモア小説。最後に余韻を残します。谷川晃一さんによる装丁が1巻…
この夏、7、8月に読んだ本。BTSを好きになってから近現代史への関心が強くなったのでそういう関連の本が多かった。日本の夏は戦争を意識する季節でもあって毎年のように勉強しなきゃな…と思いながら、正直辛くて気が滅入ってしまうからという理由で避けてきたところがあったけど、読んでみるとものすごく興味深かった。今後も引き続き読み進めたいテーマ。
7/9(金)好きな詩人、高見順の詩を読んでいたら辛くなってしまった。詩集、買おうかな。 蹴らないでくれ 眠らせてほしい もうここで ただひたすら 眠らせてくれ(高見順『小石』) 死ぬことができず、積極的に生きることもできない。そういう人間は掃いて捨てるほどいるだろう。私も例に漏れず、その一人なんだ。 強くなったと勘違いしている人間が嫌いだ。他人に強くなれと強いる人間が嫌いだ。 まだ誰かと関わろうとしている自分が嫌いだ。 窒息しそうだ。 矛盾だらけだ。 失敗ばかりだ。 自分にさえも期待しない。できない。 瓦解していく。 飽和していく。 静かな、静かな場所にいきたい。 7/10(土)「時だけが救ひ…
6/18(金)斜線堂有紀『恋に至る病』(メディアワークス文庫)読了。「でもね、淘汰かどうかはそもそも問題じゃないんだよ。人間は多様性で進化してきた生き物なんだ。そんな生物が理由をつけて淘汰される仕組みなんかそもそも作るべきじゃないんだから。誰が生きるべきで誰が死ぬべきかを選別すべきじゃない。誰かを選ぶくらいならいっそのこと人間なんか絶滅すればいいんだ」(本文より抜粋) ジョージ・オーウェル『一九八四年』(ハヤカワepi文庫)、ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』(ハヤカワ文庫SF)を買った。両方とも気になっていたから買えてよかった。 6/19(土)救うというのは、絶対善なのだろうか。 6/…
エラリー・クイーン の『盤面の敵』(1963)を再読した。これは『災厄の町』以降のクイーン作品群において、特筆すべき地位をもつ作品と思われる。その「特筆すべき地位」をここでは、本作のネタを割りつつ示していきたい(訳及びページ数はハヤカワミステリ文庫の青田勝訳による)。また注において『十日間の不思議』、『ダブル・ダブル』、『悪の起源』のモチーフにも触れる。 なお現在ではよく知られるようになった通り、本作はダネイのプロットを直接リーが書き起こしたものではなく、一度シオドア・スタージョンがそのプロットから執筆したものである*1。このハウス・ネームのようになった時期の「エラリー・クイーン」をそれまでの…
怪奇映画からホラーへ アメリカ マーク・ロブソン監督 79分 1761年のロンドン、セント・メリー精神病院、その病院長シムズは患者を残虐に扱い、笑いものにしていた。患者を見世物にして、全身に金箔を塗って窒息死させる。 モーティマ卿の話し相手だった若い女性ネルはそんなシムズの非道さを嫌っていた。ネルがモーティマ卿と決別すると、シムズは策略で彼女を精神病院に入れてしまう。 病院内は暗く、不潔で獣じみた叫び声がする。あれほど患者たちに同情していたネルはシムズと同じように患者は汚くて野蛮だと思う。でもネルは自分の間違いに気づき、患者たちと打ち解けてゆく。シムズは患者以上に精神を病んでいた。 ネルが精神…