作家。 1945年7月1日、生まれ。2015年5月17日、死去。 慶応義塾大学卒業。 「万蔵の場合」で第86回芥川賞候補に。「鹽壺の匙」で第6回三島由紀夫賞並びに第43回芸術選奨新人賞(平成4年)受賞。「漂流物」で第25回平林たい子文学賞(平成8年)受賞、同作は第113回芥川賞候補にも。「武蔵丸」で第27回川端康成文学賞(平成13年)受賞。「赤目四十八瀧心中未遂」で第119回直木賞受賞。
車谷長吉という小説家に興味を覚えたのは2015年、彼が亡くなったときのことである。死亡記事のなかで、彼が朝日新聞の人生相談「悩みのるつぼ」で出した答えが紹介されていて、それがちょっと普通ではなく、この人はおもしろい人だなと思った。同時に、恐ろしい人だとも思った。その相談は高校の教師をしている男性からで、教え子の生徒が好きになってしまったけれど、どうしたらよいのかという相談であり、車谷長吉は「好きになった女生徒と出来てしまえばよい」と返したというのである。この人、人生に対して並々ならぬ覚悟を持っているらしい、でなけりゃこんなこと言えない。どういう理屈でこんなふうに言えるのかと朝日文庫『車谷長吉の…
もう私小説は打ち止めにしようと思っていたのだが、2021年に中公文庫から出た車谷長吉のアンソロジーを読んでしまった。 といっても『抜髪』と『漂流物』は以前読んだので、それ以外の収録作品『変』、『狂』、『武蔵丸』などを読んだ。面白かった。 巻末エッセイとして妻の高橋順子(詩人)の文章もあって、これもいい。 具体的な経緯はまったく知らないが、車谷は私小説で書いたことで名誉棄損で訴えられ、「私小説廃業宣言」をしたらしい。 西村賢太は、車谷について、 私小説書きの中には自らにさしたる傷もない余り、親戚の自殺(は、こちらにも経験があるが)をさも自身の苦悩事のごとく、田舎者根性丸出しの深刻ぶった文章で書き…
初詣ってどうやってやるんですか? 学校で習いました? ここでニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』を朗読すればいいんでしたっけ? 或いは、ここでピストルズの『God Save The Queen』を熱唱すればいいんですかね。 この神聖な水で手を洗えばCOVID‑19は死にますか? 車谷長吉さんはこの辺りで生まれ育ったそうです。 死んだ俺の父は車谷長吉さんと同じ高校(オナ高)出身です。 母も車谷長吉さんと同じ高校(オナ高)出身です。 俺も車谷長吉さんと同じ高校(オナ高)出身です。 しかし父も母も俺も慶應へは行っていません。 学のない、その辺の阿呆です。 期間工と肉体労働の日々です。 信濃や十…
今週のお題「本棚の中身」 久々に見る本棚はひどかった 電子書籍派な私の本棚 ここ5〜6年、本はほとんど電子書籍で買っている。特に小説に関しては、AmazonのKindle購入一択だ。今さら説明不要だが、電子ブックリーダー・Kindle paperwhiteが、小説を読むにあたり本当に優秀なためである。 ちなみにさっそく脱線すると、最近Kindleで買った小説でダントツに良かったのは、町田康の「告白」だ。 ゴールデンウィークに読んでいました 「告白」を読んだきっかけは、3年前に朝日新聞社が行った「識者120人が選んだ平成の30冊」という企画の記事を、今さら読んだことだった。 そこで3位にランクイ…
第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) 作者:又吉 直樹 幻冬舎 Amazon ピース又吉といえば、芸人で初めて芥川賞を受賞した作家だ。又吉直樹が芥川賞を受賞した時はちょうど本屋で働いていたのだけれど、『火花』の売り上げは本当に凄かった。在庫がなくて入荷まちのこともしばしばあった。 『火花』以外にも、小説でいえば『劇場』とかが面白い。小説以外にも又吉直樹はエッセイを書いている。 僕が特に好きなのは『第二図書係補佐』だ。作家だけではなく、読書家としても知られている又吉直樹が小説を紹介したブックガイドのような本だ。本の紹介とその本にまつわる又吉のエッセイが書かれていて、そのエッセイがすこぶる面白い…
…家庭の方では、ハロスクール、の時に、無断で私の本名、仕事歴、外見、精神病をコンテンツとして扱い親が大儲けしていた。リストカットの事は書かれていなかった。このころ、初めて精神科に行った、家庭環境を聞かれると直ぐに児童相談所に連絡しますと言われた、私はそんなことされたら殺されると思い、泣きながらやめてくれと懇願し、サインバルタをもらって…(後略) いま、この記事は「読み返してみると、文章があまり良くない」を理由に非公開になっているので、ブクマを記しておこうhttps://b.hatena.ne.jp/entry/s/norokoro.hatenablog.com/entry/2021/07/09…
いつだって同じことばっか書いて飽きてる。飽きた。俺だけじゃなく、皆が。 24.最後尾もしくは壁際から愛を 25.尼崎日記 26.甥っ子と謎生物とカナヘビの話 27.Syrup16gの歌詞から曲名当てクイズと言葉 28.THE BACK HORN『赤眼の路上』より「インポの路上」について 29.今いる世界にさよなら、できない 30.マルチ商法はいいし高額商品もいいが霊能力者はよくない 31.俺が暗い 32.血中濃度格差社会. 33.ラムネの瓶に沈んだビー玉をどう捉えるか 34.『千歳くんはラムネ瓶のなか』で学ぶ脱オタファッション論 35.「麻枝准がSyrup16gを好きなのはよく知られているが」…
数日前の記事に書いた中尾拓哉『マルセル・デュシャンとチェス』を借りてみた。四次元についての章では、二十世紀初頭の〈四次元ブーム〉とキュビズムの関連のようなことが書かれていて、「思考の新紀元」を書いたC.H.ヒントンや四次元立方体の図を描いたクロード・ブラグドンの名前はあったが、四次元のアナロジー論を突き詰めた「Tirtium Organum」の著者P.D.ウスペンスキーについての言及はなし。 西村賢太が日記の中で「快作」と言及していたので、小谷野敦『東海道五十一駅』という小説集も借りる。表題作は不安神経症、自律神経失調症、パニック症候群、アカハラ、パワハラ、セクハラについての小説で、同じ私小説…
04/21(木) 耳栓装着。 小用に1度起きただけで熟睡したと言えよう。 05:10起床。 「栗どら」2分の1を食す + コーヒー、 高橋邪宗門上=50分10頁(-p282)。 立って、 五木廣松哲何で=31分14頁(-p198)。 高橋邪宗門上=53分10頁(-p292)。 立って、 城塚社思史=33分5頁(-p86)。 S市役所地下食堂(15。特別ランチ(サラダ焼肉丼)\650)。 ************************************ 「阿武隈書房」S店( 下記の4点を持ち込んだが、目利き出来る人がいなかったので ブツを預けて、私は引き揚げた。 下記の金額は購入価(税…
1998年の日本 平成日本の歴史21世紀 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 1998年の日本 2千年紀 19世紀 - 20世紀 - 21世紀 1980年代 - 1990年代 - 2000年代 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年1998年1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 日本の国旗 (1870年-1999年) 1998年の日本の話題 歴史 - 年表 文化と芸術 映画 - ラジオ - テレビ スポーツ 相撲 - 競馬 市町村合併 1990年-2002年の市町村合併 ■ヘルプ 1998年の日本(1998ねんのにほん)では…
予定は狂うもの! 失敗はするもの! 期待はハズれるもの! 道には迷うもの! 体調なんて悪いもの! 部屋は片付かないもの! 仕事なんておもしろくないもの! お金はないもの! 正気は失うもの! 対人関係(家族や友人やその他)はうまくいかないもの! 何事も思い通りになんかならないもの! たいていのうまくいかないことは間違った思い込みや勘違いによるものね! うまくいかないことに、いちいちがっかりしたり、腹を立てたりしない! 前提を間違えるから、こじらせる! 問の立て方を間違えるから、こじらせる! 「人生なんて救いもなければ秘訣もない、粛々と不運を生きるのみ」 by車谷長吉 「受け入れる」「求めない」……
人生を有意義に無理矢理充実させようとするからしんどくなる……、とりあえずやり過ごしていけばだいたいOKね(^o^) 平穏なんか望んでも、アクシデントとトラブルばかりがあたりまえ(^_^;) 私たちが望むことの大半はないものねだりだし、幻想ね。 幻想を求めると幻滅しますわな(^_^;) 生きるというのは幻滅(脱錯覚)とそれを受け入れることの連続ね。 自我は打ち砕かれるもの。 生きていくってのは、いわゆる「ケ」という現実を淡々と……なんだな。 都合の良いいいことなんて……ないよ(^_^;) え? 虚しい? まぁ、そんなものですよ(^_^;) 寂しい? そういうものですよ(^_^;) つまらん? そ…
西村賢太の訃報のことで、氏に先立つこと七年前に物故された車谷長吉のことも思い起こされた。 ともに平成の世に私小説のあり方を問うた異形の作家であったわけだが、一方で両者の作風はかなり異なってもいると思う。ある意味でド直球に破滅型私小説に殉じた西村に比べると(別にこれは脚色・虚飾がないと言っているわけではなく表現の傾向の話として)、車谷にはナイーブな文学青年としての苦悩が見られるのではないだろうか。どこまでも生な表現に降りていこうとはするものの、詩的なものへの憧憬やインテリ臭を拭い去れないことへの葛藤は、特に、実家に出戻った自身を叱責する母親の口を借りて痛切なまでに自己批判した短編『抜髪』において…
薮下通りに戻り、進む。 方角的にはどこかで右折することになるが、期待していた案内表示はない。 多分このあたりかと勘で入ったのが下図の解剖坂。 少しのぼりとなる。日本医大の建物が多い明るい高台。 突き当たって右側すぐにあった。 祝日のせいか散歩中の父と幼い息子がいて、父が「塀の上を見てごらん」と言っている。それを耳にして私も見た。 おや、面白い。ちょっと太りすぎの感じもするが。 このあたりで「吾輩は猫である」が書かれたかと思うと感慨深い。 車谷長吉さんは晩婚・初婚同士で結婚した高橋順子さん(詩人)から出身の東大近辺に住みたいとおねだりされて駒込千駄木町に家を求めたと書いている。 確かに千駄木は高…
昨日、日差し強く昼間暖かい。これで本当に明日(つまり今日)雪が降るのかと怪しんだが、今朝起きたらちゃんと雪だ。思うこと多く、なせること少なし64歳。そういえば、ビートルズに「64歳になったら」という歌がありました。 いま、NHKFMではフランシス・レイの「白い恋人たち」がかかっております。冬はやっぱりこれですよ。昨日遅く、「サンデー」の原稿を送る。フジモトマサルさんの作品集など。来週あたまに「四月と十月」の「彫刻」原稿締め切り。川越の太田道灌像か、羽村の玉川兄弟像か、いま悩んでいます。 「本の雑誌」3月号着。「憧れの住む東京へ」連載掲載の最終号。ずっと毎月、届いていたので、これで終わりかと思う…
躁鬱奇想天外! 2022-02-07 06:01:05 短文コメントなのでコメント欄で返信してくださってもよかったんですけど、わざわざエントリーまで書いてくださってありがとうございます。 西村さんはたしか芥川賞受賞後に笑っていいともに出てたんですけどそこで「受賞前から年収は500万くらいあった」と言ってたのをおぼえててなんか実はそこまで苦労人か?というと受賞前から一応肉体労働はやめてて文章書くだけで飯は食えてたみたいなんですよね。 そっちでいうと高橋源一郎は30まで肉体労働とか風俗のボーイをやってたり、村上春樹も30まで飲食店を経営してましたけどそこまではがっつり肉体労働はやってなかったみたい…
数多くの有名人の「晩年」を扱い、その生涯を紹介した書物である関川夏央『人間晩年図巻 2008-11年3月11日』を読んでいる。だからなのか、このタイミングで出くわした西村賢太の死に衝撃を受けた。とはいえ、私は彼の露悪的なところが苦手だったので随筆と日記を少し読んだだけで終わっていた。信頼できる読者である知人が車谷長吉と並ぶ存在として称賛していたので、『苦役列車』を読んでみようかと思う。彼の日記を読む限りでは、藤澤清造の小説を始めとする文学に対する真摯さを持っていた、いい意味で反時代的な書き手だったと思う。車谷長吉が亡くなった時のことを思い出した。姫路の書店でふと「追悼」と称されて彼の作品が並べ…