その名は知ってはいたものの、ジャクリーヌ・デュ・プレを一度も聴いたことがなかった。たまたま漂っていたWeb上で遭遇したので聴いてみることに。サン=サーンスは他の演奏家によるものを聴いてはいたけれども、もう一方のディーリアスは寡聞にして存ぜず。真っさらな頭で聴いてみると、実に耳にすっと入ってくる演奏と作品の流れ。初めて聴く作品を素直に受けいれられるか否かは、それを演奏する者の腕に左右されるものだと思ってはいたけれども、それが如実な形で現れた。それは「音がつかめる状態」と言い換えることも出来そうな、自分なりの作品解釈の方法なのだけれども、デュ・プレは作品に込められた楽譜の意図を非常につかみ取りやす…