日本で1番翻訳されている韓国作家なのでは?というチョン・セランの掌編小説集。 チョン・セランらしく、バラエティに富んでいて、未知との遭遇SFもあれば、新人作家とベテラン作家の「文壇」を感じるもの、現代アートをテーマに書いたまさに現代アートっぽい作品等々、19篇の掌編と2つの詩が収録されている。 そんな中で、心に残ったのは、恋愛小説を書きませんか?と提案された小説家の話と、本屋で遭難した読書好きの読書サバイバル話の2つ。 アラの小説 1 この世界が稀に悪い人間と、そこそこいい人たちであふれていると信じていた頃は、思いっきり恋に溺れる話を書くことができた。甘すぎて困ってしまうくらいの物語を。アラは…