John von Neumann (1903年〜1957年)
もの凄く頭がよかった科学者。ないしは、人間のフリした悪魔。業績多数。多くの先端分野に首を突っ込んでは、未整備の理論体系をきれいに再構築するのが得意だった。
生物のように自分と同じものを作りだすことが機械にも可能か、という問題を彼は考えた。実際の機械で考えるのは技術的に困難だったので、彼はセルオートマトンという数学的モデルを構築し、そこでこの問題を考えた。その結果、機械が自分自身の設計図を持っていて、その設計図を元にもう一台の機械を作り、設計図をコピーしてその機械にも持たせる、ということでこれが可能であると証明した*1。
ちなみにこれはDNAが発見されるより前の話である。この自己増殖する機械をうまく使えば、倍々に増殖する惑星開発機械を作って短時間のうちに大きな惑星を人が住める環境に改造できる、というアイディアがSFでよく使われる。
二人のプレイヤーが行うゲームについて、ブラフや譲歩などの両者の駆け引きを数式により定式化した理論をノイマンは作った。両者の損得が±0のゼロサムゲームと呼ばれる場合には「ミニマックス」と呼ばれる戦略を取ればいいことを示した。
アイデアとしては提案されていた爆縮型原爆は、火薬からの衝撃波が球状にそろわないために開発が難航していた。ノイマンは爆轟速度が速い火薬と遅い火薬を組み合わせる爆縮レンズの数値計算を行ってプルトニウム原爆の完成に多大な貢献を行った。これが長崎に投下された。
ノイマンは他の科学者と違い、どんな軍事研究も嬉々として取り組み後悔がなかったという。いろいろな意味で常人の粋を逸脱していたらしい。
ノイマンはナチスドイツが勢力を拡大する時期にユダヤ系ドイツ人数学者ゲーデルをプリンストン大学に招いた。
ゲーデルの不完全性定理が言わんとしていることをゲーデルに続いて理解したのはノイマンだったと言われている。彼はゲーデルの第一不完全性定理を理解した後により重要な第二不完全性定理を証明したが、ゲーデルのほうが一足早かった。
CPU、メモリー、周辺機器がバスを使って接続され、同一のメモリー空間にプログラムとデータが格納される形式のコンピュータ。データとプログラムが異なるメモリー空間に配置され、異なるバスを使ってアクセスされる形式のコンピューターはハーバード型と呼ばれる。
ノイマン型コンピュータの確立にどれほどノイマンがかかわったのかについては諸説ある。だが小さなアイデア群を高い視点からまとめ上げて見通しのよいアーキテクチャーを据えたのはノイマンの業績といっていい。
頭のよさがあまりに怪物的だったので伝説や冗談も多い
あまりに頭がいいため、常人の意識が理解できず憎まれることもあった*4。が、人となりはやわらかく、好人物だったとも言われる。
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