きのひです。 「雲上雲下(うんじょううんげ)」 朝井 まかて 著 を読みました。 2018年2月28日 初刷 「わしは、枯れることのできぬ草である」 「幾千もの葉は常世(とこよ)の緑を保ちながら花を咲かせず、種を吐かず、実もつけぬ」 「ゆえに誰も、有難(ありがた)がらぬ」 そんな「わし」の午睡(ごすい)を邪魔立てする者があらわれました。 黄色のかたまりが根許をぐるぐると駆け回り、鼻面を近づけては嗅(か)ぎ、「くん」と鼻を鳴らす。 子狐(こぎつね)でした。 細い頤(おとがい)を上げ、こちらを見上げます。「草どん」 「語ってくれろ」 「何をだ」 「おっ母(か)さんが毎晩、してくれるお話」 草どんは…