南アルプスの山並みを正面に見るあぜ道だった。平野ではないが畑が広がっていた。夏にはトウモロコシ畑だったが、今は何もない。冬なのだ。肥沃な土地たちも、今は休みといったところだろう。 あぜ道はゆっくりと下がる。馬頭観音があるが、イヌはいつもそこで片足を上げる。 「ダメダメ、そこは。神様だからね」そう言ってリードを引っ張る。春にはタケノコがたくさん顔を出すのだったが、今はその片鱗も見えない。楢の木の根元でようやく彼は放尿した。よく我慢したなと頭をなでる。 みちみち家内はしゃがんでいる。「こんなにたくさん落ちている」そう聞こえた。 松ぼっくりだった。あれ、夏は梅の実がたくさん落ちていたけれど。そう言い…