日本の大河といえば、信濃川、石狩川、そして関東地方を流れる「利根川」が挙げられます。特に利根川は、日本で2番目に長い河川(全長322km)として、古くから関東の人々の暮らしと深く結びついてきました。その悠久の流れは、自然環境、農業、交通、治水、文化と、さまざまな面で日本の発展を支えてきたのです。 1.利根川の起源と流路の変遷 現在の利根川は群馬県の大水上山(だいみなかみやま)を源とし、群馬、埼玉、茨城、千葉などを経て太平洋に注いでいます。しかし、かつて利根川の流路は今とは大きく異なっていました。古代から中世にかけては、利根川は東京都の江戸湾(現在の東京湾)へ注いでいたとされています。しかし、江…