なかにし礼『長崎ぶらぶら節』 今日は読書の話題です。読んだ本2冊について。 1冊目は、なかにし礼の『長崎ぶらぶら節』。2000年の直木賞受賞作品なので、もう25年ほど前に書かれた小説だ。最近になって初めて読んだ。 長崎の芸者愛八を主人公として描いた小説で、彼女の子ども時代の明治16年から始まる。愛八は海辺の村から長崎は丸山の芸者置屋に十歳で奉公に出る。器量はよくないが、稽古ごとに精を出し、芸の力で名妓の一人に数えられるようになる。 話は序盤の第三章から、愛八が五十に近くなった大正時代後半に移る。町でふとしたきっかけで見知った古賀十二郎という学者に惹かれた愛八は、古賀とともに埋もれている長崎の古…