訓読 >>> 2504解(と)き衣(きぬ)の恋ひ乱れつつ浮真砂(うきまなご)生きても吾(われ)はありわたるかも 2505梓弓(あづさゆみ)引きて許さずあらませばかかる恋には逢はざらましを 要旨 >>> 〈2504〉ほどいた着物のように恋に乱れて、私は、水に流れる細かな浮き砂のように、ただふわふわと息をしながら生きているだけです。 〈2505〉梓弓を引きしぼって緩めないように、気持ちを緩めずにいたなら、こんなつらい恋には出逢わなかっただろうに。 鑑賞 >>> 『柿本人麻呂歌集』から「寄物陳思(物に寄せて思いを述べた歌)」2首。2504の「解き衣」は、解きほぐした衣。「解き衣の」は、糸を抜いて解い…