訓読 >>> 2670まそ鏡(かがみ)清き月夜(つくよ)のゆつりなば思ひは止(や)まず恋こそまさめ 2671今夜(こよひ)の有明月夜(ありあけつくよ)ありつつも君を置きては待つ人もなし 2672この山の嶺(みね)に近しと吾(わ)が見つる月の空なる恋もするかも 2673ぬばたまの夜(よ)渡る月のゆつりなば更(さら)にや妹(いも)に吾(あ)が恋ひ居(を)らむ 要旨 >>> 〈2670〉清らかな月夜が移っていってしまえば、あなたへの思いはやまず、いっそう恋しさがつのるでしょう。 〈2671〉今夜の有明の月夜のように、あり続けて夜通し待つ人は、あなたをおいて他におりません。 〈2672〉この山の嶺に近…