訓読 >>> 4310秋されば霧(きり)立ちわたる天の川 石並(いしなみ)置かば継(つ)ぎて見むかも 4311秋風に今か今かと紐(ひも)解きてうら待ち居(を)るに月かたぶきぬ 4312秋草(あきくさ)に置く白露(しらつゆ)の飽(あ)かずのみ相(あひ)見るものを月をし待たむ 4313青波(あをなみ)に袖(そで)さへ濡(ぬ)れて漕(こ)ぐ舟のかし振るほとにさ夜更(よふ)けなむか 要旨 >>> 〈4310〉秋になると霧が一面に立ちこめる天の川、ここに飛び石を並べれば、毎夜続けて逢えるのに。 〈4311〉秋風に吹かれながら、今か今かと着物の紐を解いて心待ちしているうちに、月が傾いてきた。 〈4312〉…