12月28日 二軒となりの家がこの秋に取り壊されて更地になり、風景がすっかり変わる。広くて白い地面には早くも草が生え、花が咲いている。売土地の看板がしばらく出ていたが、ある日なくなったので、売れたのだろうか。築60年ぐらいだっただろう、敷地をゆったり使って、垣根があり、庭があり、かえでや松などの木のある平屋建てだった。何よりも平屋なのがゆたかな感じがした。玄関までの石段にいつも花を絶やさない家だった。小柄で礼儀正しい早起きの婦人と、朝のゴミ出しのときによく顔を合わせた。花を褒めると、待ってましたとばかり育てる苦労や咲かす楽しみの話が始まるのだった。溝の掃除、しなくちゃと思う矢先に、いつも彼女が…