人形館の殺人 新装改訂版 “人形たちが見つめる館”で起こる、連続殺人と過去の因縁——。日常と非日常が交錯する恐怖が、静かに始まる。 綾辻行人の『館シリーズ』第4作にあたる『人形館の殺人』は、これまでの「孤島」や「山奥」など隔絶された空間を舞台にしてきた前作とは異なり、京都という日常に近い都市を舞台とした異色の作品です。 しかし、その“普通さ”が逆に、物語全体に不気味な緊張感を漂わせています。 主人公・飛龍想一(ひりゅうそういち)は、育ての母である叔母とともに、亡き父・飛龍高洋が遺した屋敷「緑影荘」へと引っ越します。 そこは地元では“人形館”と呼ばれ、至るところに部品の欠けたマネキンが配置されて…