ルネサンス期における、ギリシャ・ローマ・ヘブライの古典的教養を通して人間形成をはかる立場。ここから人間肯定の思想、教会を中心とした世界観から解き放たれた新しい普遍的人間像が生じた。イタリアのペトラルカ、フィチーノ、フランスのビュディ、オランダのエラスムス、ドイツのメランヒトン、イギリスのトマス=モアなどが代表者。ヒューマニズム。ユマニスム。フマニスムス。人本主義。
三省堂提供「大辞林 第二版」より
ユルゲン・トラバント『人文主義の言語思想:フンボルトの伝統』岩波書店 (2020年) を読む。 導入部分から40ページほど読む。 15世紀の人文主義者ヴァッラは、音声は自然によって与えられたものであるが、言葉の意味は人間による恣意的なものであるという考え方を示した。 物には名前がつけられている。 アリストテレス的な伝統において、言葉の意味はその「対象=名称」の二項関係においてのみ人為的なものであるという捉え方であったとされる。 音声は自然が与えたものであるが、物の名称としての「言葉」は人間が設定したという考え方である。 本書は認識と言語について、フンボルトが行った研究を考察していく本となってい…
基本自分が何か気になった時のための覚え書きなんだけど、「3日坊主RTAかよ」みたいになってても何なので。以前から好きな作家さんから。 Nir Hod(ニール・ホッド) 1970〜 イスラエル ニューヨークとイスラエルを軸に活動。 ホームページ http://www.nirhod.com/ 燃えている花の絵は、個人的にBUCK-TICKの大名曲『FLAME』のイメージピクチャ。いや何勝手に決めてんだって感じだけど、初めて見たときに「FLAMEだ……」てなったというか、あのアウトロが聴こえた気がしたので。 FLAMEBUCK-TICKロック¥255provided courtesy of iTun…
原題は「A MAN FOR ALL SEASONS」(どんな状況でも頼りになる人間) 「ユートピア」の著作で知られるイングランドの大法官(官職)、法律家 人文主義者のトマス・モアが反逆罪で処刑されるまでの物語 8年ほど前に鑑賞してレビューしているんですけど(笑) この8年間、ヘンリー8世やキャサリン・オブ・アラゴン ブーリン家の姉妹をテーマにした映画を見てきたおかげで 初見より理解できたような気がします ことの次第は 1501年兄アーサーが急死 1509年父ヘンリー7世崩御、ヘンリー8世が即位 兄弟の妻と結婚することは教会法上禁止されていましたが スペイン(カスティーリャ=アラゴン連合)の関係…
「ひと-もよう学」草稿●人間は動物的な「もよう」を殆ど帯びずに生まれ出る。それが自然においてどのような生存へと結びつくか。道具を使用し、表象することにより植物を育て、動物をてなずける、あるいは他の人間と強調したり、敵対することにつながってきたのだと思う。ある種の「パターン認識」が、生の持続にいかに作用してきたのか。「ひと‐もよう学(人文学)」のテーマはこの生の持続性に在る。 ■言語のはたらきとはなにか。「ひろがり」または「つながり」について ことばは指し示すものであり、時間的・空間的なひろがりを現わすものである。 人間が道具を使用し、共同で働くようになってから、ことばはより多義的に、スキーマと…
『霊界物語の“竜”と“爬虫類人”』 邪神=レプティリアンの地球支配と改造の経綸書 (狭依彦) (徳間書店) 2008/5/17 < {アイク}エデンの園―「竜の子孫たち」=レプティリアン混血種の誕生地> ・アイクはエデンの園について次のように言っている。 「イラン」という名は「エアリ・アナ」からきており、「アーリア人の地」というのがその原義である。現在でも、クルディスタンに住む人々は、はっきりと二つの人種にわかれている。一方は、オリーブ色の肌、中ぐらいの背丈、黒や茶色の瞳をしており、もう一方はずっと長身で白い肌に青い目をしている。後者の身体的特徴はナチスの提唱した「支配種」のそれと完全に一致し…
会期 …2022年2月9日~5月30日 会場 …国立新美術館 構成 Ⅰ 信仰とルネサンス:17点Ⅱ 絶対主義と啓蒙主義の時代:30点Ⅲ 革命と人々のための芸術:18点 感想 …この展覧会はアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館の改修工事に伴うもので、メトロポリタン美術館の所蔵する2,500点余りのヨーロッパ絵画部門のコレクションから65点が来日、そのうち46点は日本初公開となっています。メトロポリタン美術館の開館は1872年2月ですからちょうど150周年を迎えたんですね。出品作を見ると、いずれ劣らぬ巨匠の名がいくつも見当たり、「さすがメット」と言うべき豪華なラインナップとなっています。……
目次 1 はじめに 2 小説『ペンギン・ハイウェイ』の特徴 (1)リアリティの獲得 ア 自然科学の実証研究方法論 イ 「死」という謎 ウ 小まとめ (2)フィクションと径庭なき自然科学=現実 (3)まとめ 3 小説からアニメ映画へ―エウレカ― 4 おわりに 1 はじめに 本稿は映画『ペンギン・ハイウェイ』[1]の評註である。 そして、この批評の目的は、映画『ペンギン・ハイウェイ』の特性を明らかにすることにある。 そして、この映画には原作小説があり、ストーリー上において原作からの大きな変更はないため、まずは原作小説の持つ特性について検討を加える。映画『ペンギン・ハイウェイ』の原作は森見登美彦の…
【シリーズ=教養の饗応】(4/28配信第23号) 今は、二十四節気の「穀雨(=こくう)」(4/20-5/4)です。 七十二候では、「霜止出苗(しもやんでなえいづる)」です。 昨日4月27日は、「大安(たいあん)」です。 本日4月28日は、「赤口(しゃっこう)」です。 明日4月29日は、「先勝(せんしょう)」です。 また、4月の陰暦四月の異名は「卯月(うづき)」です。 英語では「April」フランス語では「avril(アヴリル)」です。 中国語では『四月』と書いて『スーユエ』と発音します。 韓国語では『사월』と書いて、『サウォル』と発音します。 第23号の配信です。 【今日の特集=トピックス】 …
巨人の肩の上 メタファー哲学者フランス 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ギリシア神話の盲目の巨人オーリーオーンとその肩に付き従う奴隷ケーダリオーン (プッサン、1658年) 「巨人の肩の上にのる矮人」(きょじんのかたのうえにのるわいじん、ラテン語: nani gigantum umeris insidentes [1])という言葉は、西洋のメタファーであり、現代の解釈では、先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見することを指す。「巨人の肩の上に立つ」、「巨人の肩に座る」、「巨人の肩に登る」、「巨人の肩に乗る小人」、「巨人の肩に立つ侏儒」などの形でも使われる。科学…
濱和弘「現代に甦るエラスムスの神学思想」『本のひろば』(キリスト教文書センター)771、pp.16-17、2022 金子晴勇*1『キリスト教思想史の書時代IV エラスムスと教養世界』の書評。 ともすれば、エラスムス*2の神学思想は、神中心ではなく人間中心であり、道徳主義的に見られる傾向がある。しかし、それは正当な評価とは言い難い。本書はそれを明らかにしていくのであるが、その際、著者は、まずペトラルカ、ヴァッラ、ピコ・デラ・ミランドラといったキリスト教人文主義(ヒューマニズム)から叙述を始める。 キリスト教人文主義には、「人間の尊厳」への高揚が見られるが、そこには人間の本性は神の像にあり、それゆ…
社会科学の哲学入門作者:吉田敬勁草書房Amazon 本書は科学哲学の中で特に社会科学の哲学についての入門書だ.私は社会科学についても哲学についてもあまり詳しくはない.そして最近読んだ進化政治学の本においては著者が実在論にずいぶんコミットしているものの私が理解している科学哲学の実在論とはややニュアンスが異なるような印象もあってややもやもやしていたので,この際勉強しておこうと手に取った一冊になる.著者は科学哲学者で社会科学の哲学を専門とする吉田敬になる. 序章 社会科学の哲学を学ぶとはどういうことか まず本書の目的について,社会科学の哲学という分野がどのようなものであり,どのような議論が行われてい…
安住の地を求めて彷徨い続け、行き着いた場所。 そこは、市街にある「美術館」だった。電車で自宅から最寄りの駅より三駅も向こうにあるが、そんなに物すごく遠い訳ではない。そこはC市なので市外だ。自分はA市のS町に住んでいる。 安住の地と言える場所を探すようになったのも多分、ここ最近だ。昔から漫画や音楽、本が好きで、小説や漫画を描く事も趣味だった自分は、内向的で人見知りをよくする。そして、広く見る事よりも、突き詰めて深く考える方が得意だ。これはもう前からこう言う気質なので、簡単に変えようと思っても無理があるように思う。そしてあれからは二週間強が過ぎた。今日こそあの美術館へでも行こうと思い立ったのだった…
青年団第92回公演「S高原から」(2回目)@こまばアゴラ劇場 平田オリザの作品は特定の文学作品を下敷きにしていることが多いが、「S高原から」はトーマス・マンの長編小説「魔の山」を下敷きにしている。やはり、平田の代表作である「ソウル市民」はトーマス・マンの「ブッテンブローク家の人々」*1を参照項としていた。「魔の山」*2は私の好きな小説のひとつだったが、おそらく、トーマス・マンといっても若い観客はピンとこない人が多いのではないか。しかし、それは別に教養を誇ってマウント取りをしようというのではなく、以前はマンは昨今よりもずっとよく知られた作家だったのだ。大きいのは短編小説「ベニスに死す」*3をルキ…
魔の山(上)(新潮文庫) 作者:トーマス・マン 新潮社 Amazon ★★★ 第一次世界大戦前。見習いエンジニアのハンス・カストロプが、いとこのヨーアヒムが療養生活を送るスイスのサナトリウムを訪れる。彼はそこで三週間滞在する予定だったが、結核であることが発覚して滞在期間が伸びるのだった。ハンス・カストロプはロシア婦人ショーシャ、人文主義者セテムブリーニ、虚無主義者ナフタらと交流する。 時間、時間そのものを純粋に時間として物語ることができるであろうか。いや、そういうことはとうてい不可能だ。それは愚かな企てというべきであろう。「時は流れ、時はすぎ、時は移る」というふうに話しつづけていったところで―…
本書を読む際に、ルネサンスを大まかに知っていた方がよいので、このエントリーを参照。会田雄二「世界の歴史12 ルネサンス」(河出文庫)-1会田雄次「世界の歴史12 ルネサンス」(河出文庫)-2 ルネサンスという時代(だいたい1300年から1600年まで)をイタリアにフォーカスして記述。ただ、本書には政治と経済の話はほとんどでてこない。有名なメディチ家の確執は一切出てこないし、さまざまな戦争も登場しない。政治家、宗教家はでてこないし、他国の人物も出てこない。あとがきによると、著者はルネサンス文学の研究者で、大学のゼミをもとにして新書に仕上げたとのこと。そのうえ、博士論文で魔術から科学への遷移を見て…