二日に一度は、野菜天で天丼を作る。ヤマ勘の目分量でそこそこの仕上りにはなるが、反省点も多い。加減が定まるまで作り続け、食べ続けるわけだ。我流の安定仕上りにまで到達したら、やめる。が、今日はその噺ではない。 父の介護食を作っていた時分に、毎日少量づつでも摂取させたい食材がいくつかあって、そのひとつが玉子だった。とにかく時間が足りない毎日だったから、玉子三個を使って厚焼きの出汁巻きを焼いて、包丁で三等分しては、毎日ひときれづつ食前に載せた。 介護期を了えて、自分独りのための台所になってからも、なぜか玉子を一日一個の習慣は維持されてきた。今年の十一月が来ると父の十七回忌だから、ずいぶん長くしかも地味…