歌舞伎座昼の部を観劇。今月も歌舞伎座は追善興行。今月は先代雀右衛門の十三回忌だ。傘寿を過ぎて尚若々しく、三姫や道成寺を得意としていた先代京屋。晩成だった人で、歌右衛門とほぼ同世代乍らその真価が発揮されたのは平成になってからだった(歌右衛門がその芸と美貌に嫉妬して、抑え込んでいたと云う説もあるが)。大正生まれにも関わらず、平成を代表する女形と云っていいだろう。しかし芸風は古風で、正に名人女形の名に相応しい名優であった。 後先を考えず、今回はまずその追善狂言『傾城道成寺』から。先代京屋の長男友右衛門の妙碩・次男当代雀右衛門の清川実は清姫の霊に、松緑の安珍実は維盛、廣太郎の経胤、廣松の三郎、亀三郎の…