太極拳で要求される身体の柔らかさを考える時、いつも思い出すのが、一昔前の大横綱、大鵬の相撲であり、身体つきだ。 私が中学校に通う頃には、テレビが一般家庭にも普及して、相撲では大鵬と柏戸が東西の横綱を張る「柏鵬全盛時代」であった。大鵬は「柔」の代表で「巨人、大鵬、卵焼き」と並び称された様に、子供達のヒーローであり、憧れだったし、女性にも人気が有った。一方の柏戸は、直線的なスピードで勝負する「剛」の代表として、成年男性の人気を博していた様に思う。 相手が頭で当たって来ても、吸収してしまう大鵬、相手よりも強力なパワーで跳ね返し押し返してしまう柏戸、と言う風に、取り口には対照の妙があって、見る者を興奮…