上に行けば何とかなるだろう。 開き直ることができた。上へ、上へと登っていくと、 いつの間にか道らしきものに ぶつかった。 そして、しばらく道を行くと 甲武信ヶ岳山頂の標識を発見 うれしかった。助かった。 相変わらず前後に人はいない。 1時間弱で、頂上に着いた。 そこには、先客の男の人が2名いた。 きっと喜びが顔に出ていたのだろう。 君は学生さんと言われ、高校2年です。 と言うと驚いて、大学生がと思ったよ と言われた。 その人達は社会人らしい。 登りで迷った話をすると 帰りは一緒に降りようと言ってくれた。 これまたうれしかった。 予定より1時間早く着いたが、 昼食を簡単にすませて、 その2人と一…
今から考えると無茶な計画だった。 高校2年生の時、部活のサッカーが 土曜日にあった。夕方までグランドで 走り回って、くたくただった。 それでも、家から登山靴や服などを 持ってきて、表の水道で体を洗い 部室で着替え、そのまま新宿へ。 新宿発の最終各駅停車長野行き。 11時55分発である。 車内は、酔っぱらいのサラリーマンと 登山客だらけ。 みんな楽しそうに飲んだり 騒いだりしている。 私は、一人で必死に寝ようとしたが 心細さと疲れが襲ってきて眠れない。 やっと、うとうとしたら、もう朝だった。 小淵沢駅から小海線に乗り換えて、 9時に信濃川上の駅に着くと 登山客は一斉に村営バスに向かう。 すぐに出…
何かに熱中していて、ふと我に返る。「あれ、なぜ自分は今こんなことをやっているのだろう?」と自問自答が湧いてくる。そんなことが無いだろうか? 好きなことに取り組んでいるはずでもその思いは時々不意に顔を出す。取り組んでいることが肉体的に厳しければ、その疑問の度合いは深くなる。 何事にも没頭できない性質なのだろうか…。 秋の風を切り静かな田園の中を自転車で走る。傾きかけた西日に金の稲穂は風に揺れ、小さなさざめきを作る。しかしその音は自分が走る風の音に交じり判然としない。秋の風の音を聴こうとペダルを止めて、ふと西の空を見る。すると曇りがちの空の隙間から陽の光が線となり地上を照らしている。一本ではない。…
「山と渓谷」という山岳雑誌があって、ずいぶん長く購読していた。 私が、購読していた頃は月刊で、かなり厚手の雑誌だったので、何年かのうちに本棚のうちのかなりのスペースを占めるようになった。 山岳雑誌は、他に「岳人」と「山と仲間」と「新ハイキング」というのがあった。 「山と渓谷」は、昭和5年創刊という老舗で、今も山と渓谷社から発行されている。 「岳人」は、昭和22年創刊で、東京新聞から発行されていたが、今はモンベルブックスというところから発行されているようだ。アウトドアグッズのモンベルだと思う。 「岳人」は、夏山特集とか、面白そうなのだけ買っていた。 「山と仲間」と「新ハイキング」もかつては、書店…
涸沢ヒュッテの横のヘリポートから飛び立つ長野県警ヘリ「やまびこ1号」 (2008年5月4日撮影) 山のガイドブックには、装備リストの中に「医薬品」があって、持って行くべき医薬品の名前がズラズラ書かれたものもあります。 実際にけがをした場合、かなり動揺すると思いますが、それらをきちんと使いこなせるでしょうか。 自分で使いこなせるものを持っていく 山でケガをしても、登山者が多いところでしたら通りがかった人が世話をしてくれるでしょう。しかし、難易度の高い場所では登山者が少ないうえ、通信事情も悪いでしょうから、自力で手当てすることになりそうです。 単独行の場合は、どうでしょう。これから登ろうとする山で…
八ヶ岳連峰・硫黄岳山頂 (2003年3月2日撮影) 遭難時のリスク 「あしたからヤマにいってくるからね」 「何人でいくの?」 「1人だよ」 「エッ、ひとり……?一緒に行く人、いないの?」 こんなやりとりが、日本のあちこちで交わされています。 でも、別に寂しいわけでもないんです。悲しいことがあったわけでもないんです。自由気ままに動きたいだけなんですけどね。なかなか、分かってもらえないようです。 山のおまわりさんからも「単独登山のリスクを認識しなさい!」と、こう注意されます。 「単独登山者は、万が一の際、携帯電話などの通信手段が不通であれば、助けを呼ぶことができず、救助活動の遅れや行方不明となる可…
誰かと行く山 独りで行く山 どちらも楽しい。 独りで登ったあとに誰かと登ると「こうやって楽しい時間を笑顔で分かち合えるっていいなぁ」と思います。 誰かと登るとき、一緒に歩く時間を大切な思い出にするためにも責任を押し付けあうことがあってはいけません。 「楽しさを2倍に、つらさを半分に」とよく言われますが、「責任を相手に」を付け足すことのないようにしたいものです。 私は職場の人に「連れて行って」と言われて山歩きをしたことが何十回とあります。 必ず伝えるのが、私は初心者向きのコースを道案内するためだけにいるということです。 初心者の不安の多くは「道に迷わないか」だと思います。 初心者の頃に何度も歩い…
単独行(たんどくこう)といいます。 単独行(たんどくこう)とは? 意味や使い方 - コトバンク 私はほぼ単独行ですが、お客さまに 「すごいね」 「怖くないの?」 と、必ず言われます。 ひとりで歩くのは決してすごいことではなく、では複数人いれば危険が減るのかといえば、そうでもない。 自分以外が全員初心者だったとしたら、危険減りますかね? その中の誰かにすごいポテンシャルがあって、私が滑落したときに本気を出してくれて、山小屋まで助けを呼んでくれたりってこと、期待していいのだろうか。 重い荷物を背負える人がえらいわけではない。 速く歩ける人がえらいわけではない。 すごい、とは思いますけどね〜。 今は…
こんにちは、GreenFielderです! 私が米国フロリダ州に出張していることは以前の記事で書きました。 onedayhike.hatenablog.com お陰様でハリケーン「イダリア」の被害がほぼ無い街に滞在していたので、出張タスクに集中して取り組むことが出来ました。 イダリア最接近前の朝の光景と、イダリア通過後の夕景が美しかったので、写真を掲載します。 朝焼けと飛び交う鳥達。 日の出前。 イダリア通過後の夕景。 さて、米国出張の際に私のルーティンとなっているのが「文庫本購入」です。機内での暇つぶしや、出張が週末を跨ぐ場合のために、大体2〜3冊の文庫本を買い、荷物に忍ばせるのです。機内で…
プロローグ 穂高連峰を縦走する。 今回の山行はこれまでの自分の登山経験では最も危険度が高い。 西穂高~奥穂高~大キレット~槍ヶ岳まで、北アルプス3000峰を結ぶ国内登山道最高難度のルートだ。 ルート周辺ではシーズン明けから遭難が多発し、死亡事故が既に数件起きている。 だが研究は十分してきたのだし、二年ほど前から行くのは決めていたのだ。 これまでの私の登山の集大成として挑むべき機は熟した。 例によって単独行、全天泊。 天気の様子をみながら、2023年8月16日を出発日とする。 コース概要は以下の通りだ。 第一日目:東京⇒大正池⇒西穂高山荘 第二日目:西穂高山荘⇒西穂高岳⇒ジャンダルム⇒奥穂高岳⇒…
単独行オープンマイクを“KASオープンマイク”と命名しました。KAS=けふは敢えてすっぴんつまり思い立ってのオープンマイク訪問記です。 といいつつ、今回は思い立ったわけでも単独でもなく(笑) 発端は2/19のwaiwaihall神保町。岡田えくお&だんのライブを観に来てくれたまるさんとアフターで話してるときに、その日の対バンに、みつみんさんやCakaoさんなど、ガビガビに繋がりのある方々がいらっしゃったこともあり、「ガビガビ行ってみたい!」とおねだりしたのであった。 ******************************* 渋谷 GABIGABI東京都渋谷区道玄坂1-13-3MST道玄坂…
三つ峠は何回か計画して、その度に実現に至らなかった山です。今回は幸運な事に山口会長自らリーダーでの山行となりました。大月駅で合流し、三つ峠駅で下車しましたが、桜の時季の土曜日とあってか、電車は大変な賑わいで、英語から中国語、タイ語、他解読不能の言語で満ち溢れていました。駅前で登山指導をしている警察官に登山届を提出して、背後に聳える三つ峠に向かい線路を潜りました。グリーンセンター、憩いの森と進み、満開の桜の下、良く整備されている公園でオートキャンプを楽しんでいる家族連れを脇目に、登山道に入り達磨石にお賽銭無しで本日の安全登山を祈願して、やや急な登山道に歩を進めました。登山ペースは思ったよりやや速…
ちょっとした手違いでAmazon kindle unlimitedに入ってしまったので、この機会に山と渓谷社から出版されている羽根田治氏による山岳遭難シリーズをまとめて読んでみようと思った。 ・十大事故から読み解く山岳遭難の傷痕・ドキュメント生還 山岳遭難からの救出・ドキュメント道迷い遭難・ドキュメント滑落遭難・ドキュメント気象遭難・山岳遭難の教訓 実例に学ぶ生還の条件・ドキュメント単独行遭難全て羽根田治著 以前からYouTubeで山岳遭難関連の動画をよく観て興味を持っていたジャンルだったが、さすがこれらはしっかりと取材されていてどれも読み応えがあった。主に実際に遭難から帰還した人の証言をまと…
日時 1981年12月29日~1982年1月1日 日程 3泊3日 人数 2名 天候 晴れ、曇り、風雪、快晴 費用 約¥10,270 明細 国鉄 1,600x2、小屋 2,000x2、マイクロバス 2,260 他
人には得手不得手ってもんがあるんだね。 じつはね満開の桜🌸を撮るのがすごく苦手😊正直何をどう撮ったら良いのかがわからない。 満開に咲く桜の木を前にしてカメラを構えてファインダーを覗いても・・・・・全然イメージがわいてこない🤔 収まる構図が浮かんでこない。思いつかない。花の数が多すぎるんだ。 それよりも枯れ枝の先にポツンと一輪ひっそりと咲く花。そんな花の姿を見ると何故か気持ちがドキドキする。 ドバーッと沢山で咲き乱れてる桜の花を見ちゃうとさなんだか気が引けちゃうんだよね。 これは自分の習性から来るものなのかもしれない。"一斉に"とか、"集団で"とかそういうのって昔からあまり好きじゃなかった。前に…
鳥取から県境を越え、兵庫県の浜坂駅に到着。 駅前から続く古い家並みを抜けると、 日本海の海岸まで来ました。 小川に沿って町の方に戻っていくと、その先に見えるのは、、 着きました。加藤文太郎記念図書館。 ここには昔、大雨の中を駅から歩いてやって来たのですが、休館だったという憂き目を見たことがあります。以来いつかまた来なくては、と思っていたのですが、ようやく思いを果たせました。 加藤文太郎とは、ここ浜坂の出身、新田次郎「孤高の人」で主人公に取り上げられた登山家。単独行を得意とすることで知られました。私が彼を知ったのも、もちろん「孤高の人」から。館内に入ると、どことなく「山」の雰囲気に溢れています。…
『山と食欲と私』初の公式スピンオフ&アンソロジー 『山と食欲と私 ~エクストリーマーズ~』の企画が進行中!! 本編・最新コミックス第18巻の発売に合わせて 最新情報をお届けします♪ ①連載開始時期決定! 連載は5月より、くらげバンチでスタート! 初回は原作者・信濃川日出雄 自ら手掛け 登山家・野村良太が2か月かけて臨んだ 「積雪期単独北海道分水嶺縦断」の単独行を描きます。 ②タイトルロゴ完成!! 原作者とデザイナーが鎬を削って、作り上げた渾身のタイトルロゴ。 実はこのロゴ、迫力を出すためにデザイナーが文字通り筆で手書きしたものです! ③参加エクストリーマー&漫画家ラインナップ一部公開!!! 野…
☆☆☆カーペンター監督。ぼんくら映画界隈では、ちょくちょく名前を聞く作品。 マンハッタン島全体が刑務所になった世界で、そこに墜落した大統領を、すくう密命をおびたスネークの単独行を描く。『メタルギア・ソリッド』の主人公の名前の元ネタとしても有名な作品。 『マッドマックス』とか、いかにも80年代の近未来アクション、という感じ丸出し。 スネークが軍部にも、刑務所でも知られているとか、本作が何かの続編っぽいこともちょくちょく示唆される。 アーネスト・ボーグナインも、いつもの(『エアウルフ』的な)豪快なおやじ役で出ている。 さっき『マッドマックス』と書いたが、ストーリー的には、『マッドマックス3…
単独行オープンマイクを“KASオープンマイク”と命名しました。KAS=けふは敢えてすっぴんつまり思い立ってのオープンマイク訪問記です。 さて、きのふはあさがやドラムへ。アルカフェでも今年からホストをやって頂いている堤真耶(https://www.facebook.com/maya.tsutsumi.39)さんがホストの日なのです。そして、おつまみ提供は、祝!クラファン達成の“あまてらす”さん。これは行かなくちゃ!といふことで、あさがやドラム、2度目の訪問。 *************************************** あさがやドラムhttps://asagaya-drum.c…
これまで折りにふれ狩猟用時計を考えてきました.私の猟のスタイルは,鳥屋などでの鴨,里山での巻狩,里での散歩鳩などです.これらの猟で使う時計が持っているとうれしい機能として以下の項目を挙げていました. タイドグラフ:山では関係ないのですが,汽水域の鴨撃ちでは水位の動きが移動にも関わります.もちろん釣りにも使えます. 電波時計&ソーラー充電:普段は別の時計があって,狩猟時計は使わないために,猟期に入って気付いたら止まってたとかズレていたというのはあり得るわけで,これも手間いらずがありがたい. 方位表示:初めての場所はもちろんですが,行ったことがあっても1年もたてば大分様子が変わっているというのが山…
10時 ・起床 ・本当に眠かったがミーティングに出た ・眠すぎてぼーっとしながら終えた 11時 ・正月休みに入っている人が多く、今日はmtgはもう何もなかったので暇だった ・「アルピニズムと死」を読んだ ・最近のマイブームは登山家やクライマーの冒険譚を見聞きすることです ・登山家やクライマーは頭のネジが飛んでいる人が多く、僕の生死感とは大きくかけ離れているところがコンテンツとしておもしろいです ・かけ離れているというか研ぎ澄まされているとも言えるかも知れない。 ・色んな意味で自分とは対極の存在なような気がする ・僕の今のお気に入りは、クライマーの山野井さんと言う人で(中略)です ・文体も蛋白で…
単独行オープンマイクを“KASオープンマイク”と命名しました。KAS=けふは敢えてすっぴんつまり思い立ってのオープンマイク訪問記です。番外編が多くなってきたので別途立ち上げ(笑) さて、きのふは先日アルカフェでピアノメンズに出演してくれたmavitさんがホストのジジ・アナベルへ。こちらはmegumiさん、そして今はお休みちうですが森川ヒロさんもホストをなさっているお店です。 *********************************** 西荻窪ジジ・アナベルhttp://www.ziziannabelle.com/ 【オープン】18:30【スタート】19:00 【参加費】1500円+オ…
誕生日が来て大台に乗り、一生黒髪で生きていくはずが 遺伝的にも白髪が限界で生まれて初めて髪を染めたので 職場でパートのママさん達がチヤホヤしてくれるかと軽く期待をしていたら 目が二重になった先輩のインパクトに負けて誰にも気づいてくれませんでした。 そんな年末。 アンジュルム コンサートツアー 2023秋 11人のアンジュルム 金山の日曜19時公演だと仕事終わりでも余裕をもって入れるのですが なぜか今回18時半開演にてタイムカード押して着替えて電車乗るまで5分で間に合った…! 周りに「今日ライブなので!」と告知して気を使ってもらうの大切ですね。ミルクティー色追加で買い替えようか考えてましたが ペ…
春休みも折り返しである。 あのクソみたいな大学に行かずに一カ月が経とうとしている。 僕は友達がいないので、遊んでいない。遊べていない。だが俺はお前らみたいに髪を染めたり酒を飲んでゲロを吐き、女に腰を振るだけの青春なんて死んでも嫌なので、わざわざ極寒の原野へ赴きひたすらに歩いた。 夜はウンコを雪へぶちまける。湯気を放ち、自らの温度で雪に埋もれてゆく大便と、かつてこの地に住んでいた人々と同じ星空とを交互に見ていた。朝になると、透き通るような肌の美少女(隣のクラスにいる)の頬の産毛の如き輝きを放つ、小麦粉のような雪に野糞は隠されてしまった。自らの不浄を、不潔を、雪が隠してしまったことで自らを清潔なも…