引き続き、歌舞伎座の八代目菊五郎襲名披露興行。 口上であった。 この口上の衣装のことである。昨日、裃(かみしも)姿、と、書いた。頭は髷姿で、黒い紋付きの着物に一人を除いて、皆同じ色、音羽屋の重ね扇に抱き柏紋の入った裃。(という記憶なのだが、あっていようか。) 裃の色は、茶の入った薄い黄緑、ちょっと萌黄(もえぎ)にも近いもので、この色は、梅幸茶というらしいが、音羽屋の色。梅幸は初代菊五郎の俳名で、好みの色であったという。 一人を除いて、と書いた一人は誰あろう、團十郎。團十郎は、市川宗家の三重の升の三枡(みます)紋の入った團十郎茶というようだが、柿色の裃。これが成田屋の色。また、團十郎だけ髷(まげ…