第19話で、太陽神の守護者としてのセトの一面を紹介しました。今回はさらに踏み込んで、「セト=悪役」というイメージそのものが、実はエジプト史を通じて常に一定だったわけではなく、時代とともに大きく変化していった、後天的な出来事だったという点に焦点を当てます。 変化する評判|セトが「悪役」になっていった時代 エジプト史全体を見渡すと、セトへの評価は決して一様ではありませんでした。古王国から新王国前半にかけて、セトは、第19話で見た通り、王権とも深く結びついた、堂々たる正統な神でした。しかし、新王国の終わり頃から、そして特に末期王朝時代以降、セトの評判は急速に悪化していきます。 この評判の悪化には、政…